先日、『S&P500・VTI・QQQと保有銘柄の2021年上半期のパフォーマンスを比較してみた』という記事を投稿しました。わかっているつもりではありましたが、やはりインデックスをアウトパフォームするのは簡単ではないようです。保有銘柄やウォッチ銘柄の大半がインデックスをアンダーパフォームしていて少しショックでした。
では、過去10年、20年のパフォーマンスはどうだったのだろうかと気になり、調べてみました。
現在の業績やPERなどの株価水準は確認するのに、よく考えてみれば過去のパフォーマンスというものを調べたことがありませんでしたので、ちょうどいい機会でした。
2011年〜2020年の10年間のパフォーマンス
ではまず、2011年から2020年までの10年間のインデックスと個別銘柄のパフォーマンスを見てみましょう。
まずは、インデックスのパフォーマンスです。前回同様、パフォーマンスは配当込みのパフォーマンスです。
インデックス | パフォーマンス(年率) |
---|---|
S&P500(SPY) | 13.76% |
CRSP USトータル・マーケット・インデックス(VTI) | 13.77% |
NASDAQ100(QQQ) | 20.35% |
過去、10年ではNASDAQ100がS&P500を大きくアウトパフォームしています。とは言え、S&P500の13%台というパフォーマンスも驚異的だと思います。2010年代はアメリカ株にとって黄金時代だったと言っても言い過ぎではないパフォーマンスだと思います。
では、個別銘柄です。
銘柄は私が保有している銘柄と決算をフォローしている銘柄を中心に選びました。
参考として、高配当銘柄の代表格であるAT&T(T)も入れてみました。
私は配当貴族のような配当メインの投資手法には懐疑的な立場です。配当のときに一定程度、税金が引かれてしまい非効率だと思うからです。配当ではなく、自社株買いに回すか設備投資やM&A(企業買収)などに活用したほうが会社と株主、双方の利益に叶うと思っています。ただ、高配当銘柄のパフォーマンスが気になったので代表格であるAT&Tを入れてみました。パフォーマンスは配当を含んだ数字です。
銘柄 | パフォーマンス(年率) |
---|---|
アップル(AAPL) | 29.59% |
アマゾン(AMZN) | 33.58% |
ボーイング(BA) | 15.19% |
ブラックロック(BLK) | 17.31% |
ウォルト・ディズニー(DIS) | 18.55% |
アルファベット(GOOGL) | 19.41% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) | 13.06% |
マクドナルド(MCD) | 14.09% |
マコーミック(MKC) | 17.38% |
マイクロソフト(MSFT) | 25.92% |
ペプシコ(PEP) | 11.79% |
プロクター・アンド・ギャンブル(PG) | 11.42% |
AT&T(T) | 5.46% |
ユニオン・パシフィック(UNP) | 18.72% |
ビザ(V) | 29.59% |
赤黒字はS&P500、NASDAQ100ともにアウトパフォームしたもの、黒太字はS&P500をアウトパフォームした銘柄です。
NASDAQ100をアウトパフォームしたのはわずか4銘柄でした。アップル、アマゾン、マイクロソフトのビッグテック3社とビザです。
フェイスブック(FB)は2012年上場で、2011年初の時点で上場していなかったので一覧には入れませんでしたが、上場から2020年までのパフォーマンスは33.78%でした。
個人的にはアルファベットがNASDAQ100をアウトパフォームできていなかったのは意外でした。やはりインデックスをアウトパフォームするのは容易なことではないようです。
2001年〜2020年の20年間のパフォーマンス
続いて、2001年から20年間のパフォーマンスを見てみましょう。
インデックス | パフォーマンス(年率) |
---|---|
S&P500(SPY) | 7.41% |
NASDAQ100(QQQ) | 9.53% |
VTIはETFの設定が2002年だったため、こちらのデータからは除外しています。基本的にパフォーマンスはSPYとあまり変わりないと思っていいと思います。
2001年がちょうどITバブルの崩壊が始まった時期だったこともあり、2011年〜2020年のパフォーマンスと比較すると大きく劣後します。それでもNASDAQ100のパフォーマンス通り、年率9.53%で運用すると、複利の力で資産は20年で6倍強に、S&P500のパフォーマンス通り年率7.41%では20年間で4倍強になります。
では、続いて個別銘柄です。
銘柄 | パフォーマンス(年率) |
---|---|
アップル(AAPL) | 37.45% |
アマゾン(AMZN) | 30.63% |
ボーイング(BA) | 8.35% |
ブラックロック(BLK) | 17.57% |
ウォルト・ディズニー(DIS) | 10.98% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) | 8.43% |
マクドナルド(MCD) | 12.48% |
マコーミック(MKC) | 14.83% |
マイクロソフト(MSFT) | 14.90% |
ペプシコ(PEP) | 8.28% |
プロクター・アンド・ギャンブル(PG) | 9.47% |
AT&T(T) | -0.87% |
ユニオン・パシフィック(UNP) | 17.20% |
S&P500、NASDAQ100をアウトパフォームしたのは13銘柄中8銘柄、逆にS&P500をアンダーパフォームしたのはAT&Tのみでした。アルファベットとビザは2001年初時点で上場していなかったので除いています。
ひとつ注意したいのは、アップルとアマゾンに対する考え方です。この2銘柄はリストの銘柄の中でずば抜けて高パフォーマンスですが、2001年時点での両者の立ち位置を考慮しなければなりません。今でこそ時価総額で5本の指に入る両社ですが、2001年時点ではアメリカを代表するような企業ではありませんでした。
アップルはカリスマ経営者スティーブ・ジョブズが復帰してiMacをヒットさせた時期です。一部に熱狂的なファンはいるけれども、ビジネス的にはまだまだマイナーな会社でした。2001年は音楽プレーヤーの初代iPodが発売された年で、iPodのヒットとその後のiPhoneの登場でアップルは大きく躍進しました。2001年1月時点の時価総額は74.8億ドルでした。
アマゾンも当時は新進気鋭のスタートアップ企業というイメージでした。当時の時価総額は61.8億ドルでした。
何が言いたいかというと、2001年当時にアップルやアマゾンに投資をするということは、現在両社に投資するよりもはるかにリスクの高い投資だったということです。リスクが高かった分、リターンが高くなるのは当然のことです。
リスクを考慮すると、リターンが30%超のアマゾンやアップルよりも、リターンが17%台のブラックロックやユニオン・パシフィックのほうが魅力的に見えます。
NASDAQ100に投資しないことがリスクかも
やはり2つのデータを見てみると、NASDAQ100というインデックスに投資することは非常に魅力的に見えてきます。2001年のITバブル崩壊の時期に投資したとしても20年のパフォーマンスでS&P500を上回るというのは凄いことだと思います。
さらにAT&Tのパフォーマンスの低さも目立ちます。やはり高配当銘柄に投資するのであれば、インデックスに投資したほうが安全でハイパフォーマンスが望めると思います。
最後に、あくまでこれらのパフォーマンスは過去のものであり、これによって未来のリターンが約束されているわけではないということには注意しましょう。これらのデータは自動車で例えればバックミラーのようなものです。バックミラーに写っているものが車の前方にもあるとは限りません。
特に2011年以降パフォーマンスの良かったアップル、アマゾン、マイクロソフト、ビザにこの先10年も同じようなリターンを求めるのは期待過剰だと思います。
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