アベノマスクに見る共産主義が失敗した理由

悪名高いアベノマスクの配布がほぼ完了したというニュースがありました。配布を終えるまでに2ヶ月半かかり、今では普通にスーパーやドラッグストアでマスクが買えます。街中でも配られた布製のマスクを着用している人はほとんど見かけません。調達に184億円、配送などに76億円、合わせて約260億円が費やされました。
以前、Youtubeのテレ東のニュースチャンネルでマスク配布の政府の本当の意図を解説する動画がありました。

こちらの動画によると高齢者にマスクを届けて、当時話題になっていたドラッグストアのマスクを求める人々の行列を緩和することが政府の隠れた狙いだったということでしたが、見事にその狙いは見当外れだったということです。
まず、配布に2ヶ月半もかかったので配布が完了するころにはマスクの供給が回復して、ドラッグストアの前にはマスクを買うための行列はありません。自宅で作れるマスクの型紙がネット上で拡散され、自作マスクのほうがよっぽど供給不足改善に貢献したと思います。
しかもマスクが不足している中でもドラッグストアは各々、朝からマスクを陳列せず、ランダムな時間に陳列するなどの対策を取り、行列は徐々に解消されていきました。260億円も税金を投入しなくても、少し知恵を使えば解決できた問題だったと思います。

アベノマスクの失敗と共産主義の失敗

そもそも官僚組織である政府に社会の一商品であるマスクの需給を予測させること自体にムリがあったのではないでしょうか。

かつて共産主義を国是としていた国家がロシアにありました。中国も今や経済的にはほぼ資本主義化しましたが、毛沢東が指導者だった時代は共産主義の世の中を理想として政策立案がなされていました。
資本主義では需給はすべて市場で決められます。コロナの自粛でNintendo Switchが品薄になりましたが、それは市場の需要が急増したためです。任天堂は今後、供給量を増やしていくでしょう。一方、共産主義は計画経済です。市場の需要を政府があらかじめ予測し、商品の生産計画を立てます。各企業はその計画に沿って工場を稼働させ商品を生産します。
共産主義が失敗した原因はいくつかあると思いますが、赤字で書いた「市場の需要を政府があらかじめ予測して生産計画を立てる」ということも一因だと思います。

経済は社会の有限のリソース(資源)を分配する手段です。資本主義はそのリソースの分配を市場に委ね、共産主義は政府の計画に委ねました。21世紀の私たちは資本主義が完璧とは思っていないと思いますが、共産主義が失敗だったということは知っています。官僚組織である政府が需給を予測して生産計画を立てるということはムリがあるのです。官僚組織が無能だからということではありません。物事には向き不向きがあります。政府の場合、分配するリソースは税金で賄われますから、当人たちは失敗しても何のリスクもないわけです。そこが政府と一般企業の違いです。一般企業でもマーケティングで需給予測をすると思いますが、資本主義経済の中の一企業は予測を外せば最悪の場合、会社が倒産して失業するリスクがあります。
また、共産主義社会ではその商品が売れるかどうかは関係ないので、いかなる商品もデザインは二の次でした。ですから車から洋服、靴に至るまでことごとくダサかった。ダサいものは作ったところで誰も買いませんし、配られても誰も使いません。そんな点でも共産主義とアベノマスクには共通点があるかと思います。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという言葉があります。今回、正直コロナ禍でそんな悠長に考える余裕は安倍首相にはなかったかもしれません。しかし一方で多額の血税が費やされたことは事実です。政府が市場動向の予測に向いていないことを共産主義の失敗から学んでいれば、260億円の血税は他の用途に使われていたかもしれません。


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