市場がトランプ氏敗北を織り込み始めた可能性

久々の大きな下げ

昨日は久々の大きな下げでした。S&P500指数は-119.65(-3.53%)、1日で3%以上下げるのは9月3日以来でした。

S&P500銘柄の昨日の値動きですが、全面安と言っていい展開でした。

理由はいくつか考えられると思います。

  • 大統領選挙の結果への不透明感
  • 欧米で新型コロナウィルスの感染が再拡大していること
  • 追加経済対策が選挙前に合意に到る可能性がほぼ絶望的になったこと

全米での1日の新規感染者数が23日には初めて8万人を超えました。死者数は今のところは横ばい傾向ですが、1000人を超える日があります。

ヨーロッパでも状況は深刻化してきていて、スペインでは首都マドリードが封鎖され、フランスでは再び大規模なロックダウンが導入されました。ドイツでもバーやレストランが再び封鎖される事態になっています。

マーケットは選挙結果を予測できるのか

アメリカの大統領選挙の投票日まで1週間を切りました。

株式市場には大統領選挙に関するアノマリーがいくつかありますが、投票日までの直近3ヶ月で株価が上がるか下がるかでその結果を予測するというものがあります。

投票日直近3ヶ月で株価が上昇すれば現職大統領が所属する党の候補が勝ち、株価が下落すれば野党候補が勝つというものです。

上の表は過去の結果を検証したものです。過去23回中、20回的中したことになります。確率では的中率87%で1984年以降では的中率100%です。なかなか高い的中率だと思います。

マジックナンバーは3294.61

前回の大統領選でヒラリー優勢が各メディアで報じられていた時も実は株価は下がっていて、この法則に従えばマーケットはトランプ勝利を予測していたことになります。

そして今回、その基準となる数値が8月3日のS&P500の終値、3294.61です。9月の下落局面で一旦は基準値を割り込みましたが、10月に回復し昨日までは基準値を上回って推移していました。

しかし、昨日3.5%下落したことで終値は3271.03となり、10月以降初めて基準値を下回って引けました。もしこのまま3294.61を回復せずに11月3日を迎えた場合、マーケットはバイデン勝利を予測し織り込んだことになります。

もちろん、株価の材料になっているのは大統領選挙だけではありません。株価は世の中の政治・経済のニュースを総合して値決めされていきます。特に今年は新型コロナウィルスという過去の大統領選挙時には存在しなかった大きな材料があります。

過去にもこのアノマリーに当てはまらなかったことが回数は少ないですがあるので、基準値を下回ったからトランプ敗北と決めつけるのは早計だと思います。本当に今回の大統領選挙は何が起こるかわからないと思います。

ただ一方でアノマリーは多くの市場参加者が意識をして取引に臨みます。しかも大統領にとって経済は最も重要な政策課題のひとつで、基本的に経済の後退局面で選挙に勝利した現職大統領はいません。

今回はトランプ大統領というこれまでの大統領にはいなかった特異なキャラクターを持つ大統領で、しかも景気後退の要因が新型コロナウィルスのパンデミックという、これも特異な事象によるものなのでこれまでの経験則が通用しない可能性は十分にありえます。

少し気になるペロシ下院議長の発言

昨日の株価下落を受けて民主党のペロシ下院議長が追加経済対策に関してコメントをしています。

ペロシ氏、株安がトランプ氏を経済対策合意に向かわせると期待

米民主党のペロシ下院議長は28日、ここ数日の米株下落がトランプ大統領を経済対策協議に向かわせ、民主党案に合意する動機付けになることを期待すると述べた。 …

「トランプ氏が新型コロナウイルス感染拡大や経済対策が合意に至らないことへの市場の反応を見て、今こそ真剣な態度で交渉の席に着くのが望ましい。経済対策が成立すれば米経済に財源を投入できる」と述べたそうです。

「ほ〜ら、株価下がってきちゃったわよ〜、経済対策で合意すれば株価回復するんじゃないの〜」とトランプ大統領にエサを撒いているのでしょう(笑)。なかなかの策士だと思います。

選挙に勝つためならなんでもするといった様相を呈してきているトランプ大統領なので、民主党に魂を売って民主党案を丸飲みしてでも選挙前に経済対策を合意に持ち込む可能性もゼロではないと思います。

おそらく合意に到ればポジティブサプライズで株価は一時的に上昇するでしょう。ただ一方的に民主党案を飲めば、共和党内からの反発は尋常ではないものになると思います。そうなると選挙前の議会上院は共和党が握っていますから、結局議会を通過させることができず、経済対策の実現は難しいでしょう。そればかりでなく、トランプ大統領は投票日に一部の共和党員の支持を失うことになりかねません。追加経済対策はトランプ大統領にとって頭の痛い問題だと思います。