【決算】ビザ Q3 追い風と逆風が入り交じるビジネス環境

ビザ(V) Q3

決算発表 7月28日
【決算概要】

Q2(前年比)市場コンセンサス予想
売上高48.4億ドル(-17%)48.2億ドル
営業利益率62.4%(-4.5%)
EPS1.06ドル(-23%)1.03ドル

株価:198.58ドル(7月28日終値)
2019年度EPS:5.44ドル
2020年度EPS(予):5.02ドル Q2終了時点:3.91ドル
PER(実):36.50倍 益回り:2.7%
PER(予):39.56倍 益回り:2.5%
過去10年平均PER:29.6倍 益回り:3.4%

週次のデータでは直近で回復の動き

決算の数字はおおむね、市場予想どおりでした。売上高では17%、EPSでは23%、前年よりも悪い数字になっています。
少し細かい数字を見てみましょう。

出典:VISA Q3 Financial Results Presentation

世界中のビザカードのQ3の総支払額は前年比で-10%、国境を超えた決済ではヨーロッパを除く地域では-47%、ヨーロッパ含めた全世界では-37%でした。
国境を超えた決済はコロナの影響で海外旅行者が激減している影響でしょう。
決済件数は前年比-13%でした。

アメリカ国内の週ごとの決済数を見ると、直近数週間ではプラスに転じています。

出典:VISA Q3 Financial Results Presentation

アメリカ国内ではニューヨーク州など4月に感染者数のピークを迎えた地域では6月以降、段階的に経済活動が再開してきています。その影響もあって少しずつクレジットカードやデビットカードの使用額も回復してきていると思われます。
AmazonなどのEコマースでの決済もビザにとっては追い風です。単純にアメリカでEコマースの利用料が増えただけでなく、Eコマースが普及していないアルゼンチンやルーマニアなどの国々ではコロナの影響でEコマースの利用が増え、ビザにとってもポジティブに作用したと決算カンファレンスコールで言及がありました。今後、Eコマースの拡大によるビザの成長期待を膨らませてくれる話ではないでしょうか。

市場ではコロナからの回復には時間がかかるとの声も

出典:VISA Q3 Financial Results Presentation

一方、国境を超えた決済額は依然、厳しい状況のままです。こちらは月次のデータなのですが、改めて見るとすごい落ち込みですね。自由に海外旅行に行けるような環境にならないとこの部分での回復は見込めないでしょう。

こちらは昨年のQ3の売上の内訳です。国境を超えた決済は全体で約19.8億ドル、売上全体で34%を占めます。この部門が約40%減ってしまうというのは全体としては小さくないインパクトだと思います。しかもこの影響は他の部門より長期に及ぶ可能性があります。

こちらは今期のクレジットとデビットの使用額の前期比を表したグラフです。黄色が名目、青が実質の値です。クレジットが大きく落ち込んでいる一方、デビットは実質値では微増しています。ちなみにデビットカードは決済時に銀行口座に残高がないと決済できないカードです。クレジットカードと違って口座残高以上の買い物ができないので使いすぎる恐れがありません。景気の先行き不透明感からなるべく借金を避けて必要なものを手元にあるお金で買うといったように消費行動は保守的に傾いています。こんなところも消費者心理の現れなのかなと思います。

コロナ禍はEコマースの利用増加・拡大などビザにとって追い風の要素もある一方、海外旅行客の全世界的な激減という逆風もあります。また、デビットカード・クレジットカードの使用量は個人消費の影響を非常に強く受けます。失業率が上がり、景気の低迷が長引けばビザにとっては非常に大きな打撃となります。