財務長官にイエレン前FRB議長を起用へ 新財務長官を待ち受ける課題

アメリカの政権移行は滞りなく行われそう

以前、アメリカの大統領選挙で想定されるシナリオを3つ示しました

  1. どちらかの勝利が確定し、負けた候補が敗北宣言
  2. バイデン氏勝利宣言➡️トランプ氏敗北宣言せず法廷闘争へ
  3. 12月8日までに決着がつかない

①のシナリオはトランプ大統領が敗北を受け入れない姿勢を示したことで早々に実現の見込みがなくなり、②のシナリオに進みました。③になるかどうかは12月8日までに情勢の見通しがつくかどうかにかかっていましたが、どうやらそのリスクは低くなってきています。

マーケットはもはや大統領選挙を材料視していません。トランプ大統領が何を主張しようとまったく反応しなくなっています。バイデン大統領誕生を完全に織り込んでいます。
マーケットの目線はワクチンの承認のゆくえや足元の感染拡大による景気悪化リスク、そして追加経済対策の協議のゆくえに移っています。

トランプ大統領は敗北は認めないが、バイデン陣営への政権移行準備は認めるとツイートしました。

バイデン陣営は政権移行準備を本格化してきています。

イエレン前FRB議長を財務長官に起用へ

イエレン前FRB議長が財務長官に起用される見通しだという報道がありました。まだ正式発表ではありませんが、複数のメディアで観測報道が出ているのでほぼ間違い無いだろうと思います。

イエレン氏は非常に有能なFRB議長でした。トランプ政権への政権交代の影響もあって、2014年から2018年までの1期4年でしたが、リーマンショック後から導入されていた低金利を徐々に上昇させ、混乱なくソフトランディングさせた功績があります。マーケットは間違いなくイエレン氏の財務長官起用を好感するでしょう。

⬆️は2013年以降のアメリカの政策金利のチャートです。イエレン議長の人気は2014年2月〜2018年2月でした。2015年末から徐々に金利を上昇させていきました。その際、大幅な株価下落や経済的な混乱はありませんでした。

そして2020年に入って新型コロナウィルスの感染拡大によって再び実質ゼロ金利政策が導入されています。今後、景気が回復する局面に入ってくれば景気の過熱を避けるため再び金利を上げていく必要があります。個人的にはイエレンさんにはFRB議長に再登板してもらってもよかったかなとも思います。
まぁしかしパウエル現FRB議長の人気は2022年までであと1年以上残っていますし、パウエル議長も非常に有能な人だと思うのでわざわざイエレンさんを連れ戻さなくても、パウエル議長に留任してもらえばいい事ではありますが。

もし政権交代までに追加経済対策がまとまらなければ、追加経済対策の取りまとめが新しい財務長官の最初の大仕事になります。

下院は民主党が多数を取りましたが、上院の構成はまだ確定していません。
今のところ、定員100議席のうち共和党50議席、民主党48議席が確定しています。年明けにジョージア州の2議席を巡って決選投票が行われます。民主党が2議席とも取れば、50対50になり、採決の際にもし完全に割れてしまった場合は副大統領が1票を投じて上院として意思表示をすることになるので民主党が多数派を抑えることになりますが、ジョージア州で民主党が2議席を押さえることは簡単なことではないと思います。

ワクチン開発の進展により、もともと追加経済対策に後ろ向きだった共和党内では追加経済対策の縮小や不要論が大きくなってきています。共和党が上院の多数を押さえた場合、新しい財務長官にとって追加経済対策の取りまとめは茨の道になりそうです。

ちなみにイエレン氏が財務長官に任命されれば史上初の女性財務長官が誕生することになります。イエレン氏は史上初の女性FRB議長でした。2冠達成といったところでしょうか。

ケリー氏を気候変動特別大使へ

ジョン・ケリー元国務長官を気候変動の特別大使に起用する人事も報道されています。ケリー氏は民主党の大統領候補にもなったことのある党内の大物で、この人事だけでもバイデン政権が気候変動問題をいかに重要課題と捉えているかがわかると思いますし、バイデン陣営としてもそうアピールする狙いがあると思います。

私はテーマ株投資ということはしませんが、クリーンエネルギー株にとってはこういった政権の姿勢は追い風になることでしょう。


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