長期で利益を得ている海外年金基金は個人長期投資家のロールモデル

個人長期投資家の最適解

個人の長期投資家には最適解として目指すべきロールモデルがいくつか挙げられています。

まずは成功した著名な投資家です。代表例がウォーレン・バフェットです。バフェットが新しい銘柄を買うとそのバフェットが買ったというニュースだけでその銘柄の株価が上がることがよくあります。
今年、バフェットが日本の商社株を買ったニュースが話題になりましたが、そのニュースが出た後、実際に商社株は上昇しました。ニュースを聞いて後追いした投資家が少なからずいるということだと思います。

ただ、バフェット本人は自分の真似をするのではなく、S&P500に連動する投資信託を勧めています。S&P500は機関投資家のファンドマネージャーがベンチマークとする指数です。世のファンドマネージャーたちは毎年コンスタントにS&P500のリターンを上回ることが基本ミッションのひとつです。

バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの年次報告書の巻頭には必ずバークシャー vs S&P500というページが設けられています。バークシャーのリターンの横にS&P500のリターンを載せて一覧で比較できるようになっています。

いかにバフェットが運用成績の上でS&P500のリターンを意識しているかが表れていると思います。

成功している海外の年金基金

昨日の記事で日本の公的年金基金であるGPIFが海外の年金基金のリターンに劣るという記事を書きましたが、海外の成功している年金基金は個人の長期投資家にとってとてもいいロールモデルになると思います。

昨日も掲載したグラフですが、ノルウェーの政府年金基金であるGPF-Gの単年(棒グラフ)と年率リターンの推移です。年率リターンは5%を挟んで推移しています。同時期のS&P500の年率リターンも5%台なのでほぼ同水準のリターンです。ちなみに規模としてはGPF-Gは世界最大のGPIFに次ぐ規模の年金基金です。

ただ、GPF-Gは公的年金という性格上、安全性を一定程度担保する必要があります。投資資産構成は株式:債権=7:3の割合になっています。
S&P500はもちろん100%株式ですから、GPF-Gの株式のみのリターンではS&P500をアウトパフォームしていると思われます。

債権を組み込むか否かは人によって意見が分かれるところだと思いますが、私は債権には投資していません。分散投資していれば債権は必要ないと思っています。

GPF-Gのポートフォリオ

では、GPF-Gはどのような投資をしているのでしょうか。

全世界9,000銘柄の株式に投資しています。トップ20には1銘柄も入っていませんが、日本株にも約1,500銘柄689億ドル相当を投資しているようです。
組み込み銘柄上位20銘柄は以下のとおりです。

銘柄投資額
アップル(AAPL)アメリカ133.1億ドル
マイクロソフト(MSFT)アメリカ119億ドル
アルファベット(GOOG、GOOGL)アメリカ88.6億ドル
ネスレスイス81.6億ドル
アマゾン(AMZN)アメリカ78.1億ドル
ロシュスイス62.9億ドル
ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)イギリス59.4億ドル
アリババ(BABA)中国59.2億ドル
フェイスブック(FB)アメリカ52.6億ドル
ノバルティス(NVS)スイス50.8億ドル
バークシャー・ハサウェイ(BERK-A、BERK-B)アメリカ45.2億ドル
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)台湾43.5億ドル
サムスン電子韓国41.3億ドル
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)アメリカ40.1億ドル
テンセント中国38.8億ドル
JPモルガン・チェース(JPM)アメリカ37.6億ドル
トタルフランス33.5億ドル
バンク・オブ・アメリカ(BAC)アメリカ33.4億ドル
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)アメリカ32.3億ドル
HSBCホールディングスイギリス32.3億ドル

全体の債権を含めた運用額が1兆780億ドルなので、そのうちの約70%、約7546億ドルを株式に投資していることになります。よって一番投資額が大きなアップルでも投資比重は1.8%です。20位のHSBCでは投資比重が0.4%です。かなり分散をしていることがわかります。一番大きな投資比率の銘柄でも2%に届かない投資比率ということからもいかに保守的に投資判断が下されているかがわかると思います。

公的年金基金ですから投資判断は非常に保守的だと思います。トップ20の銘柄、特にアメリカ株は市場を牽引しているハイテク株とブルーチップの大型株です。

個人で個別銘柄をここまで分散投資するのは無理だと思います。
GPF-Gがここまで分散しているということは、もし公的年金基金並みに安全性を重視するのであれば、S&P500連動のETFや全世界のインデックスに連動するバンガード・トータル・ワールドストックETF(VT)などを利用して分散を図ることがいかに大切なことかを表していると思います。