ソフトバンクG、応援したい気はあるが、投資対象ではない

私はソフトバンクグループの決算発表を毎回欠かさず見ています。
もちろん、ソフトバンクGの株主ではありませんし、投資を検討しているわけでもありません。完全に趣味の領域です。

私は小学校3年生から高校の途中まで野球をやっていました。今でも4月から11月までのシーズン中で時間のあるときに朝はメジャーリーグを、夜は日本のプロ野球を観るのが楽しみのひとつです。今年はコロナの影響でまだどちらも開幕していませんので、野球ロスの状態です。日本のプロ野球が来月開幕を決定したのは嬉しいニュースでした。
メジャーリーグに大谷翔平という選手がいます。プレーを観るたびに惚れ惚れする選手です。僕がもし今、小学生なら「大谷選手みたいにプレーしたい」と思うかもしれませんが、さすがに30歳すぎると現実的になります。逆に彼のプレーを観るたび、「どんなに努力してもこういうプレーは僕にはできないだろうな」と思ってしまいます。

ソフトバンクの孫正義さんの決算発表でのプレゼンを見るとき、私は同じような感情に駆られます。彼の投資手法に賛否両論があるのは承知していますし、私も正直、疑問に思う部分もあります。しかし、私が「この人にはどうやったって敵わないな」と思うのは彼の行動力というかバイタリティというか、もっと人間としての根の部分です。

何年か前のソフトバンクGのイベントのとき、孫さんが珍しく自身の生い立ちについて話しています。

孫さんは1957年生まれですから、「あれほど好きだったおばあちゃんが嫌いになった」というのはおそらく1970年前後の話だと思います。今よりさらに在日コリアンに対する差別意識が強かったというのは想像に難くありません。私は1988年の生まれで、しかもマジョリティとして生まれ、育ちました。マイノリティとして生まれた人々の困難や差別による屈辱は想像を絶するものがあったに違いありません。しかし、そうしたネガティブな経験が今の孫さんの原動力なのだと思います。

コロナ禍においても孫さんはマスクや防護服を調達して寄付するなど、行動を起こしています。それに対し、「そんな金あるなら携帯料金下げろ」などといった的外れな批判もあります。批判ならまだいい方で、彼の生い立ちや出自に関する誹謗中傷としか思えない書き込みもSNS上には存在します。非常に残念なことだと思います。

それでもソフトバンクGは投資対象ではない

ここまで孫正義さんを持ち上げておいて、冷たい人間だなと思われるかもしれませんが、それでもソフトバンクGは私の投資対象ではありません。
孫さんはよく決算発表でソフトバンクGの株主価値とマーケットが下した価値である株価の解離を理由にソフトバンクG株は買いだと話しています。私はその考えにはあまり同意できません。孫さんの言う通り、株主価値が過小評価されている可能性は大いにあると思いますが、私の投資ポリシーはあくまで、「株式の本質的価値は利益である」です。
ソフトバンクGの売上高の大半は子会社の電話会社ソフトバンクによるものです。私は需要が頭打ちで、楽天が新規参入する日本の携帯電話事業には魅力を感じません。
ここ数年、ソフトバンクの話題でよくニュースに取り上げられるのがソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)です。孫さんのいわゆる群戦略に基づいて、インターネットテクノロジーを使った魅力ある事業を有する未上場の企業に投資をするファンド事業ですが、こちらは大変評価が難しいと思います。
未上場の企業は情報があまりありません。昨年問題となったWeWorkのようにガバナンスに問題がある企業もあるかもしれません。ソフトバンクGはかなり大胆に思い切った金額を投資していますが、その金額が価値に見合っているか判断するのは一般の個人投資家にはなかなか難しいと思います。ハイリスクハイリターンで当たれば大きいかもしれませんが、リスクは高いと思います。
少し余談ですが、先日の決算発表で「ソフトバンクG、1兆円超の赤字」とニュースになりました。以前バークシャーをご紹介した際に書いた通り、ソフトバンクGもバークシャー 同様、投資の含み益、含み損が損益に計上されていますので、マーケットの上下によってかなり損益が上下にブレます。 「1兆円の赤字だ!倒産間近に違いない!」と騒ぐのは短絡的だと思います。ただソフトバンクGの場合、有利子負債比率は高いのでそういった面でもリスクは低くはないとは思いますが。