ヴィーヴァ・システムズ(VEEV)Q4
決算発表 3月2日
【決算概要】
Q4(前年比) | 市場コンセンサス予想 | |
---|---|---|
売上高 | 4.0億ドル(+27%) | 3.8億ドル |
営業利益率 | 38.6%(+5.4%<+540bps>) | – |
EPS | 0.78ドル(+44%) | 0.68ドル |
| 2021通期(前年比) | 市場コンセンサス予想 |
---|---|---|
売上高 | 14.7億ドル(+33%) | 14.5億ドル |
営業利益率 | 39.8%(+2.5%<+250bps>) | – |
EPS | 2.94ドル(+34%) | 2.84ドル |
株価:256.13ドル(3月4日終値)
2021年EPS:2.94ドル
2022年EPS(予):3.22ドル
PER(実):87.12倍 益回り:1.15%
PER(予):79.54倍 益回り:1.26%
【2022年Q1ガイダンス】
売上高:4.08〜4.10億ドル 市場コンセンサス予想:4.1億ドル
EPS:0.77〜0.78ドル 市場予想:0.78ドル
【2022年ガイダンス】
売上高:17.55〜17.65億ドル 市場コンセンサス予想:17.6億ドル
EPS:3.20ドル 市場予想:3.22ドル
ヴィーヴァ・システムズは製薬業界特化のクラウドCRMサービスを提供している会社
ヴィーヴァ・システムズは製薬会社の営業担当者であるMR(Medical representative)と医師や薬剤師などの医療従事者をつなぐクラウドCRM(Customer Relationship Management)サービスを提供している会社です。
医療業界版セールスフォースと言うとわかりやすいかもしれません。CEOのピーター・ガスナーはセールスフォースの出身です。
まず、売上はソフトやクラウドサービスのサブスクリプションによる売上と単発のサービス提供による売上の2つに分けられます。

⬆️は売上の内訳のグラフですが、オレンジがサブスクリプション、グレーがサービスによる売上です。売上比率はサブスクリプションが約8割、サービスが約2割です。
決算書を見ると、製品セグメントは大きく2つに分けられています。

Veeva Commercial Cloud・・・製薬会社向けの顧客管理プラットフォームやクラウドサービスを中心としたセグメント
Veeva Vault・・・Precision Medicine(精密医療)および臨床試験向けのプラットフォームを中心としたセグメント
Veeva Commercial Cloudは製薬会社の営業担当者であるMRとその顧客である医師や薬剤師などをつなぐ顧客管理プラットフォームのVeeva CRM SuiteやクラウドサービスのVeeva Data Cloudなどが含まれます。
一方のVeeva Vaultはオーダーメイド療法とも言われる精密医療(患者個人の細胞を遺伝子レベルで分析し、投薬・治療を行うこと)や臨床試験のデータ管理や文書管理に特化したプラットフォームのVault Clinical Suiteを中心としたセグメントです。
それぞれのセグメントでサブスクリプションによる売上とサービスによる売上があります。

それぞれのセグメント別の売上比率は現状はおよそ半分ずつですが、後発サービスであるVaultのほうが成長率が高く、今後はVaultの売上比率が大きくなっていくと経営陣は見ています。

顧客にはファイザー(PFE)、メルク(MRK)などアメリカの大手製薬会社のほか、アステラス製薬や武田薬品工業など日本の製薬企業も含まれていて130以上の国で事業展開をしています。
経営陣は2025年までの長期の業績目標を示しています。

2025年の売上高目標が30億ドル、Commercial Cloudでの売上高が2019年の2倍、Vaultが2019年比で約4倍を目標に定めています。
今回発表された2020年(2021会計年度)の売上高が約15億ドルだったので、5年で売上高倍増が目先の目標になります。
2015年には2021会計年度(つまり今回の決算)の業績目標を設定していました。

売上高目標が10億ドルでしたが、こちらは1年前倒しで2020会計年度に達成しています。営業利益率目標も上限32%だったものが37%まで伸びました。

現在、営業利益率は30%台の後半ですが、新しい製品への投資を続けていくことから、2025年には35%程度まで落ちてくると会社側は予想しています。
コロナ禍は同社にとって追い風になりました。おそらく、オンラインで顧客とコミュニケーションを取って営業活動をしていくという流れは、コロナが収束したとしても変わらないと思います。MRのように特定の顧客に継続的に営業活動を行う分野では尚更だと思います。
同社は医療分野に特化することで商品やサービスの差別化を図ることができ、経済的な濠となると思います。
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