不動産投資が無理ゲーだと思う理由

不動産投資のメリット

最近、YouTubeで不動産投資に関する動画を見ることにハマっています。

特に不動産投資始めようと思っているわけではなく、何の気なしに見始めたら止まらなくなってしまいました。

不動産投資で成功している人・大失敗した人の体験談がお気に入りです。

特に大失敗した人の体験談は貴重だと思います。

もしネットが現在のように発達していなかったら、こういった体験談はセミナーなどで聞くしかありません。

セミナーは主に不動産投資を一般に広めたい不動産業者などによって催されていますから、『不動産投資でこんなに大成功しています』『4年で家賃収入何千万円超え・資産価格何億円超え!』などと耳障りのいい話がメインになるかと思います。

公衆の面前で『私は不動産投資でこんなに大失敗しました』などと話すというのは晒し者のようでどんな人にもハードルが高いものであると思いますし、なかなかお目にかかれないでしょう。

YouTube上ではもちろん大成功している人の話もありますが、大失敗した人やコインパーキングやコインランドリーを経営して月の収益が約10万円など現実的な数字を見せてくれる人の動画も多くあります。

投資すればバラ色の世界が待っているなどと夢を見させてくれるだけではなく、厳しい現実も垣間見ることができます。

個人的な感覚ですが、不動産投資は株式投資、特にインデックスの積立投資と比べると格段に難易度が高いと思います。

にもかかわらず、なぜ人々は不動産投資に走るのかな?と少し考えてみました。

まず、不動産投資のメリットを考えてみます。思いつくのはざっと以下のようなものです。

  • 大きなレバレッジをかけられる
  • 税金面で優遇を受けられる
  • 目に見える形の資産を手にできる
  • 証券投資よりもやりがいを感じられる

・大きなレバレッジをかけられる

これは不動産投資の最大のメリットだと思います。

例えば、4000万円のマンションを投資目的で購入する場合、自己資金500万円で3500万円をローンを組んで投じた場合、単純計算で4000÷500でレバレッジは8倍です。

株式投資や証券投資でレバレッジをかけるのは簡単なことではありません。

私はCFDでレバレッジをかけて投資していますが、かけるレバレッジは最大で2倍と決めています。8倍なんてとても怖くてできません。レバレッジは高ければ高いほどリスクも高くなると思います。ハイリスクハイリターンです。

不動産投資の場合、最初にしっかりとプランニングをしておけば相場が崩れたとしても強制的に損切りされたり追証が発生したりすることはありません。

CFD投資については過去記事を参照ください。

・税金面で優遇を受けられる

こちらもレバレッジと並ぶ不動産投資の大きな強みだと思います。

株式や債権などの金融投資で税制面で優遇を受けようとする場合、NISAやiDeCoといった非課税制度がありますが、投資できる金額に大きな制限がありますし、これらを利用しながらレバレッジをかけることは不可能です。

一方で不動産は持っているだけで税金がかかります。

株式投資の場合、売却時に発生する利益や配当金には税金がかかりますが、固定資産税のように所有しているだけで税金がかかることはありません。

不動産にかかる税金もスキルがあればある程度節税ができるようですが、ここまでくるともはや投資のスキルではなく、ビジネスや経営のスキルになってくるかと思います。

・目に見える形の資産を手にできる
・証券投資よりもやりがいを感じられる

これら2つのメリットは相関するものがあると思います。

株式投資の場合、自分が株式投資をしていると実感する機会は大きく限られます。

画面上で動くのはあくまで数字に過ぎませんし、私のように配当を主眼に置いていない場合、入金も限られています。

私はすべての株式への投資金額を合わせると現在700万円ほど運用をしていますが、入ってくる配当金は年間で数万円です。

700万円のうち大部分を分配金が自動で再投資される投資信託や配当のないCFD、無配当の個別銘柄を占めているので当たり前と言えば当たり前ですが、本当に雀の涙ほどの配当金しか入ってきません。

アメリカ株投資は株主レターのような郵送物も送られてきませんから、実際に株主であることを実感するのは証券口座の保有資産の画面を見るときぐらいです。

一方、不動産投資は目の前に現物で資産となるものを目にすることができます。

ビルを一棟買えばビルオーナーです。そのビルに行けば自分の資産を実感できます。

さらに、所有しているビルにテナントが入れば、実店舗を目にすることもできます。そのお店がお客さんで賑わって繁盛していればやりがいを感じることもできるかもしれませんし新たな人間関係を築くこともできます。

さらに1件の資産額が大きい分、基本的に不動産は株式や債権よりも入金額も大きいです。4000万円の資産で利回りが10%の場合、年間で400万円の入金が見込めます。毎月、家賃が振り込まれれば大家であることを実感できることでしょう。

不動産投資のデメリット

では、なぜ私が不動産投資よりも株式投資推しなのかというと、以下のような理由が挙げられます。

  • どうしても集中投資になってしまう
  • 目利きのスキルが非常に重要
  • 手数料や税金、維持費などの経費が高い
  • 日本の今後の人口動態
  • 手間がかかる

・どうしても集中投資になってしまう
・目利きのスキルが非常に重要

これらは相関しています。

不動産投資をしようとなった場合、マンションでもビルでも買う物件をひとつ選ばなくてはなりません。どうしてもひとつあるいは少数の物件に集中投資になってしまいます。

株式投資の場合、ETFや投資信託の場合は必然的に分散が図られますし、個別銘柄の場合でもひとつの銘柄にいくら投じるのかを自分で決めることができるので、少額でも分散投資が比較的容易です。

不動産投資でも複数の不動産に分散投資できるREITと呼ばれるETFが日本市場にもアメリカ市場にも存在しますが、過去のリターンはVT、VTIなどの株式インデックス投資には大きく劣ります。

さらに集中投資になってしまう以上、目利きのスキルが非常に重要になってきます。

というか、目利きのスキルがあるかないかがリターンの差になってきます。

不動産市場には株式市場の証券取引所にあたる公開市場が存在しません。

株式の場合、証券会社によってある銘柄の価格がまったく異なるということはあり得ません。昨日のアップルの終値はどの証券会社のHPで調べても同じ価格です。

一方、不動産には公開市場が存在しないので、市場全体の共通する評価額というものが存在しません。

結果的に物件の妥当な評価額がわかりづらく、中間業者にマージンを取られて高値掴みさせられるリスクが高くなります。

さらに不動産には火災や自然災害のリスクもあります。保険に入っていたとしても火災や自然災害に見舞われれば資産が毀損する可能性はあります。

・手数料や税金、維持費などの経費が高い

今回、不動産投資の動画を見るようになって一番驚いたことは、不動産投資にかかる手数料や税金などの経費が株式投資と比較すると非常に高いということです。

例えば、楽天VTIの経費率は0.16%です。多くのオンライン証券で購入手数料はかかりません。

直接、VTIを購入すれば経費率は0.03%まで下がります。(この場合、為替手数料や買付手数料は別途かかります)

一方、不動産投資の場合、買い付けの際には不動産業者に払う仲介手数料や売買手数料だけではなく、印紙税、登録免許税、司法書士報酬、不動産取得税などなど、あらゆる手続きに費用がかかります。
売却の際にも同様のまとまった費用が必要になってきます。

さらに10年、20年と時間が経過し設備が劣化すれば修繕の費用も必要になってきます。

株式から投資の世界に入った私には、もうこの時点で不動産投資は無理ゲーに見えてしまいます。

投資はリターンの大小はもちろんですが、手数料や税金などをいかに低く抑えるかも非常に重要です。

・日本の今後の人口動態

こちらは私が日本株ではなくアメリカ株に投資している理由にひとつでもあります。

移民政策の大転換がない限り、10年後の日本の人口は現在よりも少なくなる可能性が非常に高いですし、20年後の人口は10年後よりも少なくなる可能性が高いです。

年々、パイが小さくなる市場で勝負するということは年々、その難易度が上がっていくということを意味します。

東京・大阪の大都市圏の都心部は10年20年後でも大丈夫かもしれませんが、そういった場所の不動産はすでに非常に高くなっており、マンションでもひとつの物件で億を超えるものが少なくありません。

すると複数の資産を持つには多額の資金が必要になり、最初に挙げた集中投資の傾向がさらに高まってきてしまいます。

すでに数億円の資産があるならば別ですが、資産額が1,000万円をやっと突破して喜んでいる私のような庶民にはリスクが高いと思います。

・手間がかかる

こちらはメリットに挙げたやりがいと表裏一体です。

不動産の場合、購入したあとも清掃や管理などの手間がかかります。

業者に委託することも可能ですが、それはそれで費用がかかります。

株式投資、特に長期投資の場合、買ったら基本的にはそのまま放置です。証券会社の管理画面にログインする必要すらありません。特定口座で購入していれば配当にかかる税金は源泉徴収されます。

結果的に不動産投資はビジネスに近い側面を持つことになりそれがやりがいにも繋がりますし、手間がかからないからこそ株式投資には不動産投資で感じられるようなやりがいは感じにくくなります。

保有資産を実感できるという点が人を惹きつける

先に挙げたメリットのうち、特に資産が目に見えるという点が多くの人を不動産投資に引きつけるのかなと思います。

やはり目の前に見えるマンションやビルのオーナーだと言われた方が目に見えない株式やインデックスに投資するよりも実体験として実感できるのだと思います。

不動産投資には今までまったく興味がなかったのですが、知れば知るほど不動産投資で資産を築くのは株式投資に比べると難易度が格段も高いように感じられます。

社会勉強として勉強する分には面白いと思いますが、私が不動産投資に手を出すことは今後も無さそうです。


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