このブログを立ち上げて10日ほど経ちましたが、ウォーレン・バフェットの名前はもう何度も登場しています。私は基本的にバフェットは尊敬に値する人物だと思っています。これまでの投資実績はもちろんですが、人柄やライフスタイル、「富裕層への課税を強化して富の再分配をすべき」といった政治的主張も含めて尊敬しています。
しかし、私は現時点でバフェット率いるバークシャー ・ハサウェイ(BRK.B)には投資していません。今日は私がバークシャー に投資していない理由をご紹介したいと思います。
実は投資会社ではなく、コングロマリット(複合企業)
バークシャー は投資会社ですが、投資事業のほかに複数の傘下の事業会社によるコングロマリットです。セグメントは以下の通りです。
事業 | 損益(2016年) | 割合 |
---|---|---|
保険-融資引受 | 1,370 | 5.6% |
保険-投資収入 | 3,636 | 14.9% |
鉄道 | 3,569 | 14.6% |
公益事業およびエネルギー | 2,287 | 9.3% |
製造、サービスおよび小売 | 5,631 | 23.1% |
金融 | 1,427 | 5.8% |
投資およびデリバティブ | 6,497 | 26.6% |
その他 | ▲343 | – |
合計 | 24,074 | – |
少し前の2016年のセグメント別損益です。最新の2019年度版を引用しない理由は後述します。
金融と投資およびデリバティブの収益は全体の約30%強にすぎません。
傘下の主な事業会社には以下のようなものがあります。
・GEICO(自動車保険)
・バーリントン・ノーザン・サンタフェ(鉄道)
・シーズ・キャンディ(製造・小売)
・マクレーン(運送業)
コングロマリット・ディスカウントという言葉があります。
M&A等で複数の業種の事業会社を傘下に収めた会社は単体でそれぞれの事業を営むときと比較すると、評価が難しく、株価が低く抑えられがちなことをいいます。
まさにバークシャー はそれに当てはまると思いますし、実際に評価が難しいと思います。評価できないものを買うことはできません。
ポートフォリオに共感できない
投資していない理由はコングロマリットであるというだけではありません。
投資会社として見たとき、ポートフォリオに共感できない部分があります。
金融銘柄への強気姿勢
銘柄 | 比重 |
---|---|
アップル(AAPL) | 35.5% |
バンク・オブ・アメリカ(BAC) | 11.9% |
コカ・コーラ(KO) | 10% |
アメリカン・エキスプレス(AXP) | 7.4% |
ウェルズ・ファーゴ(WFC) | 5.3% |
クラフト・ハインツ(KHC) | 4.6% |
ムーディーズ(MCO) | 3% |
JPモルガン(JPM) | 3% |
USバンコープ(USB) | 2.6% |
ダヴィータ(DVA) | 1.65 |
2020年3月31日現在のバークシャー のポートフォリオ上位10銘柄です。
赤字は銀行株です。上位10銘柄に入っていませんが、投資銀行のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)やゴールドマン・サックス(GS)にも投資しています。
ゴールドマン・サックスは今年1-3月期に大幅な売却に踏み切りました。
こちらの記事にも書きましたが、現在、世界的な低金利の時代です。アメリカの政策金利は現在、0.00〜0.25%と事実上のゼロ金利です。
銀行は銀行が預かったお金にかかる利息と、貸したお金にかかる金利の差で儲けるビジネスです。低金利政策は貸したお金にかかる金利に下落圧力をかけることになり、銀行の経営にとっては好ましい環境ではありません。
バフェットが銀行株に強気なのは、低金利は長く続かないと見ているのか、それとも低金利をものともしない経営環境の変化がこの先起こると見ているのかはわかりませんが、私はどちらにも積極的に同意することができません。
ただ、銀行株は軒並みPERが10倍を下回っていますから、市場の期待が低く、割安に放置されている可能性はあります。
バークシャー の損益計算書(PL)を読む際の注意点
上でセグメント別の損益を掲載した際、少し古い2016年の資料を引用しましたが、2018年度以降のバークシャー の損益計算書(PL)を読む際には注意点があります。
従来は、配当や売却損益のみがPLに計上されていましたが、2018年以降は株価変動による評価額の変動もPLに反映させるよう会計基準が変更されました。つまり、保有銘柄の含み益・含み損がそのまま損益として計上されるようになってしまっており、実態の損益を反映しているとは言えないものになってしまいました。コロナで株価が落ちていますので、今の株価水準で今年度を終えれば、おそらくバークシャー のPLは大幅な赤字になるでしょうが、それはバークシャー の経営実態をそのまま表しているとは言えないと思います。
同様の理由でEPS、PERもバークシャー に限っては私は参考にしていません。
ちなみにPLの参照、2017年はトランプ大統領の法人税減税の影響で特別益があったので2016年を参照しました。
最近のコメント