【アメリカ大統領選】 誰が大統領でも米国株の将来にはあまり関係ない

大統領選はアメリカ株の長期的な将来にはそれほど大きな影響はない

ジョー・バイデン氏が民主党大会で正式に大統領候補として指名を受けました。
これで正式に11月のアメリカ大統領選挙は現職のドナルド・トランプ大統領とバイデン候補の争いになることが決まりました。

ネット上で「バイデン氏に決まると株安、トランプ大統領なら株高」という意見をたまに見かけますが、短期的にはそのような流れになるかもしれません。民主党は基本的な党の政策が大きい政府志向ですから、社会福祉政策の充実のために法人税を増税する可能性は少なくないと思っています。

しかし、長期的に見れば、米国株の将来には、アメリカの大統領が誰かというのはあまり関係ないと思います。
理由はアメリカ企業の強さは、多様性、技術革新にその原動力があるからです。

アメリカの原動力は多様性

日本企業も国際化が進んだと言われています。ソフトバンクグループや楽天のように外国人が役員に名を連ねている会社も増えてきました。

少し余談になりますが、楽天の本社のある二子玉川が出勤途中にあるんですが、インド系らしき外国人をたまに電車の中で見かけます。首から社員証を提げていることが多く、ストラップを見るとRakutenと書いてあります。株価も正直パッとしませんし、送料無料導入で物議を醸したり携帯事業参入にも賛否がありますが、やはり日本屈指のEC企業です。社内公用語も英語ですし、ほかの日本企業にない社内多様性があるのかなと思います。

製薬会社も国際化が進んでいる業種だと思います。中外製薬もスイスの製薬大手ロシュと業務提携していることもあり役員に外国人が名を連ねていますし、武田薬品工業の社長はフランス人です。

しかし、基本的に日本企業の経営陣は日本人が圧倒的に多数です。アメリカ企業の多様性は比べものになりません。

これはある意味、仕方のないことだと思います。そもそもの社会の成り立ちが違うからです。
日本人の大多数は200年、300年単位で先祖を遡っても日本人です。在日中国人や在日韓国人の人々もいますが、人口構成で見たら圧倒的マイノリティです。
一方、アメリカ人はアメリカ先住民の人たちを除けば、多くが17世紀以降、世界のどこかからアメリカに移住した人たちの子孫です。移民排斥を訴えているトランプ大統領だってドイツ移民3世です。彼の祖父はドイツ生まれでアメリカに移住してきました。

この多様性こそがアメリカのイノベーションの源泉です。アメリカを代表する企業のアルファベットやマイクロソフトの現社長はどちらもインド系です。多様性は世界中から優秀な人材をさらに引きつけます。

もちろん、日本には日本の良いところがたくさんあります。だからアメリカのほうがいい国だ!日本はダメだ!というつもりは全然ありません。ただ、アメリカが100年以上も技術革新の中心地であり続けられる原動力のひとつは間違いなく多様性だと思います。

民主党は「トランプはアメリカの多様性を破壊する!」と主張している一方、共和党は「民主党は大増税でアメリカ経済を破滅に追い込む」と主張していますが、どちらも言い過ぎだと思います。多様性はアメリカのアイデンティティですから、任期が4年の大統領が多様性を完全に破壊するとなったら、虐殺並のことをしなければなりません。アメリカの大統領の権限は日本の総理大臣より強いですが、大統領であっても民主主義国家の現代のアメリカでそのようなことができるとは思いません。

民主党が政権を取ったら法人税の増税はありうることかもしれません。そうなれば一時的に株安になることはあると思います。しかし、アメリカ企業の成長の循環をストップさせるほどの大増税をアメリカ政府が行うとは到底考えられません。一時的な株安は長期で見れば誤差のうちです。

アメリカの大企業への法人税率は低すぎると思う

アメリカの法人税については個人的に少し思うところがあります。

こちらは以前、フェイスブック(FB)の決算の際に紹介した決算資料の抜粋です。
今四半期、フェイスブックの売上は186億8,700万ドル、税引前の営業利益は59億6,300万ドルでした。一方で支払った税金はわずか9億5300万ドル、実効税率ではわずか16%です。GAFAは税金を十分払っていないと批判されますが、確かに通期で営業利益が何百億ドルにも達する大企業に対する課税としては不十分な気がします(株主の立場からすると喜ぶべきことなのかもしれませんが)。私が一般のアメリカ国民であったなら不満に感じると思います。

ただこれは企業側が責められるべき問題ではありません。アメリカはロビー活動が非常に活発なのでその点ではある程度企業側にも責任があるかもしれませんが、最終的な責任は政府にあると思います。政府の最も重要な役割は税金を徴収し、その使い道を決めることです。

株式市場にとって大統領選挙は一大イベントです。株価の動きに少なからず影響を及ぼします。しかし、長期で見れば株価への影響は誤差にすぎません。長期投資家は過度に意識せず、淡々と買うべきものを買っていけばいいと思います。


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