投資には消極的なくせに投資詐欺が横行する日本

コロナで打撃を受けた日本経済

新型コロナウィルスは私たちの日常に大きな影響を与えています。
この4連休はかなりの人出が戻ってきているようですが、これまでに大打撃を受けた業界は少なくありません。

コロナウィルスは日常から多くの「必要不可欠でないもの」を奪いました。

たとえば春のお花見や夏祭り、花火大会などです。
それらのイベントは確かになくても人間の生存に問題ありませんが、経済にとってはそうではありません。必要不可欠な消費が消えればその分、経済は縮小してしまいます。経済的繁栄にとって、「必要不可欠でない」消費は必要不可欠です。

コロナ禍で人間の生存に必要不可欠な消費として真っ先に分類されてしまった業種が外食と旅行です。

旅行業界はインバウンド需要が消失して大打撃

旅行業界はここ数年、来日外国人旅行客の増加によって成長してきました。従来の旅行代理店やホテル・旅館だけでなく、新たにAirbnbなどの民泊という業態も登場しました。
本来であれば、オリンピックが開催される2020年は旅行業界にとって大きなビジネスチャンスの年でした。昨年まで東京や大阪などの大都市圏を中心にホテルの建設ラッシュで、民泊施設も急増しました。

大阪の民泊投資大手が経営破綻 投資詐欺の報道

大阪の民泊投資の大手が経営破綻したそうですが、どうもこの会社、投資詐欺だったのではないかというニュースがあります。

民泊投資大手が事業停止 実績偽り勧誘、実体ない物件も:朝日新聞デジタル

マンションの部屋ごとに投資客を募って民泊事業を代行していた、大阪最大手の民泊投資会社「ハンドグローイング」(大阪市淀川区)が経営難に陥り、今年に入って事業停止した。新型コロナウイルス禍の2~5月に次々と施設を廃止。ハンド社は取材に、昨年まで宿泊実績を水増ししながら、新たな投資を募っていたことを認めた。 …

投資家から資金を募り、集めた資金で物件を借りて民泊として宿泊客に貸す、という民泊運営代行をしていたそうですが、驚くのが投資家に約束していた配当利回りです。報道によると十数〜20%、しかも元本保証。

20%の配当利回りでしかも元本保証って株式投資をしている人なら間違いなくおかしいと思うはずの条件です。

アメリカ株で代表的な高配当銘柄にエネルギー株があります。たとえばエクソンモービル(XOM)の配当利回りは2020年9月現在で約9%ですが、非常にボラティリティの高い銘柄です。しかも株式投資ですから元本保証ではありません。

エクソンの過去10年の株価チャートですが、一時、100ドルを超えていた株価は現在、半値以下の40ドル前後で推移しています。高配当ですがリスクは高いです。いかなる投資であってもリスクとリターンはトレードオフの関係にあります。つまり高リターンであれば高リスクになるということです。

経済的な平和ボケが抜けきらない日本

先日、ご紹介した半藤一利さんの『昭和史 戦後篇』に「昭和元禄」という言葉がありました。ベトナム戦争や中東戦争など紛争の絶えない世界の中で、高度経済成長による天下太平を謳歌していた日本を形容した言葉ですが、経済的にも日本人は平和ボケだったと言えるかと思います。

出典:(株) 農林中金総合研究所 組合金融 2001年春号

上のグラフは1974年から2000年までの郵便貯金の金利推移です。たとえば、1980年に10年定期で預金すれば年12%〜5%程度の利息が得られました。しかも預金ですから正真正銘の元本保証です。
現在、高金利と言われるネット銀行の定期預金の利率はよくても0.5%に届きません。100万円預けても利息は年数千円です。

ほぼノーリスクで銀行に預けておくだけで数%もお金が増えていった時代があったのです。私がもし70年代、80年代に資産運用をしていたなら、無理に株に投資せず、定期預金で積立を地道にしていたかもしれません。投資するとしても国債のほうに魅力を感じたかもしれません。

問題は、そんな経済的に平和な昭和元禄の時代にすっかり日本人は金融リテラシーを放棄してしまったことです。70年代、80年代には必要がなかったかもしれませんが、バブル崩壊の90年代以降もその金融スタンスを変えてこなかったことです。バブル崩壊の一因が土地神話(不動産の価値は年を追うごとに必ず値上がりしていくと多くの人が信じてしまったこと)にあるので、投資=リスキーという意識が人々のあいだに根ざしてしまったのも理解はできますが。

私は国民もれなく皆、投資をしたほうがいいとは思っていません。ただ、そのリスクを理解する必要はあると思います。リスクを理解したうえで、自分の資産を投資するか、銀行に預けておくかはそれぞれの個々人で判断すればいいと思うし、選択肢を与える意味でも教育は重要だと思います。高いリターンには高いリスクが伴うと理解していれば、配当利回り20%・元本保証などという投資商品に飛びついて詐欺の被害に遭うリスクは格段に減らせると思います。