経済発展に表れない生活の豊さ

20年前と今の生活水準

日本ではよく失われた20年とか30年とか言われることがあります。

⬆️は日本の一人当たりGDP(国内総生産)の推移です。
1990年ごろまでは綺麗な右肩上がりでしたが、90年代、2000年代、2010年代はほぼ横ばいです。90年代以降が失われた30年と言われる由縁だと思います。

⬆️はアメリカの一人当たりGDPの推移です。
日本よりも格差社会で少数の富める者とそれ以外の人たちの格差が年々大きくなり続けているという社会構造上の問題はあるかもしれませんが、社会全体としては右肩上がりで豊かになり続けています。

しかし、これらはあくまでも生活の豊かさを数字に置き換えて図っています。最もわかりやすいのはお金です。GDPは国内総生産、つまり国内で1年間の間に生み出された富をお金に置き換えて計測しています。

統計的にデータを取るには数字に置き換えるというプロセスは必要不可欠です。個人の感覚で豊かさを測る調査も行われてはいますが(日本では景気ウォッチャー調査など)、あまり重視されていません。

最近20年で日本人の生活は豊かになったのか

数字上は先ほど示したGDPのとおり、日本の過去20年の豊かさは横ばいでした。

では肌感覚ではどうでしょうか?ここから先は私の個人的な意見や感覚です。まったく違う意見を持つ人も多くいると思います。

私の感覚では過去20年で日本人の生活は間違いなく豊かになったと思います。
理由は技術の進歩です。

最近、私は自宅で料理をすることが多くなりました。コロナの影響で外食の回数は格段に減ってしまいました。

私はもともとそんなに料理をする人間ではありませんでした。せいぜい休みの日にカレーやシチューなど簡単なものを作る程度でした。

初めてのものを作るとき、今ではインターネットで色々なレシピを調べることができます。インドカレーを作ろうと思ったらYouTubeでインド人による本場のインドカレーのレシピ動画を見ることができます。レシピが複数あれば見比べることもできます。

20年前であれば、料理本を買ったり、図書館で借りてくる必要がありました。毎日料理する場合、毎回そんなことをしているわけにはいきません。複数のレシピを見比べることも簡単ではないでしょう。

YouTubeだけではありません。
些細な例かもしれませんが、私が小学生のころ、学校のクラスごとに電話連絡網というものがありました。

⬆️こういうやつです。
連絡事項があるとすると上から下へ伝言ゲームをしていくわけですが、さすがに今これをやっている学校はないでしょう。
LINEなどのアプリで一斉にメッセージ送信できますし、クラス全員に無条件に電話番号を知らせるというのは今の個人情報の感覚からすると抵抗を持つ人も少なくないと思います。

こういった些細なことが山のように積み上げられていると思います。空気と同じであって当たり前になってしまうと、それがないことによる不便さを想像することは難しくなります。こういった生活の豊かさは経済成長に繋がりにくい、豊かさだと思います。

生活の豊かさが国の経済成長に繋がらないのか

ではなぜそういった生活の豊かさの向上が日本では数字上の豊かさに繋がらなかったのか。

大きな理由のひとつが豊かさの向上に貢献した新しい技術がことごとく海外の会社によるものだという点があると思います。

まさにGAFAのような存在です。コロナ禍で在宅ワークが広まりましたが、オンライン会議に使われているアプリはズームであり、マイクロソフトのTeamsであり、グーグルのGoogle Meetです。すべてアメリカの会社のサービスです。

インターネットによるグローバル化のおかげで日本に住む日本人でも簡単にアメリカの最新技術を使ったサービスを受けることができます。

一方で最新技術を取り入れて改良してより良いものにするという日本人が得意としてきたビジネスの手法は難しくなってきていると思います。
アメリカで生まれた車の技術が日本経済を支える大きな柱になりましたが、ITや先端技術の分野で技術を改良・応用することで成功している日本の会社は多くはないと思います。2000年代に携帯電話で車と同じことをしようとした結果がガラパゴス携帯だったと思います。日本独自で技術を発展させましたが、世界のニーズと大きくずれてしまっていることに日本は気付きませんでした。

経済や技術のグローバル化は個人の生活の豊かさには大きく貢献しましたが、経済発展の面では日本にとって大きなハードルになっています。