突然の株価急落
先週末、全世界的に株価が急落しました。

S&P500は3ケタの106.84ポイント(2.27%)安で引けています。1日で3ケタの下落は久しぶりな気がします。
一般のニュースでも株価下落が話題になっていましたが、まだそれほど大騒ぎする事態ではないと思います。
もし、これが本当に下落相場の始まりであるとすれば、本格的な下落はまだまだこんなものではないはずですし、年末にかけて例年どおりラリーに戻る可能性もあります。株価の先行きは読めません。

⬆️は以前も引用したことがありますが、1950年から2017年までの月ごとの平均リターンのグラフです。
10月、11月、12月は1年でもっとも強い時期に当たります。特に11月と12月は67年間の平均でどちらも1%以上上昇しています。
2021年10月は4,605ポイントで引けていて、先週金曜日の終値が4,594であったので11月の月次パフォーマンスがプラスで終わる可能性もあり得ますし、過去平均の1.5%に追いつく可能性も十分にあり得ます。
一方、もしこれが下落相場の始まりだったとすると先週の金曜日の下落は文字どおり始まりに過ぎません。

⬆️はS&P500の過去1年間の週足チャートです。
9月に一度調整をしていますが、その調整前の水準よりもまだ高い水準です。1日で2%以上下落しましたが、11月上旬の水準に戻っただけに過ぎません。
株価下落の理由としてコロナの変異株の蔓延懸念が挙げられていますが、毎度、株価下落の理由づけは眉唾ものです。
2021年の春以降、コロナが理由でアメリカの株価が上下することはありませんでした。米国株式市場にとってコロナは終わった材料で、むしろテーパリングや利上げ、アメリカ政府の財政出動に関心が集まっていました。
それが突然、変異株出現のニュースがあっただけで株価が下落するとは考えにくいです。
変異株のニュースが理由のひとつであるとは思いますが、むしろインフレの長期化によって来年2回の利上げの可能性が現実味を帯びてきたことと10月半ば以降の急上昇による反動で調整したという理由の方が大きいと思います。
S&P500の現在地
では、S&P500の現在のファンダメンタルズはどのようになっているのでしょうか?
最新のEPSのコンセンサス予想は以下のようになっています。

データは11月19日現在のものです。
11月26日(金)の引値4,594.62でそれぞれPERを算出すると以下のようになります。

2021年の予想EPSをもとにそれぞれのPER倍率で株価を算出すると以下のようになります。

もう2021年もあと残り1ヶ月です。2021年の予想PERは実績値にかなり近い予想値ということになります。
株価というのは将来のキャッシュフローを現在値に割り引いたものですから、時期的に2021年よりも2022年の数字を見た方がいいと思います。
同様に2022年の予想EPSをもとにそれぞれのPER倍率で株価を算出すると以下のようになります。

過去20年ほどはバブル期や金融危機の時を除けばS&P500のPERは15倍と20倍の間を推移してきました。
現在の2021年の予想PERが22倍台ですから、歴史的に見れば割高な水準です。これを証拠にバブルだという声もありますが、割高ではあるけれどもバブルというほどの水準ではないかと思います。
1日で2%以上下落したので騒がれていますが、まだ上に行くのか下に行くのかはっきりとしない中途半端な状態だと思います。個人的には今の時点で買いに動くのはないかな。
目先の株価の焦点は予想PER20倍の4,439を切るか、それとも21倍の4,661を回復するかのどちらになるかだと思います。
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