短期的にはそろそろ調整の心構えをしたほうがいい

絶好調なマーケット

マーケットが絶好調です。

9月から大統領選直前の10月末にかけて調整局面がありましたが、大統領選投票日前日から嵐のようなラリーが始まりました。
10月2日からのS&P500の上昇は10%弱、9月底値からは12%、3月底値からは60%超の上昇です。新型コロナウィルスの感染拡大が世界中で止まりませんが、S&P500はコロナ前の最高値を更新していて、現在、史上最高値圏です。

Yahoo!ニュースなどで株価が好調というニュースのコメントによく「株価は実体経済と解離しすぎている」とか「株はマネーゲームだから実体経済とは関係なくなってしまった」などというコメントを目にします。
そう言いたくなるのもわからないでもないですが、私はそういった意見には同意できません。

株価は先行性があります。現在の株価上昇は来春以降のワクチン普及とその後の経済活動正常化を織り込んでいます。根拠なく上昇しているわけではありません。

以前、マーケットを擬人化したミスターマーケットの特徴を紹介しました。その時に紹介したミスターマーケットの特徴を再掲します。

  1. 株を値付けするために毎日やってくる
  2. 彼は情緒不安定で同じ会社の株でも値段をコロコロ変える
  3. 機嫌の良いときは陶酔感に浸りながら値付けをし、何事にも楽観的になる
  4. 非常に落ち込んでいるときには悲壮感を漂わせて何事にも悲観的になる
  5. 大抵は効率的だが常にというわけではない
  6. 短期の場合は投票機、長期の場合は計量器

今は③と⑤が顕著になっている可能性があります。先日、アメリカの1日の新規感染者数が20万人近くに登り、死者数も2300人を超えましたが、マーケットはまったく材料視しませんでした。さらに26日に発表された新規失業保険申請件数は2週連続で増加しています。
株価はワクチン普及と経済活動正常化への2つの期待を材料に上昇を続けています。

恐怖と強欲指数

CNNが「恐怖と強欲指数」というものを算出しています。

  • プット(期日に売る権利)とコール(期日に買う権利)オプションの強弱
  • 債権とのパフォーマンス比較
  • 新高値銘柄数と新安値銘柄数の比較
  • マーケットの売買ボリューム
  • 125日移動平均線との乖離
  • ジャンク債の需要
  • 市場のボラティリティ(VIX指数)

恐怖と強欲指数はこれらの指標を集計して総合的に算出されます。

11月27日現在、指数は92でExtreme Greed(極端な強欲)を示しています。

⬆️は過去3年の恐怖と強欲指数の推移です。
90を超えるのは過去3年間でもそうあることではありません。直近では今年2月のパンデミックによる急落直前にも90を超えていました。

新規感染者数が増加していてロックダウンに陥るなど実体経済には少なからず影響が出ているにも関わらず市場が材料視しないという点では2月の状況と共通していると思います。

ただ、2月のコロナに対する楽観は「コロナは経済に大きな影響を及ぼさないだろう」という希望的観測のような面が強く、楽観の根拠がありませんでしたが、今の楽観にはワクチンがまもなく承認されて接種が始まるという拠り所がある点は異なります。

ファクトセットによる最新のS&P500の予想・実績EPSは以下のとおりです。

上の予測EPSと昨日の終値をもとにS&P500のPERを算出すると以下のとおりになります。

2020年予測PER:27.43倍
2021年予測PER:21.87倍

2020年のEPSはパンデミックの影響によって一時的に大きく下押しされているので極端に高くなってしまうのは差し引いて考える必要があると思います。
2021年の予測PERでも22倍弱というのを高くみるか妥当とみるかは人によって意見の分かれるところだと思います。私は若干高いのかなと思いますが、バブルという水準ではないと思います。
ちなみに四半期ごとの予測EPSは以下のとおりです。

マーケットは21年Q2(4-6月期)にはほぼパンデミック前の水準まで回復すると織り込んでいるようです。20年Q4(10-12月期)、21年Q1(1-3月期)にも徐々に回復すると予想されています。ワクチンが承認されても行き渡るまでには数ヶ月かかると言われており、21年Q1(1-3月期)までにワクチンが行き渡る可能性は低いです。21年Q1のEPSは予測より下押しされる可能性もあります。

12月になるか1月になるか2月になるかはわかりませんが、高い確率で調整局面が近くあることは頭に入れておいたほうがいいと思います。

皆が貪欲な時に恐怖心を抱き、皆が恐怖心を抱いている時にどん底であれ

ウォーレン・バフェット