バフェットの動きが活発化 オマハの賢人は今何を思う

著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイは2日、年次株主総会を開いた。バフェット氏は新型コロナウイルスの感染拡大によって「世界が変わる」として、保有していた米航空株を全て売却したと明かした。

5月3日付 日経電子版

著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが保有銘柄の見直しに動いている。米大手地銀USバンコープ株を一部手放したことが13日、明らかになった。

5月14日付 日経電子版

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは15日、ゴールドマン・サックス・グループ株式の持ち分を1-3月(第1四半期)に84%減らして192万株としたことを当局への届け出で開示した。

5月16日付 Bloomberg

ウォーレン・バフェットの銘柄見直しの動きが活発化しています。
航空株のすべてと金融株の一部売却に踏み切りました。ほかに、損害保険最大手のトラベラーズ(TRV)と石油株のフィリップス66(PSX)も全株売却しました。
コロナの影響で株価が大幅に下落した当初、バフェットはデルタ(DAL)とユナイテッド(UAL)を買い増していました。
3月に買い増しのニュースを聞いたときは、「まぁこれだけ下がれば当然買い増すよな」と思ってましたので、4社すべて売却のニュースを聞いたときは正直驚きました。

バフェットはなぜ航空株に投資したのか?

バフェットが航空株に投資を始めたのは2016年でした。
その後も買い増していったようですが、私にはなぜバフェットが航空株に強気なのか、まったく理解できませんでした。
バフェットは1989年に当時のUSエアウェイズに投資して、失敗した経験があります。その後、航空株にはもう懲りたとコメントものしています。彼の投資手法について書かれている「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(著者はバフェットの義娘)にも投資を避けるべきコモディティ株として航空株が筆頭に挙げられています。
投資を避けるべき理由としては、
・サービス面での差別化が難しく、チケットの価格競争が熾烈
・固定費負担が高く、利益率が低い
・労働組合が強い
などが挙げられています。
「業界再編が進み、過当競争の時代が終わった」から投資に踏み切ったとの報道もありましたが、バフェットが明確に投資理由を述べたり、書いたりしたということは私個人としては聞いたことがありません。
一時、バークシャー は航空会社の買収も視野に入れているとの報道もありました。

バークシャー のキャッシュポジションは過去最大

2008年のリーマンショック時、金融株が売られ暴落する中、バフェットはひたすら金融株を買い支えました。今回、保有株の84%を売却したゴールドマンサックス(GS)もその際に優先株に50億ドルを出資して取得したものです。このとき、経営破綻を免れた金融株は復活を果たし、バフェットは巨額の利益を手にしました。
しかし、近年、FRBが利下げに動いた中でもバフェットは金融株に強気の姿勢を崩しませんでした。銀行は一般的に預かったお金を貸してその利ざやを稼ぐビジネスですので、低金利は利益を圧迫します。私はバフェットが航空株に強気な理由が理解できなかったのと同様に、低金利時代にポートフォリオの半分を金融セクターで占めるバフェットの考えもよくわかりませんでした。
3月末時点でのバークシャー のキャッシュポジションは過去最大の1370億ドル(14兆6000億円)にまで積み上がっています。さらに4月に航空株など60億ドルあまりを売却しており、現在は1400億ドルを超えている計算になります。
1990年代のITバブルの際にもテクノロジー株に一切投資していなかったバフェットが批判されたことがありました。2010年代に入ってからも、IBMに投資して失敗するなど、「バフェットはついに耄碌したか」などと言われたりもしています。しかし、長期で見れば、バフェット以上の利益をあげている投資家はいません。
「魅力的な投資対象がない」と常々言っていたバフェットですが、コロナの影響で株価が下落している中、莫大なキャッシュはバークシャー にとって大きな武器だと思います。今後の動きに注目していきたいと思います。


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