ディズニープラスが予想以上の急成長 株価急騰も今は買うべき水準ではない

ディズニープラス の会員増加数が予想を大幅に超える

ウォルト・ディズニーは10日、投資家向け説明会をオンラインで開催しました。

「Investor Day」は毎年開催されているイベントで、今後の配給・配信予定作品や各事業の進捗が報告されます。

2020年12月2日時点でディズニー+(プラス)の全世界有料会員数は8680万人でした。前回決算時に発表された9月末時点の有料会員数が7300万人だったので、それから2ヶ月で1300万人増えたことになります。

ディズニープラスと傘下のhuluとESPN+(プラス)の3つの動画配信事業の有料会員数を合計すると1億3700万人に達すると発表されました。

ディズニープラス立ち上げ当初のガイダンスでは2024年までに有料会員数6000万人から9000万人という予想だったため、1年あまりでその水準に達してしまったことになります。かなり順調に会員数を伸ばしていると言えるでしょう。ひとえにディズニーブランドの強さゆえだと思います。

ちなみに業界トップのネットフリックスの2020年9月末時点の全世界有料会員数は1億9500万人です。猛追していますが、まだ背中は遠いといったところでしょうか。

ディズニープラスの月額料金をアメリカでは7.99ドル、ヨーロッパでは8.99ユーロに値上げするということも発表されました。会員数を増やしたあとで料金を値上げして客単価を上げるというサブスクリプションビジネスの教科書どおりのオペレーションだと思います。

今後の新たな長期ガイダンスも示されました。

2024年にはディズニープラス 、Hulu、ESPNプラスの3つの合計有料会員数が3億人から3億5000万人になるとするガイダンスでした。現在の2.5倍の水準ということになります。

併せて財務面での会社予想も示されました。
昨年4月に開催された「Investor Day」の際の会社予想では、ディズニープラスの赤字額のピークを2020年から2022年としていましたが、来年2021年が赤字のピークであると修正しました。
一方、ディズニープラスの収益化の実現(黒字転換)は2024年という予想は据え置きました。

アメリカ国外での「STAR(スター)」という新しい動画配信サービスの立ち上げも発表されました。

ディズニープラスがアニメ中心のコンテンツであるのに対し、スターは傘下のテレビ局のABCや昨年買収した20世紀スタジオ(旧20世紀フォックス)のドラマなどが中心になるということです。

今回、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、中南米での立ち上げが発表されました。中南米では独立したサービスとして、それ以外の地域ではディズニープラスと抱き合わせのサービスとして展開するようです。日本での展開は2021年後半になるということです。

株価暴騰

今回の発表を受けて、翌11日のディズニーの株価は大幅に上昇しました。終値は13.5%高の175.72ドルでした。

足元ではアメリカのコロナウィルスによる1日の死者数が3000人に達するなど、感染拡大に歯止めがかかりません。
食品医薬品局(FDA)からのワクチンの緊急使用承認が下りましたが、広く一般にワクチンが行き渡るには数ヶ月かかると見られています。

先週、香港とパリのディズニーランドが感染拡大の影響で再び閉鎖されました。カリフォルニアのディズニーランドは2月に営業を休止して以来、いまだに営業再開できていません。パリは来年2月までの休園が決まっていますし、カリフォルニアの営業再開の目処はまったく立っていません。おそらく次のQ4(10-12月期)のディズニーの決算は厳しいものになるでしょう。
それだけでなく、次の次の21年Q1(1-3月期)の決算も楽観できないと思います。マーケットのディズニープラスへの期待は楽観が過ぎると思います。

⬆️はコロナ前の2019年のセグメント別の売上比率です。パーク部門が36%で最も大きい売上高を占めています。
ディズニープラスの快進撃は素晴らしいとは思いますが、会社の予想では2024年までは赤字の見込みです。一方でコロナ前に主力事業であったパーク部門は大打撃を受けています。

ディズニープラスは将来的にはディズニーの主力事業のひとつに成長すると思いますが、それにはまだ数年かかります。長期ではディズニーは非常に有望だと思いますが、今は焦って飛び乗る株価水準ではないと思います。