お金は人類史上最大級の発明
人類は数々の発明によって今日の繁栄を享受しています。
紙、文字、印刷、蒸気機関、電気、コンピュータ、インターネットなど人類の繁栄に寄与してきた発明品は数多くありますが、お金もそのうちのひとつです。
お金が存在しなかった原始経済の時代、何かを手に入れるには物々交換をする必要がありました。
お肉が欲しいなと思ったらお肉を持っている人のところへ行き、自分が持っているものと交換してくれるよう交渉する必要があります。ひとつのものを手に入れるために大きな手間と時間がかかります。
お金の発明によって、そういった手間や時間をかけずに欲しいものが手に入るようになりました。
お肉が欲しいなと思ったら、お肉屋さんへ行き、値札に書いてある価格を払えばお肉が手に入ります。
お金の誕生によって分業制が進み、社会全体で享受する富の総量は大幅に増加しました。
お金にはもうひとつのメリットがあります。肉や野菜、米などの生鮮食品とは異なり、腐らないということです。
生鮮食品は物によっては数日、米など長持ちする物でも1年程度で品質が著しく悪化してしまいますが、タンスにある1万円札は5年後も1万円として使えます。
しかし、このお金は腐らないというのは、物質的には当たっています(1万円札は腐りません)が、経済的には間違っています。
インフレはお金を腐らせる
日本はバブル崩壊後、長いことデフレに苦しんできました。
私は1988年生まれですが、私が子供のころ(2000年前後)と現在ではお金の価値はそれほど大きく変わっていないと思います。
私が小学生や中学生のころ、お年玉の相場は5,000円ぐらいだったと思います。祖父母は1万円くれていた記憶がありますが、伯父伯母は3,000円か5,000円だったと思います。
今の子供達はいくらぐらいもらっているのだろうと思い、調べて見たところ、相場は以下のようになっているようです。
私が子供のころと同じような相場だと思います。
つまり、20年前と現在でお金の価値に大きな違いがないということです。
1980年代以降に生まれた日本人、つまり40歳以下の人たちにとってはお金の価値は変わらないということが当たり前になっています。
しかし、それは近い将来、当たり前ではなくなるかもしれません。
先日発表されたアメリカの食料品とエネルギーを除いたコアCPI(消費者物価指数)は前年比で+4.9%でした。1年前と比較して物価がおしなべて5%程度上昇したということを意味します。
これを受けてアメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は国債などの資産買い入れの縮小ペースを早めると発表しました。
さらに来年は2回、もしくは3回の利上げがあると市場では織り込まれつつあります。
FRBが焦っているのはインフレが現金を腐らせ始めているからです。
5%の物価上昇は単純に考えると、昨年12月にタンスに入れた100ドルが現在では95ドル程度の価値しかなくなってきているということです。額面上は100ドルで変わりませんが、物価が5%上昇するということは、相対的に100ドルの価値が5%目減りするということです。昨年100ドルで買えたものは現在、105ドル出さないと買えません。
今年のお正月にお年玉が5000円だったとすると、来年は5250円でなければ昨年と同価値ではなくなるということです。まぁ、インフレを理由にお年玉の値上げを要求する小学生や中学生はなかなかいないと思いますが。
日本ではまだインフレの兆候はアメリカほどは見られません。
先日発表された日本のCPIは+0.6%でした。一部では物価上昇のニュースが話題になっていますが、アメリカと比較すればまだまだです。
デフレに苦しみ、脱却しきれていない日本でインフレの心配をするのは杞憂かもしれませんが、潜在的なリスクではあると思います。
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