日本人には理解しがたいアメリカ人がマスク着用に抵抗する理由

日本人には理解しがたいアメリカ人のマスク着用に対する抵抗感

現時点でアメリカは世界で最も多くの新型コロナウィルスによる死者を出した国です。
理由はライフスタイルや国民の健康意識、保険制度などいろいろ考えられますが、公共の場でマスクを着用することに抵抗感を覚える人が多かったこともひとつの理由として考えられると思います。トランプ大統領も当初、マスク着用に否定的でした。

コロナ以前から冬場や花粉症の季節には多くの人が街中でマスクをしている日本人にはアメリカ人のマスクに対する抵抗感は理解し難い部分があります。
アメリカ人が抵抗してまでマスクをしたがらない理由はいくつかあると思います。
まず、当たり前かもしれませんが、マスクをするという習慣がないこと。そして治安の面でもマスク着用に抵抗感を抱く人が多いといいます。アメリカは銃社会です。街中で顔を覆っている人がいると、周りの人や警察に不信感を与えるというのです。さらに人種の問題も絡んでくるので、なかなか厄介なことになっています。

さらに先日、ある本を読んでいてふっと気づかされることがありました。

アメリカは「公平の国」ではない、自由の国だ

『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』という本を現在読んでいます。
シリーズ1作目の『金持ち父さん 貧乏父さん』は以前、読んだことがあって、このブログでもチラッとご紹介したことがありましたが、それ以外の金持ち父さんシリーズは読んだことがありませんでした。

この本では、生活をする上での収入源を4つのクワドラント(直訳すると四分円)に分類しています。

  • E(Employee)クワドラント=従業員、会社勤めで給与収入のひと
  • S(Self-employed)クワドラント=自営業者
  • B(Business Owner)クワドラント=ビジネスオーナー
  • I(Investor)クワドラント=投資家

クワドラントは収入の種類だと捉えればいいと思います。
4つのクワドラントうち、経済的自由を勝ち取りたければ、EやSのクワドラントからBやIへ移行すべきだというのがこの本のざっくりとした趣旨です。

今回はこの本の本来の趣旨についてではなく、アメリカ人のアメリカという国に対する国家観が何気ない文章に表れていたのでご紹介したいと思います。

そんなのは不公平だという人もいるかもしれないが、そもそも「公平だ」なんてだれも言っていない。私たちが生きているこの国は「公平の国」ではない。自由の国だ。(中略)公平にしようとすればするほど、自由が奪われていくのも事実だ。

『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 ロバート・キヨサキ著

EやSのクワドラントではBやIよりも多くの税金が課されるし、収入や生活を企業や政府に依存することになる。だから経済的自由を勝ち取るためにBやIのクワドラントに移るべきなのだが、それは不公平だと主張する人がいる。引用した文章はそういった主張に対する反論の一部分です。

前提として著者のロバート・キヨサキ氏は、何よりも自由を重視する共和党寄りの意見の持ち主です。大統領になる前のドナルド・トランプ氏との共著もあり、彼の最近のツイッターを見ると、今回の大統領選でもトランプ大統領を支持しているようです。

この点に関する私の個人的な意見は、キヨサキ氏とは少し異なります。
自由競争はもちろん大事ではあるけれども、資本主義では生まれた家庭の状況など人によってそもそものスタート位置が違うことがよくあるし、自由競争では競争の敗者やそもそも競争に参加できない人など社会的・経済的弱者が出てきてしまいます。そういった社会的・経済的弱者の生活を保証するためには、裕福である人々から強制的に富を税金という形で取り上げて、富を再分配するというのは政府の最も重要な役割のひとつだと思います。富の再分配のためのある程度の自由の侵害は致し方ないと思います。

日本はアメリカよりも高福祉の大きな政府という傾向が強い国家だと思います。比べてアメリカは福祉よりも自由を重視する傾向が強いと思います。そしてそれはキヨサキ氏のような、自由という概念を非常に重視する国民が多いからだと思います。根底には自由は先祖たちが戦争で血を流して勝ち取ったものだから何物にも代えがたいという教育や歴史認識があると思います。

今回のマスク騒動でも「マスクをしない自由」という概念が人々の間に根強くあります。キヨサキ氏がマスク着用に関してどう考えているのかはわかりませんが、アメリカには公平よりも自由を重視する人々、究極的には自由を失うならば死んだ方がましだと考える人々が少なからず存在するということです。

これはフロリダ州のパームビーチ郡で公共の場でのマスク着用を義務化する法案の採決前に一般の人々の意見を聞くために開かれた公聴会の模様です。
マスク着用に反対する人々の中には、マスクをすると呼吸ができなくなるという極論を述べる人や宗教的信念から拒否している人もいますが、根底には何よりも自由を尊重するという考え方があると思います。「私たちにはマスクをしない自由がある、マスク着用の義務化はその自由を侵害する行為だ」ということです。

今回は『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』の本来の趣旨とは違う部分を掘り下げましたが、この本の本来の趣旨は「経済的自由を勝ち取るためには?」というものです。これから投資をしようと考えている人や、現在投資を行っていて資産形成を図っていこうとしている人には非常に参考になる本だと思います。