バフェットはアップル一極集中が加速 一部金融株を売却

先日、バフェットがバンク・オブ・アメリカ(BAC)を買い増したと記事にしました。
金融株、特に銀行株には強気の姿勢が目立つバフェットで、今でも銀行株に強気なのだろうか?と思っていました。
アメリカで大口の取引をしている機関投資家は四半期ごとにその期間の取引と保有銘柄をアメリカの証券取引委員会(SEC)に報告しています。そのレポートは公開されていますが、その中でバフェットが金融株を一部売却していたことがわりました。SECに報告されているバフェットの保有銘柄とQ2の主な取引を見ていこうと思います。

バフェットのQ2末時点のポートフォリオ上位10銘柄

順位前期末時点の保有順位銘柄比重(前期比)
1 ➡️1アップル(AAPL)44.2%(+8.7%)
2 ➡️2バンク・オブ・アメリカ(BAC)10.9%(-1%)
3 ➡️3 コカ・コーラ(KO)8.9%(-1.1%)
4 ➡️4 アメリカン・エキスプレス(AXP)7.1%(-0.3%)
5 ⬆️6 クラフト・ハインツ(KHC)5.1%(+0.5%)
6 ⬆️7 ムーディーズ(MCO)3.3%(+0.3%)
7 ⬇️5 ウェルズ・ファーゴ(WFC)
3%(-2.3%)
8 ⬆️9 USバンコープ(USB)2.4%(-0.2%)
9 ⬆️10 ダヴィータ(DVA)1.5%(-0.2%)
10 ⬆️- バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)1.5%

順位には大きな変動はありませんでしたが、比重の部分を注目すると、アップルの比重が40%を超えました。Q2の取引一覧にはアップルの買い増しは入っていなかったので、株価上昇と他銘柄の売却によって比重が高まったものと思われます。2位のバンカメの比重が10%ですから、アップル一極集中と言っていいような状態です。バフェットは少数銘柄への集中投資が投資スタイルですが、集中させた少数銘柄での勝率が高かったことが彼の大きな成功の要因のひとつだと思います。

ちなみに7月にバンカメ株を買い増しており、現在のバンカメの比重は11%程度に上昇していると思われます。

4-6月期のバフェットの主な取引

バフェットはユナイテッド航空(UAL)、アメリカン航空(AAL)、デルタ航空(DAL)、サウスウエスト航空(LUV)の航空4社の株をすべて5月に売却しています。これは5月にニュースになりましたので今回の報告書の公開前から知られていました。

航空4社以外にもゴールドマンサックスをすべて売却しています。航空4社以外のQ2の主な取引は以下のとおり。

銘柄投資行動備考
ゴールドマンサックス(GS)全部売却
JPモルガン一部売却61.5%売却
ウェルズ・ファーゴ(WFC)一部売却26.5%売却
USバンコープ(USB)全部売却
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)一部売却9.3%売却
オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)全部売却
バリック・ゴールド(GOLD)新規投資5億6355万ドル相当
レストラン・ブランズ・インターナショナル(QSR)全部売却バーガーキング親会社
ストア・キャピタル(STOR)買い増し不動産投資信託会社 31.1%買い増し
クルーガー(KR)買い増し15.8%買い増し
マスターカード(MA)一部売却7.5%売却
ビザ(V)一部売却5.4%売却

ゴールドマンサックスは全部売却、JPモルガンは保有分の60%以上、ウェルズ・ファーゴも25%以上を売却しました。
一方で前述のとおり7月にはバンカメを買い増しています。バフェットは銀行株について強気なのか弱気なのか?考えれば考えるほどわからなくなります。

今回もっとも注目を集めたのがカナダの産金最大手のバリック・ゴールドへの新規投資です。GOLDってすごいティッカーシンボルですね(笑)。
かねてからバフェットは金は株と違い、キャッシュフローを生まない資産なので投資に否定的でした。一部報道では考えを変えたのではと憶測を呼んでいます。ただ、今回、バフェットは金に投資したわけではなく、あくまで産金会社に投資をしたので、金投資に対する考えを変えたとは言えないと個人的には思います。金相場の先行きに対してはポジティブなのかもしれません。
バリック株はバフェットが投資したという報道を受けて、昨日大幅に上昇しています。

ストア・キャピタルとクルーガーへの買い増しも少し気になります。

ストア・キャピタルは不動産投資信託(REIT)を取り扱う新興企業です。正直、知らない銘柄だったので少し調べました。
所有している不動産はレストランや幼児教育施設、家具店、映画館、スポーツクラブなどです。ポートフォリオの約3分の2がサービス業のテナントで、残りは小売業および製造業のテナントが入っています。バフェットは2017年から投資しているようです。
レストラン、映画館、スポーツクラブと聞くと、コロナのロックダウンで大きな損害を受けた業種ばかりです。株価も3月以降、大きく下落しています。

バフェットは売られすぎと判断して買い増したのだと思いますが、果たしてどうなのでしょうか?ビジネスを取り巻く環境は決して楽観できるものではないと思います。

クルーガーは逆にコロナ禍で業績を伸ばしたスーパーマーケットの会社です。

今年に入ってから株価は伸びていますが、5年のスパンで見ると5年前の高値の水準にはまだ届いていません。
個人的には小売業は安さ以外に差別化が図りにくく、あまり投資したいと思えません。Amazonの脅威もあります。スーパー首位のウォルマートはネット通販企業を買収して、ネットでの販売に力を入れています。クルーガーも今後、ネットでの販売でいかに収益を生み出せるかが課題になってくると思います。

バフェットは長年、銀行株へ楽観的でしたが、今回複数の銘柄を売却していることから、金融株へのスタンスの変更があったかもしれません。今後の発言に注目したいと思います。