世界一周中に生まれて初めてインフレを意識させられた話

FRBによるゼロ金利政策と大規模金融緩和

FRBは3月に新型コロナウィルスの感染拡大による経済ショックに対応するため、ゼロ金利政策と大規模な金融緩和に踏み切りました。あらゆる会社の社債などの金融資産を市場から買い上げてお金をジャブジャブと供給しています。

4月以降の株式市場の回復ぶりには目を見張るものがありますが、FRBのゼロ金利政策と金融緩和の効果が発揮されていることは間違いないと思います。
一方、一部には過度な物価上昇を意味するハイパーインフレやスタグフレーションを危惧する声もあります。スタグフレーションは景気後退と物価上昇が同時に起こる現象を指します。FRBを含めた各国の金融当局にとっては最も避けなければならない事態のひとつだと言えると思います。

私はハイパーインフレやスタグフレーションは起きないと思っています。むしろ、今警戒すべきはデフレに陥ることです。もし金利引き下げや金融緩和を行っていなかったら、経済へのダメージはさらに大きかったと思います。

20年以上にわたってデフレに苦しめられた日本

FRBなどの各国の金融当局が警戒しているのが90年代から2000年代の日本のような状態に陥ることです。日本はデフレがさらなるデフレを呼ぶ悪循環から抜け出すのに20年以上かかりました。
物価が下がる➡️企業業績が悪化➡️投資の縮小、給与が下がる➡️消費が冷え込む➡️さらに物価が下がる➡️・・・といった具合に底なし沼のようにデフレから抜け出せなくなりました。この悪循環はデフレスパイラルと呼ばれています。

過去25年の日本のインフレ率の推移です。2013年のアベノミクスによる大規模金融緩和発動までは低水準で推移ししています。2000年代前半はマイナスに沈む時期が続きました。牛丼1杯280円やマクドナルドのハンバーガーが1個59円で話題になった時期です。

つまり90年代半ばから2013年ごろまで日本の物価は横ばいか時期によっては下がっていたということです。
私は1988年生まれですが、物心ついた時には不景気でした。私が子供の頃、私の父は自宅兼店舗で自営業だったのですが、店先でお客さんと「不景気で困っちゃうね〜」と世間話をしていたのを覚えています。当時は景気の意味がよくわかりませんでしたが。

2013年以降の日銀による大規模緩和によって物価は一時的に上がりましたが、日銀が掲げる2%の物価安定目標には届いていません。かろうじてプラスを維持している状態です。今後の経済状況と金融政策によってはデフレに逆戻りする可能性もあります。

インフレを肌で実感したのは世界一周中

上のインフレ率の推移のグラフを見れば、確かに日本だって2010年前後から物価は少しずつ上昇しています。私が子供の頃、100円アイスは本当に100円でした。2015年ごろ、コンビニでいわゆる100円アイスを買おうとすると税込みで130円前後だったでしょうか。
よくよく考えると物価は上がっているのですが、実感としてはそこまで物価が上がったという実感はありませんでした。あくまでも私個人の感覚です。

生まれて初めて物価上昇を意識したのは世界一周をしていた時です。日本国内ではありませんでした。
『地球の歩き方』という旅行ガイドブックをご存知でしょうか。⬇️これです。

私が世界一周していた2015年時点では『地球の歩き方』は電子書籍版がありませんでした。今あるのかどうかわかりませんが、発売すれば売れるのになと思った記憶があります。
しかし、日本人バックパッカーの間では全ページのPDFデータが流通していました。私もデータを持っている人に出会った時にもらっていました。

その当時のデータが手元にないのでグーグルで拾ってきた画像ですが、⬆️のように『地球の歩き方』には宿泊施設やレストランの情報があります。住所や料金の目安が書いてあります。
参考になり助かったのですが、ひとつ問題がありました。私が旅行していたのは2015年から2016年にかけてですが、流通していたPDFデータは2008年〜2012年版が主でした。
先進国では物価水準は数年でそんなに変わりませんが、中南米や中東などいわゆる発展途上国では本に書かれている物価水準があまりアテにならなかったのです。

例えばインフレ率が7%だとすると、複利効果で5年で40%ほど物価が上昇する計算になります。旅行経験の浅いころはぼったくられているんじゃないかと疑心暗鬼になりましたが、徐々に物価変動が日本の感覚と違うことに気付きました。以降は掲載されている値段の3、4割増を目安にするようにしていました。

5年で物価が1.4倍になるのは現代の日本では経験できない感覚です。バブル崩壊後の日本で育った世代では物の値段は基本的に変わらないというのが率直な肌感覚ではないでしょうか。「日本の常識=世界の非常識」はいろいろな面で感じましたが、経済面も例外ではありませんでした。