長期投資家が読むべきおすすめ投資本2冊

投資に関する本は10冊程度読みました。
読んで参考になった本、為になったなと思う本は少しづつブログでも紹介していこうと思っています。

今回は最初なので今まで読んだものの中で私の基本的な価値観・投資観を形作った本2冊をご紹介しようと思います。

そもそも世の中の「投資本」と呼ばれるジャンルの本には2種類の本があると思います。
1つは「売り時・買い時」「テクニカル分析」「チャート分析」などがキーワードのテクニカル分析のhow to本。
そしてもう1つはチャート分析などテクニカル分析ではなく、いわゆるファンダメンタルズを重視した本。こちらはどちらかというとhow toを説明するというより、投資やお金に対する考え方を述べている本が多いと思います。

私の投資手法は後者なので紹介する本は基本的に後者に属する本です。
有名な投資本は挙げればそれなりの数になると思うので、その中でも特に私の考え方に影響を与え、しかもそれぞれ少し毛色の異なる本を2冊に絞ってご紹介します。

①『ウォール街のランダム・ウォーカー』 バートン・マルキール著

この本はざっくり言うと、

・相場の動きはランダム・ウォークで予測不能
・S&P500などのインデックスファンドに勝つことは投資のプロであるアクティブファンドのファンドマネージャーでも非常に難しいのでインデックスファンドを買っておけ

・投資する際はリスク分散・リスク管理を必ず行う

という主張です。
これらの主張が正しいことを証明するためにかなり詳細に歴史的なデータや学術資料を用いて理論立てが行われています。
最後の方に、「もしインデックスファンド買って放置というのが退屈な人は個別株買ってもいいけど、銘柄厳選しろよ云々」と申し訳程度に書かれていますが、基本はインデックスファンド買って放置が長期では一番勝てる確率が高いという主張です。
私が読んだのは原著第11版ですが、現在の最新は12版のようです。

②『千年投資の公理』 パット・ドーシー著

著者はモーニングスター社の株式評価システムのディレクターをしている人で、同社が定期的に発表しているエコノミック・モートのレーティングを行っている中心人物です。
ちなみに英語版のモーニングスターは非常に有用なサイトです。決算報告書を見なくても過去10年の利益やキャッシュフロー、バランスシートなどの数値を一覧で確認することができます。しかもそれだけの情報量がある上に無料で利用できます。米国株投資を行っている個人投資家は必見です。

①の『ウォール街のランダム・ウォーク』はインデックスファンド激推しでしたが、こちらは基本的に個別株投資する際の銘柄選択の心得が書かれています。

・経済的な堀(エコノミック・モート)が深い企業を探し出すこと
・経済的な堀にもいろいろな要素がある
・買値は常に重要

といったことが主な主張です。
本の帯に「永遠のバフェット流」と書かれていますが、バフェットの投資手法の基礎になる考え方だと思います。
バフェットは若い頃、ベンジャミン・グレアムという人の『証券分析』という本を読んでその考えに魅了され、グレアムに弟子入りするほどのめり込みます。その手法は割安株投資と言われるもので、市場に埋もれて割安に放置されている株を見つけて買い、再評価されるまでホールドするという手法でした。
割安株投資家として投資の世界に入ったバフェットですが、その投資手法は徐々に変化していきました。銘柄分析が進み、割安で放置される魅力的な株が少なくなってきたためでした。
私の個人的な意見ですが、バフェットが投資の世界に入ってから60年以上が経過した現代では、インターネット上で個人投資家でも銘柄分析ができてしまうことから、割安に放置されている魅力的な株を見つけることはほぼ不可能だと思っています。
割安株投資の手法に限界を感じたバフェットが徐々に変えていった手法が本書に書かれているような経済的な堀(エコノミック・モート)が深い魅力的な株に投資する手法でした。

本書はバフェット本人が買いたわけでもなく、バフェットの投資手法について直接的に解説した本でもありませんが、結果的にはバフェット流を解説している良書だと思います。

投資本を読む際の注意点

最後に投資本を読む際のアドバイスをひとつ。

投資本には具体的な銘柄を挙げて解説していることがよくあります。

例えば、こちらも有名な本ですが、ジェミー・シーゲル著『株式投資の未来』という本があります。こちらも長期投資をする際に非常に参考になる良書だと思います。

この本の中で1957年~2003年にかけての高パフォーマンス銘柄が以下のように挙げられています。

  1. フィリップ・モリス(PM)
  2. アボット・ラボラトリーズ(ABT)
  3. ブリストル・マイヤーズ(BMY)

フィリップ・モリスが高リターンだった理由として、高配当であり、配当再投資がリターンを押し上げたと書かれています。
現在もフィリップ・モリスは非常に高配当です。7月3日時点での配当利回りは6.69%です。
では、同じ理由で今後のフィリップ・モリスも高リターンが期待できるかというとそうは単純ではないと思います。タバコ業界が置かれている状況は21世紀に入ってから格段に厳しくなりました。20世紀でもそうした考えがあり、健康に悪いというマイナスイメージや健康被害により訴えを起こされて多額の賠償金支払いが必要になってくるのではないかという懸念がリターンを大きくしたと解説されています。確かにそういった懸念が大きなリターンを産む可能性もゼロではないと思いますが、喫煙人口の減少による需要縮小は20世紀の比ではありません。

投資本は手法を学ぶというより考え方を学ぶというスタンスで読んだ方がいいと思います。その上で考え方を具体的な手法に昇華するという作業をした方が、よりリスクを理解することができ、リスク管理もできると思います。リスク管理は投資をする上で非常に大切です。よくわからないものに投資することほど危険なことはないと思います。


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