読んでいた本でトランプ氏の税金に対する考えに触れて複雑な気分になった話

『金持ち父さん』シリーズ

以前、何度か『金持ち父さん』シリーズをこのブログでもご紹介したことがあります。

1作目の『金持ち父さん 貧乏父さん』は投資に興味のある方、金融リテラシーを見つけようと勉強を始めた方にはおすすめです。

著者のロバート・キヨサキ氏(名前の通り日系アメリカ人です)の父親は高学歴の公務員で、平均よりも高い給与を得ているにもかかわらず、クレジットカードの支払いに日々追われ続け、死ぬまでお金に苦労しました。

一方、親友のマイクの父親は高卒であるにもかかわらず、複数の会社や不動産を所有し、ハワイで有数の金持ちになりました。

キヨサキ氏は親友マイクの父親をもう一人の父親と仰ぎ、彼からお金やビジネスに関する考えを学びました。この本はその教えをまとめたものです。

その教えはざっくりと以下のようなものです。

  1. お金持ちはお金のためには働かない
  2. バランスシートでお金の流れを理解する
  3. 自分のビジネスを持つ
  4. 会社を作って節税する
  5. お金を作り出す資産を持つ
  6. お金のためではなく、学ぶために働く

個人的には会社を持ってビジネスを起こすというのはハードルとリスクがそれなりに高いかなと思いますが、②のバランスシートでお金の流れを理解することと⑤のお金を作り出す資産を持つというのは多くの人にとって参考になると思います。

ロバート・キヨサキとドナルド・トランプ

『金持ち父さん 貧乏父さん』は1997年に書かれた本ですが、ところどころにドナルド・トランプの名前が出てきます。

『金持ち父さん 貧乏父さん』出版後、トランプ氏が大統領に就任する前までに2冊の共著本も出版されています。
その後も二人の関係は良好のようで、今回の大統領選挙でもキヨサキ氏はトランプ大統領の再選を指示していたようです。数時間前にも⬇️のようなツイートをしています。

続編を読んでいてトランプ大統領の税金に対する考えに触れて微妙な気分になった

先日、この『金持ち父さん 貧乏父さん』の続編でさらに具体的に投資に関して踏み込んだ『金持ち父さんの投資ガイド 上級編』という本を読んでいました。

具体的な投資術について期待して手に取ったのですが、少し期待とは違う本でした。上の金持ち父さんの教えのうち、②や⑤を具体的に掘り下げた本を期待していましたが、実際には③と④を深く掘り下げた本でした。

この本では繰り返し、いかに支払う税金を低く抑えるか、つまり節税の重要さが説かれています。そのためにはまずは会社を設立すること、会社を設立するためにはビジネスを起こすことが必要だということです。

株や不動産などの資産を買う場合、サラリーマンなど給与収入を得ている一般の個人のお金の流れは

収入
⬇️
税金を支払う
⬇️
資産を買う

という順序になります。
しかし、自分で会社を所有することができれば、

収入
⬇️
資産を買う
⬇️
税金を支払う

という順序に変えることができるので、支払う税金を低く抑えることができるという論理です。

今回の大統領選挙前、トランプ大統領が就任した年の2016年にわずか750ドルの税金しか収めていなかったことが話題になりました。
本人は何百万ドルもの税金を支払ったと否定しており、納税証明書もいまだ公開されていないので真意のほどは定かではありません。

私がこの本を読んでいたのはまさにこのニュースが出てきた時でした。

私は節税を非難するつもりはありませんし、トランプ大統領の納税額が750ドルだったとしても違法な手段を取っていなければ非難されるべきものではないと思っています。

一方で、アメリカは日本以上の格差社会です。
上位1%が持つ資産額は下位90%の資産額の合計よりも大きいです。ちなみにトランプ大統領は就任した年の2016年の長者番付によると資産額37億ドルで156位に入っていたので上位1%の中に入ります。

租税は国家や自治体の運営費を賄う財源であるとともに、富める者の所得を貧しい者へ所得を再分配する富の再分配機能が重要な役割だと個人的に信じています。

確かに会社を持ち、あらゆる支出を経費として計上することで節税することは日本でも広く行われていることです。トランプ大統領のように何十億もの資産家になると、手続きはさらに複雑ですし、資産管理のための専門家も雇っていることでしょう。

節税対策は批判されるものではないと思いますが、しかし37億ドルの資産を持つ人の納税額が750ドルというのはどうなんでしょうか?しかも確実に彼の資産は現金ではなく、株式や不動産などキャッシュフローをもたらす資産です。資産が大きい=収入が大きいと言っても過言ではないと思います。

ただ、もしトランプ大統領が合法的に節税をし、結果的に納税額が750ドルであったとすると、非難されるべきはトランプ大統領ではなく、システムの欠陥です。彼ほどの富豪が750ドルしか税金を納めていないなんてけしからん、トランプを監獄へ入れろ!というのは感情的で短絡的な主張だと思います。

税負担には公平性が何よりも重要だと思いますが、これは著しく公平性を欠いているのではと思い、本を読みながらなんとも複雑な心境になりました。