セールスフォースがスラック買収で合意

セールスフォース(CRM)がスラック(WORK)の買収で合意したと発表しました。

買収額は277億ドルで1株あたりの買収額は45.5ドル。セールスフォースによるスラック買収の観測報道があった前日の11月24日のスラックの終値は29.58ドルだったので、54%のプレミアムを上乗せした買収額ということになります。

スラックとは?

スラックはビジネス用のチャットアプリビジネスの会社です。

チャンネルと呼ばれる機能でメッセージを分類・整理し、効率的なコミュニケーションが図れるということがメリットのようです。私は個人的には使ったことがありません。
チャンネルはLINEグループのようなものでしょう。上の説明動画のように10,000人の従業員を抱える大企業の場合、利用者側のメリットは大きいと思います。

昨年、上場したばかりの会社で、まだ赤字の会社です。昨年の売上高、純損失と今年の売上高、純損失のコンセンサス予想は以下のとおり。

2020年(前年同期比)2021年コンセンサス予想
売上高6.3億ドル(+57%)8.76億ドル
純損失1.13億ドル4843万ドル

新型コロナウィルスの影響で世界中でテレワークが広まったことはスラックにとって追い風だったようです。1月決算の会社なので、2021決算年度ではQ1(2-4月期)とQ2(5-7月期)の決算が発表されています。

いずれも売上高の前年比増加率は50%近いものでした。2021年の現時点での市場コンセンサス売上高予想は8.76億ドルです。

EPS(一株あたり利益)はQ1が-0.02ドル(つまり赤字)、Q2が0ドルでした。コロナ禍の追い風を受けても黒字化は果たせていませんが、もう一息といったところでしょうか。

セールスフォースは過去にも大型M&Aを行ってきた企業です。今回もゆくゆくはスラックのサービスを自社サービスに組み込むことでシナジーを発揮させ自社サービスの付加価値を上げる狙いで買収に踏み切ったんだと思います。

株価を売上高で割った指数をPSR(株価売上高倍率)と言いますが、買収額277億ドルに対するPSRは2020年実績売上高で43.97倍、2021年コンセンサス予想売上高では31.62倍です。これは過去のセールスフォースのM&Aと比較しても最も高いPSRです。確かにいまだ黒字転換できていないことと、ライバルのマイクロソフトのTeamsの後塵を拝していることをを考えると高いかもしれません。

マーケットは今回の買収には良い反応を示していません。時間外取引ではセールスフォースの株価は4%下落しています。

買収観測報道前日の11月24日のセールスフォースの終値は260.84ドルだったので、時間外取引の231.5ドルと比較すると11%程度下落したことになります。短期ではさらに下落するかもしれません。


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