フェイスブック(FB)Q4
決算発表 1月27日
【決算概要】
| Q4(前年比) | 市場コンセンサス予想 |
---|---|---|
売上高 | 280.7億ドル(+31%) | 262.3億ドル |
営業利益率 | 45.5%(+3.5%<+350bps>) | – |
EPS | 3.88ドル(+52%) | 3.22ドル |
2020通期(前年比) | 市場コンセンサス予想 | |
---|---|---|
売上高 | 859.7億ドル(+21%) | 841.3億ドル |
営業利益率 | 38.0%(+4.1%<+410bps>) | – |
EPS | 10.09ドル(+57%) | 9.44ドル |
株価:265.00ドル(1月28日終値)
2020年度EPS:10.09ドル
2021年度EPS(予):11.16ドル
PER(実):26.26倍 益回り:3.81%
PER(予):23.75倍 益回り:4.21%
FAAMGのなかで一番投資妙味がありそう
決算は非常に良い内容だったと思います。
昨年3月のFRBの大規模金融緩和以降、アメリカの巨大ハイテク企業の株価は大きく上昇しました。アップルなどは数年前までPER17倍程度であったものが、現在では30倍台です。昨日、決算記事で書いたとおり、マイクロソフトもここ数年は30倍を超える水準を保っています。
フェイスブックはその中でも割安感があり、投資妙味があるのではないかと思っています。
株価が他のハイテク銘柄ほど上がっていない大きな理由のひとつがその収益構造だと思います。
⬆️はフェイスブックの売上の内訳です。20年Q4では96%が広告収入でした。この収益構造の偏りがビジネス上の大きなリスクとマーケットに認識されていると思います。
フェイスブックの経営陣も広告収入への依存に対する危機感は持っており、新たな収益源の開発に着手しています。
目玉となるのがチェックアウト機能です。
チェックアウト機能とは、傘下のInstagramで商品の紹介から販売、決済までを行うサービスです。
店側はInstagram上で商品を直接、消費者へ販売できるようになり、売上高の一部がマージンとしてフェイスブック側に入るようになっています。
Instagramのチェックアウト機能については以前、記事を書いたことがあるので詳しくはそちらをご参照ください。
今サービスのアメリカでの立ち上げは2019年3月でまもなく2年経ちますが、いまだに本格的な収益を生み出すまでには至っていません。
以前の決算カンファレンスコールでシェリル・サンドバーグCOOは時間をかけて手順をしっかり踏んで立ち上げて行きたいと言っていました。
今回の決算コールではInstagram上でShopタブを立ち上げたと説明がありましたが、ショッピング部門での具体的な進捗についての発言はありませんでした。
マーケットはチェックアウト機能の成長をまだ完全には織り込んでいないと思います。
個人情報の取り扱いに関する世論の逆風は強い
もう一つの大きなリスクは個人情報の取り扱いに関する世論の逆風です。
フェイスブックはプラットフォーム上で収集した個人情報を使って金儲けしている!と言う批判です。
先日、アップルのクックCEOも公の場で批判を口にしています。
個人情報取り扱いについて、世論の反発がエスカレートすると巨大ハイテク企業解体論に発展する恐れもゼロではありません。
巨大ハイテク企業解体のリスクはゼロではないと思います。アメリカは歴史上、巨大石油企業のスタンダード・オイル社を最高裁命令で事業分割に追い込んだ実例もあります。
ただ、個人情報取り扱いに関する批判のリスクはアルファベット(GOOGL)やアマゾン(AMZN)にも当てはまることです。
3社の株価の動きを見比べるとフェイスブックは他の2社よりもそのリスクが過度に意識されているきらいがあります。
いかなる投資もリスクがゼロということはあり得ません。リスクを取ることが資本主義社会の中での株主の大きな役割で、その見返りとしてビジネスが成功した暁には利益を得ることができます。
リスクと期待できるリターンを天秤にかけると、現在のフェイスブックは投資妙味があると思います。
最近のコメント