好調な企業決算が株価の上値を抑える S&P500のEPSとPER

S&P500は史上最高値圏で推移

アメリカの株式市場は1月、2月には一時的にグズグズしましたが、4月、5月は堅調に推移し、S&P500は現在史上最高値圏の4,200台で推移しています。

2021年Q1(4-6月期)の決算はほぼ出揃いました。
全般的に企業業績は好調です。

21年Q1決算は予想を上回る好調ぶり

3ヶ月ごとの決算発表が終わったころ、私はS&P500のEPSとPERを確認して現在の株式市場がどのような状況にあるのかをざっと認識するようにしています。

ちなみに3ヶ月前のS&P500の予想EPSのグラフは以下のようなものでした。

出典:ファクトセット

21年Q1の予想EPSは39.79ドルでした。
現在のグラフは以下のとおりです。

出典:ファクトセット

21年Q1のEPSは49.08ドルとなっています。
まだ確定値が出ていないのであくまで予想ということになっていますが、これ以降、数字が変化するとしても誤差の範囲内でしょう。

3月時点の予想数値から20%以上上昇したということになります。それだけ今回の決算が好調だったということでしょう。
好調な決算にも関わらず株価の反応は鈍いです。FRBによるテーパリング懸念が上値を抑えています。

21年・22年の予想EPSも上振れ

では21年・22年の通年のEPS予想を見てみましょう。

出典:ファクトセット

21年の予想EPSが189.66ドル、22年が211.52ドルです。

出典:ファクトセット

⬆️は2020年6月以降の21年・22年の予想EPSの変化の推移です。実線が21年、点線が22年を表しています。
今年3月の時点で21年の予想EPSは175ドル、22年は202ドルでした。3ヶ月のあいだにそれぞれ21年は8%、22年は5%程度上振れたことになります。

それぞれ年の数値をもとにしたPERと株式益回りは以下のとおりです。
6月4日のS&P500の終値4,229.89をもとに計算しています。

EPSPER株式益回り
2020年140.4630.11倍3.32%
2021年189.6622.30倍4.48%
2022年211.5220.00倍5.00%

ちなみに3ヶ月前のグラフは以下のようなものでした。

出典:ファクトセット

21年は約14ドル(8%)、22年は約10ドル(5%)上方修正されています。

四半期ベースでも通年ベースでも企業業績の予想数値が引き上げられていることから、アメリカ経済の回復が当初市場が予想していたよりも早いペースで進んでいるということに間違いはなさそうです。

好決算で株価下落という相場が続く可能性も

昨年の3月以来、FRBは毎月最低1,200億ドルの資産買い入れを続けています。せっせと市場にお金を供給して経済を下支えしてきました。

企業決算が好調ということはFRBがそろそろ金融緩和の出口戦略を考え始めるのではないか?と市場は疑心暗鬼になっています。
経済が好調ならば何も水を差すようなことをせず、そのまま金融緩和を続ければいいじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、経済が過熱するとインフレに陥るリスクが出てきます。

さらに、今の金融政策をいつまでも維持し続けると、もし想定外の出来事で経済が急速に悪化したときFRBに打つ手がないという状態に陥ってしまう可能性もあります。

以前も記事に書きましたが、昨年3月のコロナショックの際に大規模な金融緩和政策を打つことができたのは、さかのぼって考えると、2016年ごろから当時のFRB議長だったジャネット・イエレンさんが金融引き締めを行っていたからだと言えます。

経済はよく部屋の温度や人間の血圧に例えられることがあります。
部屋の温度は高すぎても低すぎても快適ではありませんし、人間の血圧も高すぎたり低すぎたりすると健康を害してしまいます。
経済も同様です。不景気はもちろん良くありませんが、好景気もいきすぎると長期的には経済にダメージを与えます。
とてもわかりやすい例が80年代後半の日本のバブルと90年代以降の長期的な経済低迷です。好景気に歯止めがかけられず、急速に景気を冷やそうとした結果、逆にデフレに陥り結果的に20年以上抜け出せなくなりました。

金融緩和の出口が意識されていることから、この先数ヶ月は経済指標や決算などでポジティブな経済ニュースが出てくると株価下落、逆に悪いニュースが出てくると株価上昇というあまのじゃくな相場展開が続く可能性があります。