長期投資家が注目すべき2つの株価変動要因

6月11日に1800ドル下げましたが、先週は比較的落ち着いた株価の推移でした。
株価はなぜ動くのでしょうか?
株価が動くのは当たり前じゃないかと思われるかもしれません。しかし、何かが変わったから株価も変動するのです。
私は長期投資家として2つの株価変動要因に注目しています。はじめに強調しておきますが、私は基本的に株価の予想は無理で無意味だと思っています。この記事を読んでも株価予想の参考にはなりません。特に数日〜数ヶ月単位の短期の株価予想は無理だと思っています。短期の株価変動は投機筋の動きによるノイズの場合が多いです。

私が注目している2つの株価変動要因

株価=将来キャッシュフローの合計×割引率

株価は上の式で計算できます。実際に将来のキャッシュフローの合計を計算して設定した割引率を掛けて理論株価を算出する人もいますが、私はしません。理由は将来キャッシュフローを計算する際の成長率(利益が年率何%で成長するか)と割引率次第で理論株価は大きく変わってきてしまうからです。利益成長率は過去の成長率からある程度予想できるかもしれませんが、割引率は根拠付けて設定することは難しいと思います。割引率が1%変われば株価は大きく違ってきます。

しかし、私は上の式は常に意識してます。そして注目している2つの株価変動要因は式の2つの数字を言い換えたものです。

  1. 業績予測(将来キャッシュフローの合計)
  2. 投資家の期待度(割引率)

業績予測(将来キャッシュフローの合計)

以前、今のマーケットは楽観的すぎるのでは?という記事を書きました。

この中で、楽観的すぎると思った根拠として、S&P500のコンセンサス予想EPS のグラフを示しました。

出典:ファクトセット

この数字が①の業績予測の数字、つまり将来キャッシュフローです。この数字の上下は直接株価に影響します。
通常、この数字の予想は難しいです。個別銘柄ならまだしも、S&P500の予想EPSなんて素人には出ている数字が高いか低いか予測つきません。しかし新型コロナウィルスの影響で業績が悪化し、回復が見込まれている現在の局面ではいい目安になります。
以前の記事にも書きましたが、現在の市場コンセンサスによると2021年は2019年の水準までV時回復すると予想されていますが、これは楽観的すぎると思います。もしこのコンセンサス予想の数字が下がってくれば、株価も下がってくるはずです。

投資家の期待度(割引率)

次に②投資家の期待度です。こちらは目安にするのにうってつけの指数があります。PERです。PERが上がれば、投資家の期待度が上昇しているということです。私は銘柄ごとの比較よりも同一銘柄の過去との比較の方がより有効だと思います。

例えば私がアップル(AAPL)を購入した2018年11月と現在の株価とEPS、PERは以下の通りです。

株価EPSPER
2018年11月204.4911.91(18年度実績)17.1倍
2020年6月349.7211.89(19年実績)29.41倍

EPSは18年度と19年度ではほぼ横ばいでした。しかし株価は70%近く上昇しています。これは①の業績予測による株価変動ではなく、②の投資家の期待度が上がったことによる株価上昇と捉えたほうが自然です。PERは17倍から30倍近くまで上がっています。20年度のEPSは確実に19年度より悪化しますから、20年度予想EPSで計算すればPERは30倍を軽く超えるでしょう。21年度V字回復して19年度と同じ水準まで利益改善したとしてもPER30倍の株価水準ということです。アップルの過去10年の平均PERは14.5倍ですので、今の株価は少し買われすぎかもしれません。

今は新型コロナウィルスの影響で株価水準の見定めが難しい局面です。だからこそ上がる時も下がる時も非常にボラティリティが高いのです。来年どころか来月、どうなっているのかすら不透明です。
一部のテクノロジー銘柄を除いて、ほとんどの会社の20年度の業績は悪化することが予想されます。しかし要因は新型コロナウィルスですから今年1年か遅くとも2021年いっぱいの一時的なものです。その後、経済が完全に回復するまでどのくらい時間がかかるかはわかりませんが、20年度の状況がこの先3年、5年と続くとは考えづらいです。PERを参考にするのであれば、今後1年は19年度のEPSをもとにした数字を参考にしたほうがいいかもしれません。20年度の数字は経済状況が特殊なのであまり参考になりません。ただし、先日一部店舗の閉鎖を決めたスターバックスやボーイングや航空会社など極度に経営状況の悪化した会社は、そもそももとの利益水準に回復できるかが問題になってきてしまうので注意が必要です。