今のマーケットは少し楽観的すぎるかも

昨日の夜、マネックス証券の広瀬隆雄さんのセミナーを見ていたら、ちょっと気に掛かるデータがあったので紹介したいと思います。
今後の株式市場の展望をお話しされているとき、S&P500のEPS(1株あたり純利益)のコンセンサス予想の推移のグラフが紹介されていました。
広瀬さんの資料出典として表記されていたファクトセットで同じものを見つけたのでご紹介します。

出典:ファクトセット
出典:ファクトセット

上が年次別、下が四半期ごとのEPSのコンセンサス予想のグラフです。

これを見たとき、「ちょっと楽観的すぎでは!?」と思いました。
グラフによると年次別では2020年にガクンと落ちた後、2021年には2019年を超えた水準まで戻るとされています。
四半期別では20年Q2(4〜6月期)が底でQ3(7〜9月期)がQ1とほぼ同水準、Q4(10〜12月期)にはQ1を超える水準まで回復することが予想されています。どちらもほとんどV字回復です。
私が一番引っかかったのはQ4の予想です。10〜12月はコロナの第2波、第3波が来るかもと言われている時期です。しかし、Q1を上回っているということは、マーケットは第2波、第3波を想定していないか、来たとしても被害は微小に終わると想定しているといえると思います。
また、21年Q1はさらにその上の数字が想定されています。マーケットは年明けにはワクチン・特効薬が登場していると想定しているのか、抗体を持つ人が自然に増えると想定しているのでしょうか?
予想EPSを見る限り、今年の2月以降のようなパンデミックによる経済への打撃は想定されていないように思えます。

株価とEPSの関係性

株価は将来のキャッシュフローの合計を適当な割引率で割り引いたものです。
将来キャッシュフローの合計は平たくいえば、将来EPSの合計です。
実際に式に当てはめて理論株価を計算する方もいますが、私はその手法は採りません。なぜなら、適当な割引率がわからないから。割引率はリスクを数値化したものと言えるかと思います。インフレ率や金利を参考に設定されるのでしょうが、最終的には目に見えないリスクを数値化して勘案しなくてはならず、どうやっても客観的な数値など出せないというのが私の考えです。
ただ、計算はできないけど、株価は将来のキャッシュフローの合計を適当な割引率で割り引いたものという考え方は常に頭の片隅に置いておくようにしています。
すると、株価の変動は将来キャッシュフローの変動か割引率の変動によって起こると言えるかと思います。
つまり、今予測されている将来EPSの想定が崩れれば、当然ですが株価は下落するということです。

今後の株価はコロナの流行とワクチン・特効薬開発の進捗によって左右されると思っています。私は現時点ではこれはかなり不透明要素だと思っていて、将来の不透明性はリスクそのものだと思います。EPSの予想コンセンサスが高いだけでなく、将来の不透明性というリスクも割引率に反映されているのか少し疑問です。
私はコロナに関して、以下の二つのリスクがあるかと思います。

  • 流行の再発
  • 流行が収まったとしても、消費者心理が回復せず、景気の低迷が長引く

現在のマーケットはこのどちらのリスクに対しても少し楽観的過ぎるかなと思います。


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