予想通り(?)コロナの影響で業績悪化
決算発表:4月29日
【決算カンファレンスコール要旨】
・売上高169億ドル(前年同期-26%)、EPS-1.7ドル
・2019年の水準に戻るまで2、3年かかり、長期の成長トレンドに戻るまではそこからさらに数年要するだろう
・コロナの航空業界への打撃を反映して製品の生産や引き渡しは鈍化する
・政府向けのサービスや防衛・宇宙事業はこの先、ボーイングのポートフォリオに安定をもたらす
・この先数年に渡っての急激な航空機需要の減退下では現在の従業員数を維持できない
・16万人いる従業員の10%削減を年末までに行う
・向上の操業停止に伴って、4、5月期には追加コストが予想されている
商用機の生産見通し

カンファレンスコール内でも話が出ていましたが、かなり厳しい見通しだと思います。
上の図は、それぞれの機種で1 ヶ月あたり何機生産するかの見通しで、例えばボーイング787であれば、通常、1か月あたり14機生産しているところ、2020年は10機、2022年は7機と半減する見通しです。787は前回、2020年末で12機、2021年初で10機とアナウンスされていましたので、減産のペースの見通しが少し前倒しになっているようです。
777Xは今年1月に初飛行を迎えた新機種で、次世代フラッグシップモデルですが、2021年は月3機生産の見通しとなっています。
737MAXは2018年と2019年に起きた2件の墜落事故が飛行機の欠陥によることが判明し、現在生産停止、再開にむけて準備が進められていますが、こちらの機種も当初計画より増産ペースが遅れる見通しとなっています。
カンファレンスコール内での質疑応答でアナリストから既存契約の何パーセントぐらいの割合でキャンセルの話が航空会社との間で出ているのかに関して質問が出ていましたが、経営陣はキャンセルに関して明言はしませんでした。
今後、各航空会社の業績悪化が見込まれていますが、業績悪化に伴ってキャンセルが出てきて今回示された見通しよりも悪化する可能性は十分にあると思います。
防衛・宇宙事業とグローバルサービス
商用機部門が航空業界の打撃を受けて売上縮小が見込まれるなか、防衛・宇宙事業、グローバルサービスの2つのセグメントは安定的な売上が期待できます。

決算資料によると、2019年の売上セグメントのうち、防衛・宇宙・セキュリティ(BDS)は全体の34%、グローバルサービスは24%を占めています
BDSは国防総省やアメリカ軍、アメリカ航空宇宙局(NASA)が主な顧客のビジネスなので、景気の影響を受けにくく、現在のようなリセッション局面ではポートフォリオに安定をもたらします。ちなみに日本の航空自衛隊も国防総省を通して、ボーイング社と取引があります。
グローバルサービス(BGS)は、ボーイングの機材の保守・管理等を有償で行うサービスです。景気にかなり左右される航空機の販売に対し、BGSもリセッション局面では安定的な売上が計算できるセグメントです。従来よりボーイングはBGSの売上セグメントの拡大を目指していて、現在、180億ドルほどのBGSの売上を今後10年で500億円まで拡大させたいとしています。
ボーイングは評価が難しい by ウォーレン・バフェット
直近では2月高値から-60%、半値以下にまで売られています。さすがにボーイング株は売られすぎな気もしますが、バフェットが言うように評価は難しいと思います。経営破綻や国有化の可能性もゼロとは言い切れません。
確かに航空業界は大打撃を受けていて、今後数年は、商用機の販売はかなり厳しいでしょう。しかし、上のセグメントの図の通り、ボーイングの売上の約半分は政府相手のビジネスです。
今後数年は航空旅客は激減するでしょう。しかし、長期の増加トレンドも変わるでしょうか。ワクチンと特効薬ができれば、世界中の人々はまた飛行機に乗って旅行にいくのではないでしょうか。
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