米国株投資家はタイミングを待つべき? 一長一短な円安

止まらない円安

3月の半ば以降、円安が止まりません。

昨年の9月に一時115円を試す動きがありましたが、その後は110円と115円のあいだのボックス圏で推移していました。

しかし、3月の半ば以降、円安が加速し、一時は125円台まで進みました。

ニュースでは急激な円安に以下のような理由づけがされています。

  • アメリカの利上げによる日米金利差拡大
  • 有事のドル買い
  • 日銀の指値オペ

3月のFOMC(連邦公開市場委員会)でアメリカの利上げが開始されました。さらにその後、FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は5月のFOMCでは0.5%もありうると利上げを加速化させる動きを示唆しています。

昨日、公表されたFOMC議事要旨によって、年内の1回、もしくは複数回の0.5%の利上げと、量的引き締め(QT)が検討されていることが明らかになりました。

こういった動きを受けて、アメリカの金利は軒並み上昇しています。

⬆️はアメリカ10年債の金利の推移です。
年明けから利上が意識されじわじわと上昇してきて、実際に利上げが決まった3月のFOMC前から上昇ペースを加速しています。

一方、日銀は利上げは時期尚早として金利水準を据え置いているため、日本の金利はほぼ横ばいのままです。
その結果、アメリカと日本の金利差が拡大、ドルを買って円を売る動きが強まり、円安ドル高に振れているということです。

さらに、ウクライナ情勢の緊迫化が長引く中、安全資産であるドル買いが強まったという見方もあります。

さらにさらに、日銀は指値オペを実施して金利の頭を押さえ込んでいます。金利が上昇してくると、日銀が国債を無制限に購入するオペレーションを実施して、金利を一定の水準(現在の水準は0.25%)以下に押さえ込んでいます。

こういった要素が複雑に重なり合い、急激な円安ドル高が進行しています。

ある程度の円安は想定していましたが、ここまで急激な動きは予想外でした。
相変わらず、為替の先行きを読むのは難しいな、というのが個人的な印象です。

上に挙げた3つの円安要因のうち、日銀の指値オペ以外は3月に突然発生したわけではありません。

アメリカの利上げは昨年から取り沙汰され続けてきていましたし、ウクライナ情勢の緊迫化は2月中旬から続いています。

『有事のドル買い』という言葉も信用ならない言葉です。
私が株式投資を始めた2010年ごろは『有事の円買い』なる言葉があり、2011年の東日本大震災の際には実際に1ドル=75円台まで円高が進みました。
しかし、最近では『有事の円買い』という言葉はめっきり聞かなくなりました。

株価の先行きは読めないですが、為替の先行きはさらに複雑怪奇です。

米国株投資家は待つべきか?

円安はアメリカ株に投資している日本人投資家にとっては一長一短です。

一長の部分はドル資産が増えるということです。

1ドル=100円のときに100ドルの資産があるとすると、円での価値は10,000円ですが、1ドル=120円になれば、元本が100ドルのままでも円ベースでは12,000円に増えます。

⬆️は私の個別銘柄のポートフォリオの損益画面、それぞれドルと円での表示です。

ロイヤルティ・ファーマ(RPRX)の項目を見ていただきたいのですが、ドルベースでは111ドルのマイナスになっていますが、円ベースでは8,794円のプラスになっています。

これは円安による為替差益が元本の下落分をカバーしているからです。他の銘柄でも全体的にドルでのパフォーマンスよりも円でのパフォーマンスの方が良いように見えます。

一方、一長一短の一短は、これから投資する分については円でのコストが増えてしまう、将来的に円高になれば投資収益を目減りさせてしまう可能性があるということです。

これはなかなか頭の痛い問題です。

特に長期投資家の場合、10年後、20年後に現在の円安の痛みが効いてくると考えると新規の投資に踏み出しづらくなってしまいます。

私がひとつ考えているのは、含み損が出ている銘柄を一旦売ってドルに換え、株価が再び下落したタイミングでの買い付け資金に回すという手です。

株価のゆくえを見通すことは非常に難しいですが、今年は一昨年や昨年のように年初に下げてその後一本調子で上がっていくという相場は期待できないのではないかと思っています。

本格的な下落がいつくるかはわかりませんが、大きな下落が起こったとして、もしその時に今よりもさらに円安水準にあれば、ドル転を躊躇してしまうと思います。少なくとも、明日、株価が大きく下がったとしても、1ドル=123円でドル転するにはかなりの抵抗があります。

アメリカ株投資を初めて3年ほどですが、今まで株を売ったことはありません。基本的には長期でホールドしたいと思っています。
しかし、今後の株価下落に備えて、今のうちにドルのキャッシュポジションを高めていくことも必要なことなのではないかと最近思い始めています。


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