【メディアの責任】投資=ギャンブルという先入観を助長する

数ヶ月に1回、投資関連の記事で憤りを感じることがあります。久々にそういう記事がありました。

コロナショックで元本割れ続出 ”投資から貯蓄へ”の逆流起こるか(マネーポストWEB) – Yahoo!ニュース

年初に2万4000円台だった日経平均株価は、「コロナショック」で3月19日には1万6000円台まで暴落。6月に入って2万2000円台まで戻したとはいえ、改めて「投資」のリスクが顕在化した。 …

こういった記事を書く人の意図がわかりません。「投資から貯蓄へという逆流が起こっている」という事実を伝えたいのか、「投資は元本割れのリスクがあるからやめた方がいい」というメッセージなのか。「投資から貯蓄へという逆流が起こっている」という事実を伝える記事だとすれば、その事実の根拠を示す必要があると思いますが、記事中には一切ありません。

「“お金に働いてもらうチャンスを逃している”と揶揄されてきた。」と記事中にあります。世の中には自分と違う意見の人を揶揄するような言動をする人はいると思いますが、私個人は貯蓄を揶揄するようなことはしないように努めてきたつもりです。なぜならば、いかなる投資にもリスクが存在するからです。各個人によってリスク許容度は違うと思います。私のように個別銘柄のリスクも取れると考える方もいるでしょうし、個別銘柄はちょっとリスクが高すぎるけど、S&P500や日経平均などのインデックスならという方もいるでしょう。一方で一時的でも元本割れは受け入れられないという方もいると思います。一番やってはならないのはリスクを理解せずに、「投資は儲かるらしいから投資でもしてみるか」と安易に手を出すことです。
フィナンシャルプランナーなる人がコメントしていますが、フィナンシャルプランナーであればそういったリスクを一般の人々に啓蒙していくことこそ本来の役割なのではないかと思います。

フローとストックを区別しましょう

もう一つ、この記事が根本的に間違っていると思うのは、フローとストックを混同してしまっている点です。「1000万円を3%で運用してきたが元本割れしてしまった。それなら金利分だけ働けばいいのでは?」と言っていますが、フローとストックを混同してしまっています。資産運用というのは基本的にストックです。ストックは日本語に直訳すれば在庫や蓄えといった意味です。倉庫の中に溜めていくイメージです。一方、働いて得る給与はフローです。こちらは直訳すると流れという意味で、用水路の水のように定期的に流れてくるイメージです。
食糧や薪を倉庫に蓄えておくのと違って、資産のストックは相場の動きによって増えたり減ったりします。
ストックでも金額が大きくなればフローとして使うことも可能になります。例えば3億円を3%で運用すれば、1年あたりの運用益は900万円になります(本当はそこから税金が引かれますが、今回は複雑になるので割愛します)。平均的なサラリーマンの給与を軽く上回ります。900万円のうち、500万円を生活費としてフローのような形で利用することは可能でしょう。しかし、1000万円を3%で運用しても30万円です。他に給与等のフローがない場合、これをフローとして考えるのは危険です。なぜなら投資というものは上振れ、下振れが年によって必ず発生するからです。この記事はそういったそもそも区別すべき2つの種類のお金を混同してしまっています。

いかなる投資にもリスクがあります

90年代以降の日本株は低成長で保有し続けていても増えませんでした。バブル真っ只中の最高値で高値掴みした人の中にはいまだに含み損を抱えている人もいます。いかなる投資にもリスクがあります。リスクをとるからこそ、そのリスクの報酬として利潤が得られます。自分が受け入れられるリスクを認識して、リスク管理することは非常に大切です。

  1. そもそも自分が受け入れられるリスク許容度を認識する。
  2. 全世界株式や先進国株式などリスク分散を図る。
  3. 必要以上の手数料を支払わない。
  4. ストックの利潤をフローとして経済的に期待しない。
  5. リスクを少しでも減らすため、積立投資する(時間分散を図る)。
  6. 短期の値動きで一喜一憂しない。

こういったことを理解せずに投資するのは危険です。メディアにはそういったリスクを啓蒙することも社会的な役割であり、責務であるかと思いますが、いまだに株価下落=リスキーだと煽るような記事を目にすることがあるのは残念なことです。