世論と市場はトランプ氏の主張を後押しするか負け犬の遠吠えと見なすか

民主党のバイデン氏が次期大統領に決定

日本時間の昨日深夜1:30ごろ、アメリカの各メディアが一斉に民主党のジョー・バイデン氏がペンシルベニアで勝利を確実にしたとして大統領選挙の当選を確実にしたと報じました。

日本時間で一夜明けた今日午前、バイデン氏と次期副大統領のカマラ・ハリス氏が勝利宣言を行いました。

通常であれば、敗れた候補者が勝利した候補者に敗北を認め勝利を祝福する電話をし、勝利した候補者はそれを受けて勝利宣言を行うことが慣例になっていますが、今回はトランプ大統領がいまだに選挙で不正があったとして敗北を受け入れていないため、そういったプロセスなしに勝利宣言を行いました。

10月の雇用統計発表

先週は怒涛の一週間でした。
大統領選で影が薄かったですが、6日の金曜日は雇用統計の発表もありました。

【10月雇用統計 結果】

結果市場予想
非農業部門新規雇用者数63.8万人増58万人増
失業率6.9%(前月比1.0%減)7.7%

好調な雇用統計を受けて共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務がより小規模な経済対策が妥当だという少し気になる発言をしています。

今回の大統領選挙と同時に上下両院の選挙も行われました。下院は民主党が多数を維持しました。上院はまだすべての議席の結果が確定していませんが、民主党が過半数を取るのは難しい情勢と見られています。

先週の株価の上昇は大統領・上院・下院すべてを民主党が占めるリスクが低くなったことも一因という分析もあります。

追加経済対策は政権交代になることを考えると、1月のバイデン大統領就任まで実現はお預けになる可能性があります。政権交代が決まってしまった以上、共和党には譲歩する理由がありません。上院の多数を共和党が占める可能性が高くなっていますが、そうなった場合、政権交代後も民主党政権に抵抗する手段は残るわけですから、なおさら政権交代までに譲歩する理由が無くなります。

トランプ陣営の主張は真っ当か「負け犬の遠吠え」か

先週の株価上昇には大統領選通過、大統領と上下両院を民主党が占めるブルーウェーブのリスク低下とともに、長期金利の低下が大きく貢献したと思います。

アメリカの10年債の金利は週の初め0.8%台後半だったものが、5日の木曜日には0.7%台半ばまで低下しました。金利低下と株価上昇という教科書通りの動きだったということです。ただし、金曜日には再び0.8%台に戻しています。

選挙前に『この先1ヶ月は株価動向がまったく読めない』という記事を投稿しましたが、本当に読めないと思います。

『【米大統領選挙】想定される3つのシナリオ』で示した②、③のシナリオの通り、混乱が長期化する恐れも十分にあると思います。

しかし、アメリカ国民の多くがトランプ陣営の主張を右から左へ聞き流し、裁判所もトランプ陣営の訴えの却下を連発すれば、マーケットもリスクと捉えなくなる可能性もあります。少し言い方は悪いかもしれませんが、国民も司法もマーケットもトランプ陣営の主張を「負け犬の遠吠え」と捉えれば、このまま民主党への政権移譲が粛々と行われ、株価の材料にならない可能性はあります。

ましてや今は金融相場の真っ只中です。大統領選の混乱よりもFRBによるさらなる金融緩和の期待が大きくなり、金利がジリジリと低下していけば、1月にかけて株価暴騰という可能性も十分にあります。季節性としても年末年始は株高になりやすいです。

本当に1月まではどの材料が重視されるかによって株価の動きが大きく変わってくると思います。


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