株式市場はマネーゲームだ!という批判している人はただの情弱

最近、株価が戻してきています。
考えられる原因については前回書きました。

株価上昇のニュースを見ると、SNS等で「実体経済がこれだけ悪化しているのに、株価は上昇するなんて株式市場はやっぱりマネーゲームにすぎない!」というような意見を目にすることがあります。
こういう批判をする人たちは株式市場がどいうものなのかという根本的な理解に欠けていると思います。

株式市場は先行性がある

株式市場は先々の材料を織り込んで株価形成されていきます。
何の材料が、どれくらい先の見通しまで織り込まれているかはわかりません。わかる人はこの世に存在しないと思います。神のみぞ知るの領域だと思っています。
株価に織り込まれる材料は「織り込み済み材料ボード」という掲示板のようなものがあって、織り込まれた材料はそこにいちいち書き込まれていく•••といったものではありません。
株式市場は非常に多くに人によって秒単位で取引がされています。現代では人だけではなく、超高速取引が可能な人工知能も市場参加しています。数分の1秒単位で取引が行われています。それぞれの取引にはそれぞれの思惑によって意思決定され、決済されています。たとえ人工知能だとしても、アルゴリズムにしたがってニュース速報を読み込み、売りか買いか判断しています。その思惑こそが織り込まれる材料なのです。

例えば、4月、5月とアメリカの雇用統計は非常に悪い数字が発表されました。しかし、どちらの発表の日も株価は大幅に上昇しています。市場は雇用統計の数字よりもFRBの金融緩和やワクチンや特効薬開発の進捗状況を重く見て、株価が上昇したと思われます。雇用統計の数字の悪化は織り込み済みだったということです。しかし、この材料の判断は限られた人によって行われているのではなく、世界中の人工知能を含めた取引参加者の思惑が絡みあった糸のように複雑に交錯して形成されたものです。だからどこまで織り込まれているかは誰にもわかりませんが、先々のあらゆる材料が織り込まれて株価が形成されるので、今、現下の雇用状況が悪化していると発表されたから今夜の株価が下がるとは限らないのです。

株式はいつでも売買できる

しかし、一方で投機筋が株価を吊り上げている一面があることは否定できません。ボラティリティが大きくなると、こういった投機筋が存在感を増してきます。そういった取引が善いか悪いかについての判断は難しいと思います。
今、「ホモ・デウス」という本を遅ればせながら読んでいるのですが、たまたま今日読んでいた部分に善悪について論じている部分があって、なかなか興味深かったので引用します。

1300年には、ロンドン やパリやトレドの人々は、何が善で何が悪か(中略)人間が自ら決められるとは思っていなかった。善や正義や美を創造し、定義しうるのは、神だけだった。
(中略)
今日では事情は大違いだ。(中略)善いと感じていることが善いかどうか、悪いと感じていることが悪いかどうかに関しては、自分自身の意見を聞きさえすればいいのだ

「ホモ・デウス」下 ユヴァル・ノア・ハラリ著

現代では善悪に関して、特に法律の範疇を超えてしまうものに関しては絶対的な善悪を判断する基準が存在しないということです。
短期筋の話に戻りますが、彼らがなぜ、短期で売買ができるかというと、それは株式は取引時間中(ものによっては取引時間外でも)、自由に売買ができるからです。当たり前だと思うかもしれませんが、たとえば、不動産ではそうはいきません。法規制もありますし、1日に何度も売買できるほどの流動性もありません。
善悪については判断しかねますが、短期売買の規制は明らかに株式の魅力を削ぐことになります。自由を保障するには一定程度の代償が伴うということです。マネーゲームといえばそれまでですが、それを理由に「だから株取引なんかしない!」と門戸を一切閉ざしてしまうのはもったいないし、自分のためにもならないと思います。短期の値動きはノイズです。一喜一憂せず、着実に利益を伸ばしていきたいと思います。

「ホモ・デウス」に関しては後日、改めてご紹介したいと思いますが、あらゆる物事があらゆる側面から論じられていて非常に勉強になるいい本だと思います。


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