テーパータントラムとは? 今後株価が10%近く調整するという声も

10年債利回りが上昇

最近、金利上昇が話題になっています。昨日は10年債利回りが一時1.4%台まで上昇しました。

先月末1.0%近辺で推移していましたが、直近1ヶ月で1.4%近辺まで上昇しています。近いうちに1.5%近辺までは上昇するだろうと予想する声もあるようです。

株価はいまのところ大きく反応していません。今週火曜日にS&P500が50ポイント近く下落する場面がありましたが、その後持ち直して再び史上最高値圏にあります。

私には信頼して意見を参考にしている経済アナリストが何人かいますが、堀古英司さんはそのうちの一人です。今朝、テレビ東京の『モーニングサテライト』に堀古さんが出演していて、金利上昇によってこの先株価の10%近い調整があるのではないかとお話しされていました。

堀古さんだけではなく、金利上昇を理由に株価が調整するのではという声はよく聞かれます。そういった話のとき、「テーパータントラム」というワードをよく耳にすることがあります。

テーパータントラムとは?

英語に“throw a temper tantrum”という表現があります。直訳すると「temper tantrumを投げる」となります。temperは気性、tantrumは癇癪(かんしゃく)という意味で、“throw a temper tantrum”でかんしゃくを起こすという意味になります。
よく子供が自分の要求が通らずに駄々をこねることがありますが、そういう状態を表現するのに使われる言葉です。

一方でテーパリング(tapering)という言葉があります。「先細りさせる、徐々に減らしていく」という意味ですが、金融緩和の終盤局面で金融当局が緩和を「先細りさせる、徐々に減らしていく」(つまり金融引き締め)という意味で使われます。

temper tantrumにtaperingをかけてtaper tantrumと表現しているわけですが、まぁ要は親父ギャグみたいな表現です。日本では「テーパータントラム」なんて言うとインテリな表現に聞こえるかもしれませんが、個人的には親父ギャグの領域を出ていない表現だと思います。

テーパータントラムと聞くと英語話者にはピントくるかもしれませんが、日本人にはなかなかピンとこない表現だと思います。つくづく金融という世界は英語を中心に回っているなと思わされる表現です。

さて、そのテーパータントラム(親父ギャグと言いつつ私も使っていて自己矛盾感がありますが)ですが、この言葉が登場したのは2013年のようです。
当時、私はまだ社会人1年目で株式投資も始めたばかり、アメリカの債権のニュースなんて気に留めてもいなかったし、もしニュースを聞いたとしても意味もよくわからなかったであろうから市場が混乱していたという記憶はありません。

2013年5月22日に当時のFRBのバーナンキ議長がFRBの資産購入縮小について言及したことで市場が驚き、混乱しました。当時はリーマンショック後の金融緩和の終盤局面で利上げが意識され始めた時期でした。

⬆️は当時の10年債利回りのチャートです。
バーナンキ講演前日の5月21日には1.9%台だった利回りが2ヶ月足らずで2.7%近辺まで急上昇しています。その後も上昇を続け、2013年の年末には3%台まで上昇しました。約半年で1%以上上昇したことになります。

こちらは当時のS&P500のチャートです。
株価もバーナンキ発言直後は調整したようです。6月24日には5月21日の水準から5.6%下落しています。ただ、その後株価は持ち直し、年末には1848まで上昇しています。

もし今、同じような事態が起これば10年債利回りが2%台まで上昇してもおかしくはありません。さらに今はテスラ(TSLA)を筆頭に高PERのハイパーグロース株が市場でそれなりの比重を占めています。株価への影響は2013年よりも大きなものになる可能性もあります。

FRBのパウエル議長は23、24日の議会証言で資産購入縮小などの金融緩和縮小について消極的な発言をし、結果的に24日は株価が上昇して引けました。

ただ今後、雇用統計、消費者物価指数、小売売上高などの経済指標で良い数字が出れば出るほど、景気の過熱➡️金融引き締めという連想が働いて株価には下落圧力がかかるかもしれません。

さらに今後アメリカ国内ではワクチンの普及、1.9兆ドルの追加経済対策など経済をさらに加熱させるニュースが見込まれています。

昨年3月の株価急落はコロナウィルスの感染拡大によって世の中にお金が回らなくなる流動性危機によるものでした。2021年は逆に世の中のお金の量が増えすぎて金利が急上昇する過剰流動性のリスクを意識させられる年になるかもしれません。

堀古さんの株価10%調整の可能性という話はそういったリスクを意識しての発言だったと思います。