最近のアップルの株価上昇の謎

以前(と言っても気づけば1ヶ月前でした)、今のマーケットは楽観的すぎるのでは?という記事を書きました。

あれから早くも1ヶ月経ったわけですが、相場は1ヶ月間、ほぼ横ばいの状態です。ボラティリティは依然として高く、下がる時は1日でダウが1,000ドル、S&P500が100ポイント近く下がりますが、その後再び回復するといういわばボックス相場のような展開になっています。今後、上下どちらに抜けるかなんてことは私にはわかりません。

コロナウィルスのワクチン関連ではモデルナ(MRNA)に続き、イノビオ(INO)のワクチン開発にも進展があったというニュースが昨日、ありました。私が思っているよりトントン拍子にワクチン開発が進み、今冬にはコロナの脅威は過去のものになっていて、マーケットの予想通りに経済もV字回復!という結果に終わる可能性もゼロではないと思いますが、少し楽観的すぎるかなという見方に変わりはありません。ただ、上下どちらかに大きく賭けるなんてことはしません。上がれば保有銘柄の含み益が増えてハッピー、下がれば狙っている銘柄を買う、というスタンスでいきたいと思います。

4月以降の相場を引っ張っているのはIT銘柄です。特にアップル(AAPL)の上昇には目を見張るものがあります。以下、4月以降の株価チャートと簡単な株価指標です。

出典:Yhoo! Finance

株価:369.78(7月2日23:00現在)
2019年度EPS:11.89
2020年度EPS(予):12.40
PER(実):31.10倍
PER(予):29.82倍
過去10年平均PER:14.4

特にPERは1年前まで10倍台半ばだったものが現在、30倍近くまで上昇しています。

出典:macrotrends

最近10年のアップルのPERの推移ですが、2019年から急激に上昇しているのがわかるかと思います。

以前、株価上昇には主に2つの要因があると紹介しました。

  1. 利益成長(EPSの上昇)
  2. 投資家の期待値の上昇(PERの上昇)

現在のアップルの場合、②の要素で株価が上昇していると思われます。
今年の予想EPSも昨年より4%ほど上昇していますが、株価はそれ以上に上昇しています。

投資家の期待値上昇の理由

まず、売上のセグメント内訳をみてみましょう。

アップル=iPhoneというイメージが強いですが、実際、iPhoneの売上が半分強を占めています。近年、WearableセグメントのApple WatchやワイヤレスイヤフォンのAir Podsを発売したり、Service部門のクラウドや映像・音楽配信に力を入れたりしていて、iPhoneの全体の売上に占める割合を引き下げようと努めています。

では、なぜ投資家の期待値が高まっているのでしょうか。
私は大きく以下3つの理由が考えられると思います。

  • iPhone新機種への期待

今年秋には初めて次世代通信規格の5Gに対応したiPhoneの発売が計画されています。いまだスペックや価格の発表はありませんが、5G対応には大きな期待が寄せられていることは間違いないです。5Gの機能自体の期待もありますが、その話題性と5Gをきっかけに多くの人が古い機種のiPhoneから新しい機種に乗り換える大きなアップグレードサイクルへの期待が大きいかと思います。

  • 半導体の自社生産によるコストカット期待

2018年に発売されたiPhone XS、iPhone XRは高価格で高性能な高付加価値戦略での展開が図られましたが、消費者にはあまり受け入れられませんでした。iPhoneは高すぎるという批判の声が多く上がりました。2019年にはアップル経営陣は早くも戦略を改め、廉価版のiPhone SEを発売しました。低価格モデルはブランド価値の低下をもたらすという声もありましたが、今のところそれなりの成功を収めています。iPhone SEによってiPhoneブランドが毀損されたと考える人は多くないでしょう。しかし、ハードウェアの粗利率は年々緩やかですが下がり続けていることも事実です。

経営陣はさらなるコストカットを目指して、今までMacに使用してきたインテル(INTC)製のシリコンチップを自社製品に置き換えました。今後も半導体の自給自足は加速するでしょう。

  • Apple musicやApple TVなど配信事業やApple Payの成長期待

Apple music、Apple TV、Apple Payはすべて上のセグメントではServicesに属します。今後、このセグメントは拡大していくでしょう。Servicesの魅力は原価率が低いため、高い粗利率が望めることです。上のグラフの通り、2019年のハードウェアの粗利率は32.2%でしたが、Services部門は63.7%でした。

期待に対する懸念

現在のアップルの株価上昇は期待先行の感が個人的には否めません。

5Gをきっかけに大きなアップグレードサイクルが来るかどうかは価格がカギとなるかと思います。iPhone XSのときに1,000ドル(日本円では10万円)を上回る金額を携帯電話に支出することに大きな抵抗感がある人が多いということは経験済みですが、1,000ドルを下回れるかがひとつの目安になってくると思います。

また、新型コロナウィルスは4月の最悪期を脱したとはいえ、秋冬に再び流行の可能性も少なくありません。あくまでも感染が下火になっているだけであって、ウィルスが消滅したわけでもワクチン・特効薬が開発されたわけでもありません。

半導体の自給自足によるコストカットは今後も進むでしょう。粗利率の高いServices部門の収益割合の拡大も今後進むでしょう。しかし、PERが数年前の倍になった今の株価の期待値はかなり高いと思います。Apple music、Apple TVにはamazon(AMZN)やgoogle(GOOGL)、Netflix(NFLX)やDisney(DIS)といった強力なライバルがいて、今後競争は激化するでしょう。

どう動くか?

基本的に株の売却は行わない方針ですが、株価が法外に高騰した場合は別です。今はまだそこまでの株価水準とは思いませんが、今後数ヶ月、今までのペースで上昇するようであれば一部売却も選択肢に入ってくるかと思います。しかし、全降り(全部売却)はしません。最大でも現在の持分の半分程度でしょうか。