【米大統領選挙】想定される3つのシナリオ

マーケットのアノマリーではトランプ氏勝利

先日、投票日直近3ヶ月で株価が上昇すれば現職大統領が所属する党の候補が勝ち、株価が下落すれば野党候補が勝つというアノマリー(経験則)を紹介しました。

基準となる3ヶ月前の8月3日のS&P500の終値は3294.61でした。11月3日の終値が3369.02だったので、このアノマリーに照らせばマーケットはトランプ氏勝利を織り込んでいることになります。

一方でマーケットにはバイデン氏圧勝を見越しての上昇だという声もあります。トランプ氏が文句付けようがないくらいバイデンが圧勝して混乱なく決まることを期待して上昇したという分析です。

後者も一理あると思います。実際にフロリダでトランプ氏優勢が伝えられるとS&P500の先物がマイナスに転じる場面がありました。

もし前述のアノマリーに反してバイデン氏が勝利することになれば、1980年以来初めてアノマリー通りにならないことになります。ちなみに過去23回の大統領選挙のうち、アノマリー通りにならなかったのは1956年、1968年、1980年の3回のみです。

今週に入ってからの上昇は個人的には少し意外でした。昨日の上昇は選挙当日としては史上2番目の上昇率だそうです。この上昇が年末まで続くかどうかは神のみぞ知るの領域だと思います。

まず大前提として声を大にして言っておきたいのは、トランプ氏、バイデン氏どちらが勝つかはマーケットにとって大きな問題ではないということです。
よくトランプ勝利=株高、バイデン勝利=株安という意見を目にしますが、どちらが勝っても混乱なく結果が確定すれば株価は上がると思います。

今後の大統領選挙の結果とマーケットへの影響で想定されるシナリオは3つあると思います。

①どちらかの勝利が確定し、負けた候補が敗北宣言

順当に選挙結果が出るシナリオです。
上のアノマリーに従えばトランプ氏勝利のシナリオですが、先ほども言及したようにマーケットではバイデン氏圧勝を織り込んだという声もあります。

トランプ氏が勝利するには

  • フロリダ
  • ペンシルベニア
  • オハイオ
  • テキサス

この4州は絶対に勝たなくてはなりません。逆にバイデン氏は4州のうち1つでも勝てれば勝利にグッと近づきます。この中で結果が1番最初に判明するのはフロリダだと思いますが、フロリダは両候補にとって非常に重要です。もしトランプ氏がフロリダを落としてしまった場合、バイデン氏が非常に優位になるでしょう。

逆にトランプ氏がフロリダを取ると、長期戦を覚悟する必要があると思います。日本時間4日12時時点では得票率は50:50で互角です。

②バイデン氏勝利宣言➡️トランプ氏敗北宣言せず法廷闘争へ

先ほども申し上げたように、マーケットにとって大統領選挙の最大のリスク要因はバイデン勝利ではなく、②と③のように法廷闘争になって長期化する、もしくは結果が判明しないことだと思います。

市場はすぐに選挙結果が出ず、ある程度時間がかかることは織り込み済みという声もありますが、長期戦になる場合、市場がいつまでなら辛抱できるかという問題になってくると思います。

②はマスコミ各社がバイデン氏の当選確実を出し、バイデン氏が勝利宣言をしたにも関わらず、トランプ陣営が敗北宣言を行わず、不正があったとして再集計を裁判所に訴えるシナリオです。

こうなった場合、ひとつの目安は12月8日の選挙人指名の期限までに決着がつくかどうかです。

2000年のブッシュvsゴアの選挙の際には共和党がフロリダでの再集計を訴えて法廷闘争になり、結果的に再集計が行われてゴア陣営が敗北宣言をしたのが選挙人指名期日の前日ということがありました。

このシナリオの場合、いくら多少の長期化を織り込んでいるとはいえ、12月8日までは一時的にボラティリティが上がると思いますし、12月8日までに決着がつかない場合、さらなる混乱を招くことになると思います。

③12月8日までに決着がつかない

②のように訴訟に持ち込まれたり、そもそも訴訟に持ち込むまでもなく両陣営が勝利宣言をしたりして混乱状態となり、最終結果が確定せず選挙人指名の期日の12月8日を迎えてしまうシナリオです。

この場合、何が起こるか誰にもわからないと思います。
選挙人は州の議会によって指名されると合衆国憲法で定められているため一部では、州議会が一方的に選挙人を指名してしまうのではとか、下院での決選投票になるとかいろいろな可能性が指摘されていますが、何が起こるかは予測不能だと思います。

12月8日までに決着がつかない場合、マーケットも混乱に陥るでしょう。市場が一番恐れるシナリオです。

しかも決着がつかない場合、今回は大統領がいつまでも決まらないだけでなく、追加の経済対策の成立も遅れます。選挙前に政権側と民主党側で協議していた追加経済対策案は事実上、宙に浮いたままです。選挙前トランプ大統領は選挙後に速やかに成立させると述べていましたが、混乱が長引けば経済対策の成立もその分遅れてしまうでしょう。12月8日まで選挙結果が確定しないということになれば、経済対策の成立は越年になってしまう可能性もあります。

今日中に選挙結果が確定するかは微妙だと思いますが、まずは今週中に結果が出るかどうかが目先の焦点になりそうです。今日中に結果が確定しない場合、短期的にボラティリティは上がると思います。