Bad News is good Newsの終わり

悪いニュースは良いニュース、良いニュースは悪いニュース

昨年来、悪いニュースは良いニュース、良いニュースは悪いニュースという傾向が続きました。

雇用統計、景況感指数、小売売上高など多くの経済指標が日々発表されます。
これらの数字が悪化すると株価は上昇し、良い数字が出ると株価は下落しました。

論理としては以下のような連想によるものです。

経済悪化
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インフレ率の抑制
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FRBによる金融引き締めの停止、さらには利下げ期待の高まり
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株価上昇

一方、経済が好調だと以下のような逆の連想が働きます。

経済好調
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インフレ率のいっそうの上昇
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FRBのさらなる金融引き締め
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株価下落

今後はこういった流れが変わってくる可能性があります。
大きな要因の一つはインフレ抑制に目処がつきつつあるということです。

インフレ率は昨年6月には前年同月比で9.1%まで上昇しましたが、それ以降は下落トレンドです。先週発表された昨年12月の数字は前年同月比で6.5%でした。

市場は楽観的で今年の年末には利下げがあると織り込んでいます。

しかし、問題なのはインフレ抑制に目処がつきつつあるということで、完全にインフレが収まったとは言い切れない点です。

下落してきたとは言え、6.5%という数字は歴史的にはまだまだ高い水準です。コロナ前までアメリカのインフレ率は高くても2%台でした。

1970年代のインフレ時には、ある程度インフレが下がってきたという場面で、金融引き締めの手を緩めたところ、その後インフレが再燃してしまったという苦い経験があります。
もちろん現在のパウエルFRB議長もそのことは知っているはずで、だからこそ昨年後半以降、市場で2023年末の利下げ期待が高まると、その可能性を否定するような発言を節々でおこなっているのです。

しかしパウエル議長がどこまで本気で23年末の利下げ期待を打ち消しているのかはわかりません。

FRBには、2021年の時点でインフレは一時的だとして大胆な金融引き締めに消極的な姿勢を見せていたのに、その後態度が豹変した「前科」があります。
利上げしないと言ってたのに、1年間で4%以上も利上げしたんだから、今年中の利上げはないと主張したところで、またすぐ意見を変えてどうせ利下げするんでしょ?と市場はFRBに対して疑心暗鬼になっているということです。

個人的にはパウエルさんはそれなりに本気だと思っています。少なくともインフレ率が2%台に下がるまでは、ある程度実体経済にダメージが見え始めたとしても金融引き締めの手を止めることはないんじゃないかと思っています。

もし、今年景気後退が目に見えて顕著になってきているにも関わらず、市場が期待しているようにFRBが年後半に利下げに踏み切らなかった場合、株価はそれなりに大きく下落すると思います。

ただ、何が起こるか本当にわからないので、今どちらに動くと決めつけて大きくポジションを取るということは非常にリスキーだと思います。

小売売上高は悪化も株価下落

18日にアメリカの12月小売売上高が発表されました。

もともと市場の予想はマイナスで悪化を見込んでいましたが、その市場予想を下回る結果となりました。

12月は年末商戦があり、小売業にとっては書き入れ時です。その結果がマイナスでしかも市場予想にも届かなかったというのは、需要の鈍化がいよいよ大きくなってきたことの表れです。

⬆️は18日のS&P500の値動きです。

朝方は小売売上高の鈍化を受けて上昇して始まりました。

Bad News is Good Newsの傾向に沿えばそのまま株価は上昇するはずですが、昼前にはマイナス圏へ下落。終わってみれば結局前日比で1.5%を超える下落になりました。

昨年はCPI(消費者物価指数)が毎月の一大イベントになっていましたが、2023年はCPIよりも雇用統計や小売売上高など、雇用や景況感を表す経済指標のほうに注目が集まると思います。

パウエル議長のインフレ退治の決意が固いことが浸透してくると、Bad News is Good Newsの傾向は、Bad News is Bad Newsという素直な反応に変わっていくかもしれません。


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