【決算】ユニオンパシフィック 短期では悲観、長期では買い場?

ユニオンパシフィック(UNP) Q2

決算発表 7月23日
【決算概要】

Q2(前年比)市場コンセンサス予想
売上高42.4億ドル(-24%)44億ドル
営業利益率38.9%(-1.5%)
EPS1.67ドル(-25%)1.61ドル

株価:176.12(7月24日終値)
2019年度EPS:8.38ドル
2020年度EPS(予):7.68ドル Q2終了時点:3.82ドル
PER(実):21.02倍 益回り:4.8%
PER(予):22.93倍 益回り:4.4%
過去10年平均PER:15.66倍 益回り:6.4%

鉄道事業は参入障壁が非常に高い産業

ユニオンパシフィックは米国最大の鉄道会社です。日本で鉄道会社というとJRや私鉄各社の旅客輸送が想起されるかもしれませんが、広大なアメリカでは貨物輸送が主です。鉄道による旅客輸送もゼロではありませんが、基本的に多くの人は長距離は飛行機、短距離は車で移動します。

UNPの路線図です。中西部に広がる路線網を有しています。中西部の鉄道事業はUNPとバフェットのバークシャー ・ハサウェイ傘下のバーリントン・ノーザン・アンド・サンタフェ(BNSF)の事実上の2社寡占です。バフェットはUNPの株も所有していましたが、BNSFをバークシャー の子会社とする際に独禁法に触れるため、UNP株を売却しています。

同じ輸送事業でも航空事業や日本のヤマト運輸などの貨物輸送事業と鉄道事業が大きく違う点は、新規参入の際の設備投資スケールです。鉄道事業には路線網が必要不可欠で、路線を引くには広大な用地買収が必要になってきます。UNPのバランスシートによると、有形固定資産は543億ドル(約5.8兆円)が計上されています。すでに2社の大きな鉄道会社が存在する中西部での新規参入は物理的に不可能と言っていいでしょう。

景気循環に敏感な貨物品は景気後退のダメージが少なくない

売上高はコンセンサス予想を下回り、EPSは予想を上回りました。
貨物品別の売上を見てみましょう。

貨物品は大きく以下の3つに分けられます。

  • Bulk(農産物や石炭など)
  • Industrial(化学製品やプラスチック、鉄鋼、木材、エネルギー製品など)
  • Premium(自動車関連、インターモダル)

インターモダルというのは鉄道、船舶、航空、トラックの組み合わせ輸送のことを指すそうです。
各貨物品の割合はほぼ等分です。
Q2(4〜6月期)に特に落ち込みの激しかったものは自動車関連です。4月に北米の多くの自動車工場が操業停止し、4月の自動車の出荷台数は90%落ち込みました。6月最後の週には15%以内にまで回復してきたとのことですが、それでも先行きは暗いでしょう。
石炭や石油などのエネルギー関連製品も需要が急激に落ち込んだことにより輸送量も減少しました。木材も住宅着工件数の減少によりネガティブな影響を受けています。

エネルギー製品、自動車、木材など景気循環に敏感な商品がUNPの貨物品に多く含まれています。コロナウィルスによる経済の停滞が長引けば、UNPの業績はじわりじわりとダメージを負うことになるでしょう。長期的目線では株価の下落は買い場になるかもしれません。


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