欧米では神を信じないヤツは人にあらず by 英語教師

昨日、『日本人には理解しがたいアメリカ人がマスク着用に抵抗する理由』という記事を書きました。
記事中に動画を貼り付けましたが、フロリダ州でのマスク義務化に関する公聴会で、声を大にして反対を訴える人々の様子をBBCがYouTube上で報じています。
マスク着用に反対する理由は人それぞれですが、中には宗教を理由にマスク着用に反対する人もいます。動画の中でもマスク着用は神に背を向ける行為だと主張している女性がいました。マスク着用と宗教が結びついてしまうのは、日本人にとっては理解しがたい思考回路だと思います。

高校の時の英語教師の忘れられない宗教に関するアドバイス

私は高校生のときに2週間の海外語学研修に参加したことがあります。行き先はカナダのバンクーバーとビクトリアでした。現地の高校の生徒たちの家にホームステイしたり、語学研修のプログラムを受けたりしました。

出発前に英語の教師から海外で生活する上での注意点のレクチャーを受けました。例えば、日本のようにカフェやファストフードで席に荷物を置いて食べ物や飲み物をオーダーしに行ってはいけないとか、夜暗くなってから一人で外を出歩いてはいけないといったようなことがメインだったと思いますが、ひとつ今でも忘れられない注意がありました。

それは、もし現地のホストファミリーなどに「あなたの宗教は?」と聞かれたら、絶対に「無宗教です」と答えてはならないというものでした。仏教、もしくは日本の伝統的な宗教の神道と答えなさいと。彼曰く「欧米では何らかの宗教を信じることは当たり前で、無宗教と答えると無神論者と捉えられて不安を与えかねない」ということでした。

当時は高校生で初めての海外経験だったので、文化の違いってそういうものなのかなぐらいにしか思いませんでした。今考えると、べつに日本では無宗教ですと答えるのが変わったことではないのだから、何も向こうのスタンダードに合わせなくていいんじゃないかとも思いますが、郷に入っては郷に従えということなのでしょうか。おそらく引率する教師としてはセンシティブな宗教の話題で無用のトラブルを起こされるのを避けたかったのでしょう。
結局、宗教の話を誰かとする機会はありませんでしたが、このアドバイスだけ妙に脳裏に焼きついています。

アメリカ人の4割は進化論を信じていない

高校の海外語学研修のときの行き先はカナダのバンクーバーだったので、現地の人もそこまで宗教的に極端な人はいなかったと思いますが、アメリカの中西部や南部などでは、確かに「無宗教です」と答えるのはあまりよろしくないかもしれません。

アメリカはいうまでもなく、科学技術で世界をリードする技術大国です。このブログでもよく取り上げるようにIT業界の巨人GAFAはすべてアメリカ企業ですし、ノーベル賞受賞者数もアメリカが圧倒的に世界一です。
しかし一方でアメリカは建国当初から宗教(キリスト教)とは切っても切り離せないお国柄です。

⬆️はアメリカの1ドル紙幣の裏面ですが、赤線を引いたところに”IN GOD WE TRUST”と書いてあります。日本語に訳すと「私たちは神を信じる」という意味です。このフレーズは1ドル紙幣だけではなく、100ドル紙幣まですべての紙幣の裏面に書かれています。アメリカという国が神の存在を前提として建国された名残と言えるかと思います。

昨年、「アメリカで進化論を信じる人が過半数を超えた」というニュースがありました。逆にいうと、いまだに4割近い人は進化論を信じていないということです。彼らは聖書に書かれていることはすべて本当に起こったことで、人間はサルから進化したのではなく神によって創造されたと信じています。

日本ではさすがに進化論を否定する人はそんなに多くないと思います。あなたは進化論を信じますか?という世論調査は日本で見たことがないですが、「うちの子供には進化論を教えたくないので学校には通わせない」と言っている親がいるとか、うちの学校では進化論は教えませんという学校があるということは聞いたことがないので、おそらく日本ではそんなに多くないんだろうと思います。

お正月には神社に初詣に行き、結婚式はチャペルで挙げ、お盆にはお寺にお墓参りに行き、ハロウィンやクリスマスを盛大に祝う日本人の感覚こそ他の国では理解しがたい感覚かもしれません。悪く言えば無節操かもしれませんが、海外での宗教をめぐる対立や紛争のニュースを目にすると、そういった文化的柔軟性は日本のいいところかもなと思うことがあります。


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