アメリカ株は買い場なのか? データで見るS&P500の現在地

9月のパフォーマンスは-9.3%

9月は例年、株式市場が軟調になる月です。

出典:Forbes

⬆️は先日も掲載したデータですが、1950年から2017年の67年間のデータで、9月は1年でもっともパフォーマンスが悪い月となっています。

今年の9月もパフォーマンスが悪い月となりました。1ヶ月のパフォーマンスは-9.3%で、6月につけた年初来安値を更新しました。

市場のセンチメントは総悲観といった様相です。

現在の水準は長期的には買い場なのか?

私はおおよそ月に1度の頻度で、S&P500のファンダメンタルズを確認するようにしていましたが、久々の更新となってしまいました。

9月30日付けのファクトセットのレポートによると、2022年のS&P500のコンセンサス予想EPS(1株あたり利益)は224.38ドルということになっています。2023年の予想EPSは241.83ドルでした。

⬆️のグラフは2022年と2023年の予想EPSの変遷の推移を表したグラフです。

今年の4月末には2022年予想EPSが230ドル台、2023年予想EPSは250ドル台でしたが、それ以降は下落傾向にあります。
将来の業績に対して、市場が弱気になってきているということです。FRBによる金融引き締めが強く影響しています。

S&P500の企業のうち、65社がQ3(7-9月期)の業績にネガティブな会社予想を出している一方、ポジティブな業績予想を出しているのは41社でした。
市場や企業の業績予想を見ても、徐々ににリセッション(景気後退)の足音が近づいてきていることがわかります。

10月5日の終値3,783.28でそれぞれPERを算出すると以下のようになります。

2023年の予想EPSをベースにしたPERは15倍台まで下落してきました。株式益回りも6%台です。

1年前の2021年9月時点の予想PERのデータは以下のとおりでした。

こうして見比べるとファンダメンタルズの面でも1年のあいだに株価が大きく調整してきたことがわかります。ちなみに2021年9月末のS&P500の株価は4,307.54で、現在の株価から14%ほど高い水準でした。

2022年の予想EPS、224.38をもとにそれぞれのPER倍率で株価を逆算すると以下のようになります。

9月末につけた底値の3,585というのはちょうどPER16倍近辺であったことがわかります。10月も引き続き下落することがあるとすると、3,590近辺というのが下値支持線として目安になるかと思います。

2023年の予想EPS、241.83をもとにそれぞれのPER倍率で株価を逆算すると以下のようになります。

3,600を割る株価というのは2023年の予想PERでは15倍を割る水準であるということがわかります。

ただ、2023年というのは現時点で経済の不確実性が高く、予想EPSに未達になるリスクがあるということも考慮してPERを見る必要があります。

⬆️はS&P500の12ヶ月先の予想EPSをもとにしたPERの推移のグラフです。

9月末時点で15.4倍、過去5年の平均は18.6倍、過去10年の平均は17.1倍でした。

2020年のコロナショック後、過去平均を上回る20倍台で推移してきていましたが、今年に入り株価が下落したことでこちらの数字も下落してきていて、過去5年、10年の平均を下回る水準まで下落してきました。

しかし、リーマンショック後の2012年は現在の水準をさらに下回る12倍台をつけたこともあったので、この先1年、2年でさらに下に行く可能性もゼロではありません。

現在の株価は割安なのか?と聞かれれば、長期で見ればおそらく割安、少なくとも割高ではないというのが私の現時点での結論です。

イギリスのトラス政権による急な減税政策の発表と市場の混乱、クレディ・スイスとドイツ銀行の経営破綻の噂など、きな臭いニュースが市場を取り巻いています。

9月で底値はつけたとする意見も散見されますが、それはわかりません。
いつも言っていることですが、株価を毎回ピタリと言い当てられる人などこの世に存在しません。9月の底値が今年の底値かもしれませんし、年末にかけてさらに下値を探る展開になるかもしれません。

しかし、少なくとも現在のファンダメンタルズを見る限り、株価には割安感が出てきたことは確かだと思います。もし10年以上のスパンで考えるならば、S&P500を今買って損をする可能性は高くないように思えます。


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