ワクチンはコロナ禍の解決には結びつかないと思う

8月の雇用統計は良好だった?

早くも9月に入りました。新型コロナウィルスの感染拡大から約7ヶ月が経ちました。
株式市場はほぼ急落前の水準まで回復してきましたが、実体経済は依然として深刻な状態にあります。

先週末の雇用統計は数字上は良好な結果でした。

【8月雇用統計 結果】
非農業部門新規雇用者数:137.1万人増 市場予想:132万人増
失業率:8.4%(前月比-1.8%) 市場予想:9.8%

数字上は良好と表現したのは、137万人の雇用増には国勢調査のために臨時雇用された23.8万人が含まれているからです。8月の民間の雇用者数は100万人でした。失業率が8.4%まで改善してきたことはポジティブサプライズでした。
ウォールストリートジャーナルでは、「見た目ほど好調ではないとあら探しをすることは可能だが、いい内容であることは否定しようがない。」と労働市場が強く回復してきていることは紛れもない事実だと強調しています。データをどう読むかによって評価が大きく違ってくるということです。

今後の経済・株価にとってのポジティブ要因・ネガティブ要因

では、今後、アメリカ経済(ひいては世界経済)や株価はどうなるのでしょうか?
今後、影響を与えそうな材料を挙げていきたいと思います。

ポジティブ材料

  • FRBによる金融緩和の効果継続
  • 新型コロナウィルス感染拡大に歯止めがかかる(寒くなっても感染が爆発的に拡大しない)
  • 労働市場の着実で力強い改善基調が続く
  • アメリカ大統領選挙が終わり、不透明要因が解消される
    バイデン氏が勝利し、法人税増税を否定する発言がない場合は株価の一時的な下落材料になる可能性があります

ネガティブ材料

  • 寒くなり、新型コロナウィルスの爆発的な感染再拡大
  • 労働市場の回復が期待ほど伸びない

今後の新型コロナの感染状況次第で大きく変わってくるとは思いますが、基本的にはポジティブ材料のほうが多いと思っています。なんと言ってもFRBの金融緩和の威力は絶大です。しかも、パウエル議長はインフレ率が2%を上回ったとしてもすぐに利上げには動かないと発言し、ゼロ金利を今後数年は維持することを示唆しています。数年後には景気の減速よりも過熱がリスク要因と言われるようになっているかもしれません。

大統領選は結果にかかわらず、通過すればポジティブ材料

よく、トランプ大統領が勝利すれば株高、バイデン氏の場合は株安という予想を見ますが、私はそうはならないと思います。
まず、株高、株安がどのくらいのスパンを見ているかを明確にしておきたいと思います。もし、大統領選後1ヶ月を対象に見る場合、確かにバイデン氏が勝利すれば一時的に下落する可能性はあります。民主党はトランプ大統領の法人税減税を批判してきた立場だからです。ただ、バイデン氏の勝利によって、10%も20%も株価が下落したり、4月以降の上昇基調が終わり、長期の下落基調に突入するかといえば、それは起こりえないと思います。大統領選挙の通過はどちらが勝つかにかかわらず、来年1月以降のアメリカ大統領が誰なのか、どういった政策が採られるのか、という不透明要因が解消される事によるポジティブな面のほうが強いと思います。

市場はワクチンの接種再開に期待しすぎだと思う

アメリカは国を上げて「ワープ・スピード作戦」と銘打ってワクチンの開発に力を入れています。トランプ政権としては何としても11月の大統領選までにはワクチンの接種を開始したいと考えているはずです。
市場でもワクチン開発関連の進捗ニュースが出るたびに株価が上昇し、期待の大きさが伺えますが、私は少し期待過多な気がしています。

  • ワクチンの安全性に疑問を持つ人が多い
  • ワクチン接種は1回では効果が限られるという
  • ワクチンは特効薬ではないので、接種しても感染しないというわけではない

上のような理由が考えられます。特に安全性の担保は非常に大きな課題だと思います。
通常、ワクチン開発の治験には3年から7年かかると言われています。もちろん、コロナの場合は何年もかけるわけにはいかないと思いますが、それを数ヶ月で済まして政府が安全のお墨付きを与えても、安全性に疑問を持つ人が多ければ接種が進まず、結果的にはあまり意味がないということになりかねません。世界各国ではワクチン接種に不安を感じる人が多くいるという報道もあります。

アメリカでは3人に1人、日本では4人に1人が「新型コロナのワクチンを接種したくない」 — 世界27カ国で調査

Scott Eisen/Getty Images アメリカ人の3人に1人は新型コロナウイルスのワクチンを接種したくないと考えていることが、最新の国際調査で分かった。 調査会社イプソス・モリ(Ipsos MORI)の調査によると、アメリカでは回答者の33%が新型コロナウイルスのワクチンが接種できるようになっても、接種しないと答えた。 その理由として最も多かったのは、副作用への懸念だ。 …

アメリカ人のワクチン接種反対の理由に「ワクチンを接種するほどのリスクを感じていない」という意見があるのがいかにもアメリカらしいなと思ってしまいました。

新型コロナウィルスの影響を私たちの生活から完全に払拭するには、特効薬の登場を待たなくてはならないと思います。