世界一周中に垣間見たアメリカの優位性 通貨と言語

私は2015年から2016年、約1年半をかけて世界一周の旅をしました。
日本では経験できないことを肌身を持って経験することができましたが、中でも政治・経済・文化などいろいろな面でのアメリカの優位性を実感することもできました。

本当にどこでも通用する米ドルと英語

まず、言葉です。
現在の世界共通語は英語と言われていますが、本当にどこでも通用します。南米や中東の一部地域などで英語が通じずにコミュニケーションに困ったときもありましたが、それでも共通言語としての英語の強さは確固たるものがあります。

世界の歴史が英語を世界共通語としての地位を確たるものにさせたと思います。
昔、世界史の授業で中世ヨーロッパの上流階級の人々の共通語はフランス語だったという話を聞いたことがあります。数年前の東京でのオリンピック開催が決まったIOC(国際オリンピック委員会)総会で、滝川クリステルさんのフランス語でのプレゼンが話題になりましたが、IOC総会での第一言語がフランス語なのはこの名残ということかもしれません。
世界の共通語がフランス語から英語に取って代わったきっかけのひとつは産業革命でしょう。産業革命によって世界一の経済力・軍事力を手にした大英帝国は世界各地で植民地支配を繰り広げ、『太陽の沈まない国』と称されました。
そしてその覇権を引き継いだのが同じ英語を公用語とするアメリカです。第二次世界大戦からの復興を経て、1980年代以降、そのアメリカを中心として情報革命(IT革命)が起こり、私たちの生活を一変させました。世界共通語としての英語の歴史上の流れは大英帝国時代の約200年前から続いており、20世紀以降のアメリカの繁栄とともにその地位を確固たるものにしました。

次に通貨です。
米ドルは英語以上に世界中どこでも通用します。私は実際にその国に行くまで知らなかったのですが、パナマやエクアドルなど、独自の通貨を持たず米ドルを通貨として採用している国もあります。

米ドルで現金貯蓄をするアルゼンチンの人々

お金に関することで非常に印象に残った国が南米のアルゼンチンです。

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスには通称『カンビオストリート』という通りがあります。カンビオとはスペイン語で両替のことを指し、両替通りという意味になります。その通りに行くと、「カンビオ、カンビオ」と言いながら両替客を募る闇両替商のおじさんたち(大抵小太り)が通り一帯に立っています。闇両替商の両替レートは公式レートより遥かに良いレート(つまりドル高)で、通りに立っているおじさんにレートを確認して、それでよければ両替をします。一部には近くに店舗を構えている闇両替商もいて、私はいつも店舗のある店を選んで両替をしていました。

面白いなと思ったのが両替のレートです。例えば、100ドル分を両替する場合、100ドル札1枚と20ドル札5枚ではレートが違ってくるのです。100ドル札の方が20ドル札5枚より両替する側にとって好レート(つまりドル高)になります。

100ドル札が選好される理由はアルゼンチンの経済状況にあります。
アルゼンチンは慢性的な高インフレに悩まされています。

出典:Statista

上のグラフは2004年以降のアルゼンチンのインフレ率の推移ですが、特にここ数年は異常な高インフレになっています。私が旅行していた2016年でもインフレ率は20%を超えていました。

アルゼンチンの人々にとって、貯蓄をする際、1年で何十パーセントも価値が損なわれるアルゼンチンペソはとても信用のおける貨幣ではないのです。
そこでアルゼンチンの人々は貯蓄をする際に海外の銀行で米ドル口座を持つか、米ドルの現金をタンス貯蓄をする人が多い、タンス貯金をするのに100ドル札は20ドル札よりもかさばらないので高額紙幣のほうが需要が高いということで、高額紙幣のほうがレートが良いということでした。
さらに2016年はちょうど、100ドルの新紙幣が流通し始めたころで、偽札の流通も多いことから、より偽造対策がなされている新紙幣のほうが旧紙幣よりレートが良いとのことでした(新紙幣のほうがレートがいいというのはアルゼンチンに限った話ではありませんでしたが)。
アメリカ国内ではお釣りがないからと受け取りを拒否されることもある100ドル札が、遠く離れた異国の地で人気というのは面白いなと思いました。

反米の国々ではより強い米ドル

さらに米ドルは反米の国ではさらに強いということも印象的でした。

私はキューバとイランという歴史的に長期間、アメリカと政治的に対立している国々に行きましたが、どちらの国でも最も通用する外貨、両替レートが良い通貨は米ドルでした。
キューバには地元民向けの通貨人民ペソと外国人観光客向けの通貨CUCの2種類の通貨があるのですが、1CUCは1ドルの固定相場です。そもそも両替レートが米ドルに固定されているのです。

当時、イランもキューバもアメリカから経済制裁を受けていて、外国のキャッシュカードやクレジットカードを使って現地のATMで現金をおろすことができなかったので(その後キューバはアメリカと国交を回復したので今はできるかもしれませんが)、現地通貨を手に入れるためには現地での両替が必須でした。
その際、どちらの国でも米ドルのほうがユーロやポンドなど他の通貨より好レートでした。観光客は貴重な外貨収入源で、やはり政治的には関係が悪いとは言え、世界の基軸通貨である米ドルなしには経済が成り立たない、背に腹はかえられないということなのでしょう。

おそらく私が死ぬまでに英語の世界共通語としての地位と米ドルの基軸通貨としての地位が揺らぐことはないでしょう。一部では人民元や仮想通貨が米ドルに取って代わって基軸通貨になるなどという意見をネットで目にしたことがありますが、私はそうはならないと思います。
アメリカの通貨と言語の面での優位性は21世紀も崩れないと思います。