PERチャートから見えてくるもの 現在のアップルは割高か?

現在のアップル(AAPL)は割高なのか?

私のポートフォリオで一番大きなウェイトを占めている個別銘柄はアップルです。私がアップル株を初めて購入したのは2018年11月でしたが、その時から比べると株価は約2.5倍になっています。

⬆️はアップルの過去5年の株価チャートです。5年前の2016年と比較すると株価は5倍近くまで上昇しています。

YChartsという株式のデータサイトがあります。基本的に有料なのであまり見る機会はないのですが、無料で見られるデータの中にPER(株価収益率)のチャートというものがありました。

出典:YCharts

こちらはアップルのPERの過去5年分のチャートです。
2016年はPER10倍台、私が購入した2018年11月でも18倍台でしたが、現在は34倍近くまで上昇しています。

株価とPERの関係性は以下の数式のように表せます。

PER = 時価総額/利益 = 株価/EPS(1株あたり利益)
株価=PER×EPS

アップルの株価上昇にはEPSの上昇だけでなく、PERの上昇も大きく寄与していると言えます。

一方、株価が上昇していてもPERがそこまで上昇していない銘柄もあります。例えば、先日、私が新規投資したブラックロック(BLK)です。

株価は2018年11月の水準から約75%、2016年の水準からは約2倍に上昇しています。アップルほどではありませんが、株価だけ見るとそれなりに上昇している銘柄です。

そしてこちらがPERのチャートです。2018年に株価が調整した際に同じようにPERも下がっていますが、現在のPERの水準は2016年、2017年の水準より若干高い程度です。株価とPERのチャートの形を比較しても違いは一目瞭然です。

これはつまり、株価の上昇はEPSの上昇によるもので、アップルの株価上昇とは少し性格が異なります。

ブラックロックの例を挙げてみると、2016年以降のEPS(Earnings Per Share 1株あたり利益)は以下のとおりです。

20162017201820192020
EPS19.2922.6026.9328.4833.82

2020年のEPSは2016年と比較すると75%上昇しています。

ブラックロックは5年前の株価水準から株価が2倍にはなりましたが、それは本質的な株式価値の上昇によって株価が上昇した面が強いので、2倍になった現在の株価水準でも決して割高ではないと思います。

では、最初に挙げたアップルはPERが大きく上昇しているので現在割高なのでしょうか?

簡単にそうとも言い切れないのが株式投資の難しいところであり、面白いところです。

アップルのPERが上昇したのにはいろいろな要因があると思います。

大きな要因のひとつとして、iPhoneやMacなどのハードメーカー企業からApple TV+などサブスクリプションなどのサービスを掛け合わせた強力なエコシステムを持つ企業へと市場の認識が変化したことが挙げられると思います。

現在のアップル株が割高か否かについて個人的な意見としては、少なくとも割安とは言えないと思いますが、割高かどうかは正直わかりません。
割安・割高かがはっきりと正確にわかったら、その人はすぐに億り人になれると思います。

アップルと同様にマイクロソフト(MSFT)も過去10年と現在のPERを比較すると、現在のPERは高い水準で推移しています。過去10年の平均PERは18倍前後でしたが、現在のPERは40倍近くまで上昇しています。

しかし、こちらもPERの上昇だけをもって割高だと決めつけるのは早計だと思います。
マイクロソフトオフィスなどのソフトを販売するというビジネスをメインとする会社から、アジュールなどクラウド事業をビジネスの中心に据え、マーケットにおいて大きな優位性を有する会社へと変貌を遂げたことがPERを上昇させたと考えられます。
EPSのように目に見える数字としては表れませんが、こちらもビジネスモデルの変革によって株式の本質的な価値の上昇があったと考えて良いかと思います。

最近、よく『アメリカ株は割高ではないか?』という議論を耳にすることがありますが、株価が割高かどうかを一目瞭然に判断できる指標は存在しません。

株価が○年前から2倍、3倍(もしくは10倍)になっているからという理由だけで割高かどうかは判断できませんし、PERも株価の水準を測る目安になりますが、あくまでも目安であって、PER上昇=割高と単純には決めつけられません。


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