アメリカ式資本主義の光と影 ベゾス氏らの納税記録暴露

ベゾス氏やバフェット氏の納税記録が流出

アメリカの報道機関ProPublicaはジェフ・ベゾス氏やイーロン・マスク氏、ウォーレン・バフェット氏らの納税記録を入手したとする記事を発表しました。

記事の中では、アメリカでもっとも裕福な25人の資産は2014年から2018年にかけて4,010億ドル増えたが、彼らが5年間の間に支払った連邦所得税はわずか136億ドルだったと報じられています。

さらに4人の実名を挙げて、5年間で増えた彼らの資産学と納税額を比較しています。
引用すると、以下のような数字です。

①5年間で増えた資産額②申告されている収入額③納税総額④真の税率
ウォーレン・バフェット243億ドル1億2,500万ドル2,370万ドル0.10%
ジェフ・ベゾス990億ドル42億2,000万ドル9億7,300万ドル0.98%
マイケル・ブルームバーグ225億ドル100億ドル2億9,200万ドル1.30%
イーロン・マスク139億ドル15億2,000万ドル4億5,500万ドル3.27%
出典:ProPublica

この記事の主張は、通常税率は②申告された収入と③納税総額をもとに計算されるが、実際に彼らが手にした富の総計は①なのだから①をもとに真の税率を計算すると、バフェットは0.1%、つまり100ドルあたり10セントしか税金を納めていないことになる。アメリカの公平な税負担の原則から外れるものではないか、という主張だと思います。

以前から富裕層の資産に課税をすべきだと主張している民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は早速この記事を引用して富裕税の必要性を訴えています。

ウォーレン議員は資産が5,000万ドルを超える富裕層の保有資産に課税することを提案しています。

未実現の含み益に課税すべきか

日本も格差社会が叫ばれるようになって久しいですが、アメリカの格差は日本以上のものです。

コロナ禍では、貧困層の死亡率が富裕層の死亡率よりも高いことが大きな問題となりました。
日本では常識的に考えられないことですが、アメリカの貧困層には経済的な理由で病院で受診をしたり救急車を呼んだりすることができない人たちが多くいます。

さらに人種や宗教など他の要素も絡んできてアメリカの格差問題は一面的に捉えることが非常に難しい社会問題になっています。

アメリカの格差問題は難しい問題ではあると思いますが、今回のこの記事を額面どおりに受け取るのは短略的かと思います。

実名を挙げられた大富豪4名が5年間の間に増やした資産の大半は株式などの保有資産の資産価値の上昇によるものです。そしておそらくその大部分は未売却の含み益です。

株式投資の大前提として利益というものは確定した時点で課税されます。含み益はあくまで含み益であって株価が下落すれば含み益も小さくなります。
株式というものは価値がアップダウンする資産です。昨年の3月のコロナショックの時にはS&P500は最大で30%以上下落しました。

では、なぜ株主はそんな不安定な資産で自らの大事なお金を運用運用しているのかというと、それはリスクを取ったものには相応のリターンがあるという資本主義の大前提があるからです。

リスク資産である未売却の株式の上昇分を納税額と比較して納税額が少ないというのは、少し印象操作のようなバイアスがかかっているのかなと疑いたくなる印象です。

ただ一方でアメリカの格差が諸外国と比べて大きいことは確かです。
資本家の強欲と、社会の資本家に対する不信の高まりが19世紀から20世紀初頭にかけて共産主義を勃興させました。その後の壮大な社会実験の結果、結局共産主義はうまくいかなかったわけですが、その過程で莫大な人命が失われました。

今日、私たちの生活を豊かにしている技術革新は資本主義の果実と言っていいでしょう。特にアメリカでの技術革新には目をみはるものがあります。iPhoneなどのアップル製品やGoogleのサービス抜きに私の現在の生活は考えられません。

バイデン政権は年間所得100万ドルを超える富裕層へのキャピタルゲイン増税を検討しています。
アメリカ議会で民主党と共和党の勢力が拮抗しているので、この増税案が通るかはまだ不透明ですが、資本主義の成熟と税の公平性の担保のためにも富裕層へのある程度の増税は避けられないのではないかと思います。