「酔っぱらったサイコ」ミスターマーケットに惑わされない

90%以上でワクチンの効果を確認

新型コロナウィルスのワクチン開発をしているファイザー(PFE)とバイオンテック(BNTX)は数万人が参加した治験で90%を超える確率で効果が確認されたと発表しました。

これを受けて週明け9日のアメリカ市場は大きく上昇しました。S&P500指数は+41.06(+1.17%)の3550.50。

これで大統領選挙投票日前日の11月2日以降の上昇率は約8.5%です。昨日の場中には一時10%を超える水準まで上昇しました。昨日で土日を挟んで7営業日目です。

私はさすがに上昇は急ピッチすぎるのではないかと思っています。が、一方で上昇相場は懐疑の中で育つという格言もあります。株価の動きは予想できません。

ワクチンに対するバイデン氏の反応

次期大統領に当選を確実としたバイデン氏は新型コロナ対策タスクフォースを立ち上げ、会合を開きました。

会合後には今回のファイザーとバイオンテックの発表に対して「ワクチンが承認されたとしても広く接種可能になるまでに何カ月もかかるのは明白だ」とコメントしました。

非常に現実的なコメントだと思います。ワクチン承認がコロナ収束に即つながると期待すべきではありません。ただ、株式市場は先行性があるのでワクチンの影響を先取りするのは正しい動きだとは思います。

「酔っぱらったサイコ」ミスターマーケット

ウォーレン・バフェットの師にベンジャミン・グレアムという人がいます。

彼は株式市場をミスターマーケットという人物に擬人化しました。「賢明なる投資家」という著書で述べているそうですが、私は読んだことはありません。しかし、バフェットがミスターマーケットを引き合いに出すことがよくあり、私はバフェットを通じて知りました。ミスターマーケットは以下のような特徴を持っています。

  1. 株を値付けするために毎日やってくる
  2. 彼は情緒不安定で同じ会社の株でも値段をコロコロ変える
  3. 機嫌の良いときは陶酔感に浸りながら値付けをし、何事にも楽観的になる
  4. 非常に落ち込んでいるときには悲壮感を漂わせて何事にも悲観的になる
  5. 大抵は効率的だが常にというわけではない
  6. 短期の場合は投票機、長期の場合は計量器

⑥の短期の場合は投票機、長期の場合は計量器というのは、短期の場合は人気を測るのに適しており、長期の場合はその本質を測るのに適しているということです。
短期で急速に値上がりしている銘柄はその本質よりも投資家のその銘柄に対する瞬間的な熱量が表れており、長期で値上がりしている場合はその銘柄の本質的価値が上昇していることを意味するということです。つまり株価から本質的価値を測る場合は長期の株価推移を見ましょうということです。

昨日、相場全体は上昇しましたが、一部のハイテク銘柄は売られました。アマゾン(AMZN)は5%安、フェイスブック(FB)はも同じく5%安、ズームビデオ(ZM)は17.4%安(!)、マイクロソフト(MSFT)は2.4%安、アップル(AAPL)は2%安でした。

これは1日という短期の値動きですから、ミスターマーケットはあくまでも投票機であって、これらの銘柄の本質的価値が失われたので値下がりしたわけではなく、単に昨日1日の人気投票では人気がなかっただけということです。ズームの17%安というのは気にするなと言ってもできないくらい大きな値動きかもしれませんが、これらの銘柄に長期投資している人はまったく気にする必要ありません。

バフェットはミスターマーケットを「酔っぱらったサイコ(精神病患者)」と呼んだことがあります。それほど感情の起伏が激しいということです。バフェットはミスターマーケットに惑わされてはならないと事あるごとに警告をしています。

11月2日以降のミスターマーケットはまさにパーティで酔っぱらって大はしゃぎしているような印象です。「大統領選も通過したし、ワクチン開発も大きく進展した、コロナの感染が拡大しているようだけどそんなこと気にするな!」と言ったところでしょうか。

しかし、彼はバフェットが言うようにサイコです(笑)。来週、再来週には顔面蒼白でこの世の終わりのような雰囲気になっている可能性も十分にありますが、サイコですから行動は予測できません。

ミスターマーケットはサイコではありますが、長期では優秀な株式の本質的価値計測マシーンです。彼の感情の起伏に惑わされず、逆に優秀な面をうまく利用しましょう。