Instagramのチェックアウト機能は収益構造を変えるか?

私も一応、個人でInstagramのアカウントを持っています。

少し前、TikTokのアメリカ事業の売却が話題になりました。マイクロソフト(MSFT)、ウォルマート(WMT)、ツイッター(TWTR)、オラクル(ORCL)と様々な会社が買収先として取り沙汰されています。ソフトバンクGがTikTokのインド事業を買収するという話も出てきているようです。
ちょうど、TikTok買収の話が出てきたころ、Instagramでも似たようなリールという機能を開始したということも話題になり、フェイスブック(FB)の株価が上昇しました。

チラッと見てみましたが、まぁ若い人にはこういうのがウケるのかなという感じでした。そういうことを言うと自分がいかにも歳をとったように感じてしまいますが。

ただ、この機能の開始でフェイスブックの業績にポジティブな影響があるかというと私は疑問です。確かにInstagramをまだやったことのない人に対して訴求する手段のひとつにはなると思いますが、あくまで数ある機能のうちのひとつであって、リールをやるためだけにInstagramを始めたり、TikTokのユーザーがTikTokをやめてInstagramのリールに流れてくるということはないと思います。TikTokとリール両方に同じ動画を投稿する人は中にはいるかもしれませんが。

フェイスブックの最大の課題は収益構造の偏り

以前、フェイスブックの決算の時にも言及したように、フェイスブックはかなり収益率の高いビジネスです。しかも上場以来、かなりの勢いで成長をしてきました。営業利益率40%台、50%台というのはものすごい数字です。
そんなフェイスブックの最大の課題は収益構造の偏りです。

上のグラフは決算資料からの引用ですが、売上の98%は広告収入です。ほぼ広告のみで収益を得ているといっていいでしょう。

フェイスブックが次のステップに進むには、この収益構造の改善は必須だと思います。広告のほかに柱となる収益源を作らなければ、新規ユーザー数の増加が鈍くなればそれにつれて利益成長も鈍くなってきてしまいます。そして、先ほどのリールはこの収益構造には何の変化ももたらしません。

Instagramのチェックアウト機能

Instagramではチェックアウトという機能を昨年の3月からアメリカで試験的に開始しています。正直、私はこの機能の存在を最近まで知りませんでした。

ショッピング、特にコスメやファッションはInstagramと非常に親和性が高いと思います。写真や動画で商品を紹介し、気に入ったユーザーは決済までをすべてInstagramのアプリ内で完結することができます。

引用:Instagram HP

アマゾンなどの既存のECサイトとも差別化できそうです。
既存のECサイトは何か欲しいもの、買いたいものを検索して見つけ出し、買うというのが基本的な購買ストーリーです。一方、このInstagramでは、漫然とアップされている商品を眺めて、もし欲しいもの、気になるものがあればその場ですぐに買うことができます。ネット空間でウィンドウショッピングをするような感覚だと思います。

まだ試験段階でアメリカでの導入効果や問題点が出てきていない段階なので、過度な期待は禁物ですが、世界中でうまく運用、収益化ができるようになれば、広告に次ぐ大きな収益の柱になることはそう難しいことではないと思います。

今の株価に織り込まれているか?

どの材料が株価に織り込まれていて、何がまだ織り込まれていないかを判断するのは難しいことですが、私はまだチェックアウト機能については十分に織り込まれていないと思います。
まだ試験段階でうまく収益の柱に成長するかが不透明なので、株価には織り込めない、織り込んでいても割り引く必要があると言ったほうがいいかもしれません。

チャートだけ見ると、チェックアウト機能が発表された2019年3月と比較すると、株価は大きく上昇しています。上昇率は75%に達します。
PERなどの株価データは以下のとおりです。

株価:291.12ドル(9月3日終値)
2019年度EPS:6.43ドル(制裁金の影響を除くと8.55ドル)
2020年度EPS(予):7.29ドル Q2終了時点:3.51ドル
PER(実):34.05倍 益回り:2.9%(EPS8.55ドルで計算)
PER(予):39.93倍 益回り:2.5%

割安でも割高でもないフェアバリューか若干割高といった水準でしょうか。

私はフェイスブック株はすでに持っていて、正直、買い増しはあまり考えていませんでしたが、チェックアウト機能の話を聞いてから、もし短期で下落する局面があれば、買い増しも検討していこうかなと思っています。


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