2010年の世界時価総額上位20社
以前、『2000年当時と現在の時価総額ランキングを比較してみた』という記事で2000年当時の時価総額上位20銘柄を紹介したことがありました。
2000年のトップ20の銘柄で現在もトップ20に入っている銘柄はわずか2銘柄、マイクロソフト(MSFT)とウォルマート(WMT)のみでした。
2000年と2020年を比較すると、社会や私たちの生活を取り巻く環境は大きく変化しました。
2000年当時もインターネットや携帯電話はありましたが、提供されているサービスは現在と比較すると限定的なものでした。
通信速度の高速化とスマートフォンの爆発的な普及は利便性を格段に向上させました。2000年当時、インターネットは生活の一部に過ぎませんでしたが、現在はインターネットが日常生活の中の大きなウェイトを占めています。
それだけ、2000年以降の20年のあいだにイノベーションが起こったということです。必然的に経済のメインストリームを占める会社も入れ替わりました。21世紀に入ってからのIT分野の技術革新は19世紀の産業革命に匹敵する歴史的な出来事だという声もありますし、肌感覚としてもその実感があります。
2000年以降の技術革新が100年もしくは200年に1度のものであるとすると、2000年以降の時価総額上位銘柄の入れ替えもそういった特別な環境が大きく影響した可能性もあります。
では、スパンは少し短くなりますが、2010年時点の世界の時価総額上位はどうだったのでしょうか?
気になったので調べてみました。
順位 | 会社名 | 時価総額 | 国 |
---|---|---|---|
1 | エクソン・モービル(XOM) | 3,687億ドル | アメリカ |
2 | 中国石油天然気 | 3,033億ドル | 中国 |
3 | アップル(AAPL) | 2,959億ドル | アメリカ |
4 | BHBビリトン | 2,435億ドル | オーストラリア/イギリス |
5 | マイクロソフト(MSFT) | 2,388億ドル | アメリカ |
6 | 中国工商銀行 | 2,334億ドル | 中国 |
7 | ペトロブラス | 2,291億ドル | ブラジル |
8 | 中国建設銀行 | 2,222億ドル | 中国 |
9 | ロイヤル・ダッチ・シェル | 2,086億ドル | イギリス |
10 | ネスレ | 2,035億ドル | スイス |
11 | 中国移動通信 | 1,993億ドル | 中国 |
12 | バークシャー・ハサウェイ(BRK-A、BRK-B) | 1,983億ドル | アメリカ |
13 | ゼネラル・エレクトリック(GE) | 1,949億ドル | アメリカ |
14 | ウォルマート(WMT) | 1,921億ドル | アメリカ |
15 | シェブロン(CVX) | 1,836億ドル | アメリカ |
16 | インターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM) | 1,823億ドル | アメリカ |
17 | HSBC | 1,803億ドル | イギリス |
18 | プロクター&ギャンブル(PG) | 1,801億ドル | アメリカ |
19 | AT&T(T) | 1,736億ドル | アメリカ |
20 | ヴァーレ | 1,702億ドル | ブラジル |
現在の世界時価総額上位20社
再掲になるので、前回掲載した2021年1月17日時点になりますが、現在の世界時価総額上位20社は以下のとおりです。
順位 | 会社名 | 時価総額 | 国 |
---|---|---|---|
1 | アップル(AAPL) | 2兆1390億ドル | アメリカ |
2 | サウジアラムコ | 2兆520億ドル | サウジアラビア |
3 | マイクロソフト(MSFT) | 1兆6080億ドル | アメリカ |
4 | アマゾン(AMZN) | 1兆5580億ドル | アメリカ |
5 | アルファベット(GOOGL、GOOG) | 1兆1710億ドル | アメリカ |
6 | テンセント・ホールディングス | 7973億ドル | 中国 |
7 | テスラ(TSLA) | 7831億ドル | アメリカ |
8 | フェイスブック(FB) | 7159億ドル | アメリカ |
9 | アリババ | 6728億ドル | 中国 |
10 | 台湾セミコンダクター | 5556億ドル | 台湾 |
11 | バークシャー・ハサウェイ(BRK-A、BRK-B) | 5475億ドル | アメリカ |
12 | サムスン電子 | 5207億ドル | 韓国 |
13 | ビザ(V) | 4443億ドル | アメリカ |
14 | JPモルガン・チェース(JPM) | 4226億ドル | アメリカ |
15 | ジョンソン&ジョンソン(JNJ) | 4219億ドル | アメリカ |
16 | ウォルマート(WMT) | 4092億ドル | アメリカ |
17 | 貴州茅台酒 | 3911億ドル | 中国 |
18 | プロクター&ギャンブル(PG) | 3342億ドル | アメリカ |
19 | ユナイテッドヘルス・グループ(UNH) | 3333億ドル | アメリカ |
20 | ネスレ | 3270億ドル | スイス |
赤字は2010年のランキングに引き続きランクインしている企業、赤太字に下線が2000年からランクインし続けている企業です。
ちなみに2021年現在15位のジョンソン&ジョンソンは2010年時点で21位、2021年14位のJPモルガンは2010年22位でした。
2010年のランキングから現在まで20位以内に残っているのは5社、いずれもアメリカ企業で、アップル、マイクロソフト、バークシャー ・ハサウェイ、ウォルマート、P&Gです。
2010年にはアップルが一気に上位に浮上しています。言うまでもなくiPhoneの登場が大きなインパクトを与えました。スマートフォンの登場は私たちの生活を一変させました。
2010年というと2008年のリーマンショックからまだ立ち直っていない時期なので、時価総額の金額を見ると非常に割安に見えてしまいます。2010年代初頭は株式投資にとって100年に1度の大チャンスだったと言っていいでしょう。
2010年のランキングではアメリカ以外の企業が半数の10社を占めています。
やはり中国の台頭が目立ちます。ただ、2010年にランクインしている中国企業で2021年もランクインしている企業はありません。中国でも2010年代にアリババやテンセントなどハイテク企業が台頭し、銀行や通信などのオールドエコノミーの企業と入れ替わりました。
2010年代はアメリカへマネー流入が続いた10年間でした。
結果的にアメリカで時価総額1兆ドルを超える会社が4社も誕生しました。ちなみに先日、一時的にではありますがフェイスブックも1兆ドルを超える場面がありました。もし1兆ドルを超える水準でこのまま安定すれば5社目ということになります。
2020年代がどうなるかはわかりません。
1920年代のアメリカはバブル景気に沸き、狂騒の20年代と称されています。21世紀も狂騒の20年代になる可能性があります。今の大規模金融緩和と市場(特にアメリカの不動産市場)を見ていると、少なくとも2020年代の前半は不景気に陥るリスクよりも景気が過熱するリスクの方が高いようにも感じます。
しかし1929年の世界恐慌以降、昨年のコロナショックまでアメリカの株式市場は何度となく暴落を経験してきましたが、長期的には成長し続けてきました。時には暴落に見舞われることもあるでしょうが、長期で見れば少なくともこの先30年は成長を続けていくと思います。
オマハの賢人と呼ばれる彼はこう言っています。
Never bet against America.
by ウォーレン・バフェット
アメリカの敗北に賭けるな。
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