「投資」と「投機」「投資家」と「トレーダー」の違いは区別しましょう

終日取引停止の怪

朝から東京証券取引所はシステム障害で取引を停止していました。結局復旧せず、終日全銘柄が取引停止となりました。
私が日本株を始めたのは2011年ごろで、それ以来株式市場に関するニュースはつねにフォローしてきましたが、終日全銘柄の取引停止というのは前代未聞の事態だと思います。

巨額の資金を運用している機関投資家にとっては1日売買ができないというのは大きな影響があると思いますし、海外の投資家にとっては日本市場に対する信頼度を損なう事態だと思います。

一方、個人の長期投資家にとっては、言い方は少し悪いかもしれませんが、1日ぐらい売買停止したところで大きな影響はないはずです。

「投資」と「投機」の違い

「投資」と「投機」の違いをはっきりさせておこうと思います。
辞書で調べるとそれぞれ以下のように説明されています。

投資 Investment
利益を得る目的で事業などに資金を出すこと。

投機 Speculation
将来の価格変動を予想して、価格差から生じる利益を期待しておこなう売買取引。

つまり、どちらも利益をねらって資本(お金)を何かに投下する行為です。しかし、投資と投機の大きな違いはその目線の長さだと思います。
投機は「価格変動」、「価格差」から利益を得ようとする行為です。つまり本質的な価値の変動ではなく、市場が値付けをする変動幅で利鞘を狙う行為です。価格差を狙う以上、短期の取引が中心になります。
一方、投資は「価格」ではなく、「価値」の変動によって利益を狙う行為です。価値が変動するには時間がかかるので中長期が中心になってきます。

例えば、朝9時に買って午後3時に売ってその価格差で利益を狙うのは投機だと言えると思います。大きな事件が1日のあいだに起こる場合もあるので、時と場合にもよりますが、一般的には朝9時と午後3時で、ある会社の株の本質的な価値が変わるというのは考えづらいことです。

私は投資が正しくて、投機が間違っていると言うつもりはありません。どちらも違法ではありませんし、この世から一切の投機的な取引が消えれば、株の流動性が激しく損なわれ、売りたいときに売れない、買いたい時に買えないという事態に陥る可能性があります。
ただ、投機のほうが投資より遥かに難しいと思います。「市場の値動きはランダムウォーカー」と表現した人がいますが、株や為替の値動きは予測できないほど不規則(ランダム)な動きをします。そんなランダムウォーカーの動きを正しく予測するのは至難の技です。情報と経験が豊富なプロならともかく、一個人が勝ち続けるのは簡単なことではありません。

「投資家」と「トレーダー」の違いも「投資」と「投機」の違いと似たようなところがあります。投資家は基本的に「投資をする人」ですが、トレーダーは「売買を繰り返す人」です。短期で売買を繰り返す以上、それは投機になるでしょう。

一般に浸透しない投資と投機の区別

私が株式投資を始めたときも、それは投資ではなく投機でした。2011年ごろですが、メディアでは「○億を稼ぐデイトレーダー」という人たちが持て囃されていました。
投機で巨万の富を稼ぐことは不可能ではないと思います。実際にデイトレードで億を稼いだ人もいるでしょう。もしあなたが自信があるのであれば、生活に影響を及ぼさない範囲で挑戦してみるといいと思います。実際に私も先物とFXで挑戦した時期がありました。
ただ、再現性でいうと低いと思います。野球やサッカーを始める子供たちのうち、プロ選手になれる人が一握りなように、投機で成功できる人は挑戦する多くの人のうち一握りの人だけだと思います。

残念ながら「投資」と「投機」の区別は一般になかなか浸透しません。投資に興味のない人が「株式投資」と聞くと、デイトレードを想起する人が多いと思います。

仮に株式を購入した翌日に市場が閉鎖され、その5年間取引が行われない事態になっても、私は一向に構いません。

ウォーレン・バフェット

長期投資、特にインデックス投資は非常に再現性の高い手法だと思います。毎月積み立てて、ドル・コスト法でS&P500や世界のインデックス指数連動の商品に20年、30年のスパンで投資をすれば、勝率はかなり高いと思います。
しかし、長期投資は非常に地味です。長期と言っているくらいですから非常に時間がかかりますし、インデックス投資の場合、銘柄を選ぶ必要もありませんから積み立ての設定をしたらあとは20年、30年間はそのまま放置、ということになります。極端なことを言えば、株価のニュースをみる必要もありません。

短期売買のように切った張ったの世界ではありませんし、とにかく地味な長期投資ですが、地道にコツコツと続けていくことが大事です。最も大事なことはいくら急落しても決して退場しないこと。途中でやめてしまうとその瞬間にそれまで積み立ててきたものが水泡に帰します。

私はもう少し、スリルとリターンを求めて個別銘柄にも投資していますが、それはあくまで趣味のようなものです。長期のインデックス投資が投資の軸です。世界の優良企業が20年後、30年後に大きなリターンをもたらしてくれることを期待して、何もせずにコツコツと積み立てていこうと思います。